飲食店等に酒類を販売している酒類販売事業者や酒類の製造業者は、新型コロナウイルス感染症の影響を強く受け売上が大きく減少している業者も少なくありません。このような状況を受け、国は各地方自治体に対し「積極的な支援」を行うよう働きかけています。そこでこの記事では、実際にどのような施策が行われているのか「東京都中小企業者等月次支援給付金」を例に挙げて解説していきます。
酒類販売事業者の月次支援金に上乗せ
緊急事態措置及びまん延防止等重点措置の実施地域の追加や、実施期間の延長などにより、国は地方自治体に対して「各地域の実情に応じて」、飲食店等へ酒類を納入する酒類販売業者等(酒類製造業者を含む)へ積極的な支援を行うよう要請しました。
時短要請に応じた飲食店と取引のある酒類販売事業者等に対し、国の支給する「月次支援金」に加え、以下に該当する場合には、国が地方創生臨時交付金の協力要請推進枠を活用し、都道府県に対し財政支援を行うこととしたのです。
- 都道府県がその上限額の上乗せを行う場合(2倍まで)
- 売上50%減等の要件を緩和(売上30%減まで)する場合
これに対し都道府県は、緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の影響により、売上が大きく減少している酒類販売事業者等を支援するため、国の支援金に加え、都道府県が独自に給付金を支給するとともに、支給対象を拡大して支援金(酒類販売事業者支援給付金)を給付する制度を設けました。
※参照:飲食店等に対する休業要請に伴い影響を受ける酒類販売業者等への 「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」の活用について(令和3年4月30日)
※参照:飲食店等に対する休業要請に伴い影響を受ける酒類販売業者等への 「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」の活用について(令和3年5月7日)
※参照:新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金
月次支援金とは?
月次支援金は、2021年(令和3年)4月以降に実施される緊急事態措置及びまん延防止等重点措置の影響を受けて、売上が50%以上減少した中小法人や個人事業者を対象に給付されます。事業の継続や立て直し、そのための取り組みを支援することを目的とする給付金(上限:中小企業 月20万円/個人事業者 月10万円)で、申請者の利便性を考慮し、5月に受付が終了した「一時支援金」を申請した事業者には、事前確認や提出資料の簡素化が図られています。
対象事業者は中小法人及び個人事業者で、給付対象となる事業者は以下に該当する事業者となります。
- 緊急事態措置又はまん延防止等重点措置に伴う飲食店の休業、時短営業又は外出自粛等の影響を受けていること
- 2021年の対象月間売上が2019年又は2020年の同月比で50%以上減少していること
また、1については、以下の要件があります。
- 同措置が実施される地域で休業または時短営業の要請を受けて、休業または時短営業をしている飲食店と直接・間接の取引があること。または、これらの地域における不要不急の外出・移動の自粛の直接的な影響を受けていること。
外出自粛等の影響については、人流を抑制する目的の休業、時短営業の要請を受けた事業者に対して、商品・サービスを提供している場合も含まれます。
※参照:月次支援金
「東京都中小企業者等月次支援給付金」を例に解説
東京都の場合は、2021年(令和3年)4月以降に発出された緊急事態措置等に伴う飲食店の休業・時短営業または外出自粛等の影響により、売上高が前年または前々年と比較し、30%以上減少した都内に住所を置く個人事業者等を対象に、都独自に給付する支援制度「東京都中小企業者等月次支援給付金(月次支援給付金)」を採っています。
この支援制度は、国の月次支援金に対して支給金額を加算(上乗せ)または、国の支給要件を緩和(横出し)するというものです。ただし、50%以上の売上減少により本給付金を申請するには、対象月において国の月次支援金の給付を受けている必要があります。
申請受付期間は2021年7月1日から2021年10月31日(消印有効)まで。複数月分の給付金を1回にまとめて申請したり、月ごとに分けて順次申請したりすることも可能です。
また、ニュース等で取り上げられた「誓約書」の以下記載について現在、 “加えて”以降は削除されています。
酒類販売事業者として本要綱に基づく給付金を申請する場合には、飲食店の休業・時短営業の影響があることを要件としており、これを満たしていることに相違ありません。
※東京都中小企業者等月次支援給付金「誓約書」加えて、直接的又は間接的に取引を行う飲食店が酒類の提供停止を伴う休業要請等に応じていないことを把握した場合には当該飲食店との取引を行いません。
※参照:東京都中小企業者等月次支援給付金 ポータルサイト
※参照:東京都 新型コロナウイルス感染症 支援情報ナビ 東京都中小企業者等月次支援給付金
給付対象・要件
個人事業主である酒類販売事業者について給付対象・要件をまとめると以下のようになります。
- 都内に住所のある個人事業者等であること(業種を問わず)
- 緊急事態措置又はまん延防止等重点措置に伴う飲食店の休業・時短営業又は外出自粛等の影響を受けていること
- 2021年(令和3年)の4月、5月、6月における各月売上額が2020年(令和2年)又は2019年(令和元年)の同月の売上額と比べて30%以上減少していること
- 今後も事業の継続および立て直しのための取り組みを実施する意思があること
ここでいう「個人事業者等」には、フリーランスも含まれます。ただし、主たる収入を雑所得や給与所得で確定申告している場合には、基準年(2020年または2019年)及び2021年度対象月以降において、被雇用者または被扶養者である人は対象外とされています。
給付額
2021年(令和3年)4月、5月、6月の売上額と2020年(令和2年)または2019年(令和元年)の4月、5月、6月の月間売上額を比較し、減少率が30%以上となった月があれば、その減少した額が支給されます。ただし、酒類販売事業者である個人事業者等の場合、下表のように減少率に応じて支給額の上限が定められています。
2019年又は2020年の基準月の売上―2021年の対象月の売上 | |||
50%以上減少 | 30%以上50%未満減少 | ||
中小企業等 | 酒類販売事業者 | 上限20万円/月 | 上限10万円/月 |
その他の事業者 | 上限5万円/月 | 上限10万円/月 | |
個人事業者等 | 酒類販売事業者 | 上限10万円/月 | 上限5万円/月 |
その他の事業者 | 上限2.5万円/月 | 上限5万円/月 |
酒類販売事業者である個人事業者等の給付額
- 減少率50%以上の場合:上限10万円
- 減少率30%以上~50%未満の場合:上限5万円
なお、ポータルサイトでは支給額をシミュレーションできる「月次支援給付金シミュレーション」が公開されています。支給額は、審査の上で確定するものですので、本試算の結果はあくまで目安として、参考程度にとどめるようにしましょう。
必要書類
酒類販売事業者である個人事業主が申請するにあたって必要な書類は以下のものがあります。申請書及び誓約書は東京都月次支援給付金のポータルサイトからダウンロードしてください。
- 国の月次支援金の給付通知書の写し(※1)
- 申請書(様式第1号)
- 2021年(令和3年)の対象月の売上台帳等の写し
- 2020年(令和2年)、2019年(令和元年)の確定申告書類の控えの写し(※3)
- 本人確認書類の写し(運転免許証等)(※3)
- 振込先口座及び口座名義人が確認できる書類の写し(通帳等)
- 誓約書(様式第2号)(※4)
- 酒類販売業免許通知書の写し又は酒類製造免許通知書の写し等(※2)(※4)
- 業務委託契約等収入があることを示す書類の写し(※5)
※1:月間売上減少率50%以上(国の月次支援金に加算して支給)の場合のみ提出
※2:酒類販売事業者のみ提出
※3:簡易申請においては、「確定申告書類の控えの写し」や「本人確認書類の写し(運転免許証等)」等
※4:簡易申請・通常申請を問わず、2回目以降の申請では「誓約書」や「酒類販売業免許通知書の写し」等の提出は不要
※5:主たる収入が雑所得である場合のみ提出
※参照:東京都月次支援給付金「提出書類」
申請方法
東京都月次支援給付金の受給にはオンラインまたは郵送により申請します。
オンライン申請(初回申請)の流れ
オンライン申請をする場合、初回の申請は以下のような流れになります。なお、2回目以降は提出書類を一部省略した簡易申請が可能となります。
郵送申請の流れ
郵送による申請は以下のような流れになります。
※参照:東京都月次支援給付金「申請方法」
まとめ
国の月次支援金とともに、地方自治体が行う月次支援給付金を活用すれば、緊急事態措置やまん延防止等重点措置などで売上が減少した個人事業主でも、売上減少分を補填することができます。
地方自治体が行う月次支援給付金は、国が行う月次支援金よりも要件が緩和されているため、対象となる事業者も多くなります。審査に1カ月以上かかることもあるので、申請する場合はできるだけ早く手続きを進めていきましょう。
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