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フリーランス・個人事業主が知っておきたい、新型コロナウイルスによる収入減少への“給付・融資等”の支援制度

FREENANCE MAG フリーランス・個人事業主が知っておきたい、新型コロナウイルスによる収入減少への“給付・融資等”の支援制度

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛や企業の休業によって、多くの人が収入の減少に直面しています。フリーランス・個人事業主の中にも、「これからどうしよう」と頭を悩ませている方は多いのでは?

今回はファイナンシャルプランナーの鈴木さや子さんに、フリーランス・個人事業主が受けられる新型コロナウイルス関連の給付や融資などの支援制度についてお聞きしました。

※こちらの記事は2020年4月16日時点の取材をもとに作成しています。掲載されている情報が変更されている可能性もありますので、申請手続きをする方や検討中の方はご自身で最新の情報をご確認ください。

フリーランス・個人事業主が使える支援策には「給付」「融資」「減免」「猶予」の種類がある

まずフリーランスや個人事業主、中小企業が使える可能性のある支援策はいくつかありますが、ひと口に支援策と言っても、「給付」「融資」「減免」「猶予」などいくつかの種類があります。

  • 給付…公の機関などから、給付金などをもらうことができる。
  • 融資…金融機関などから、お金を借りることができる。
  • 減免…支払うべき料金や税金などの負担が軽くなる、もしくは免除される。
  • 猶予…料金や税金などの支払い時期を先送りしてもらうことができる。

また「もともとあった制度」「東日本大震災後に発令されたもの」「新型コロナウイルスの感染拡大によって新設されたもの」に分けることができます。

以前からある制度は申請方法や支援の内容がすでに決まっていますが、新型コロナウイルスの感染拡大によって新設された制度は、現段階では対象になるケースや申請方法などが不明確なものもあります。そのためさまざまな憶測を呼び、「本当にもらえるの?」「どうすればもらえるの?」など、不安に思っている人も多いでしょう。

そのような状況ではありますが、既存の制度や新設された制度による「給付」「融資」「減免」「猶予」を組み合わせて活用しながら、「収入の減少」に対応していく。それがすべてのフリーランス・個人事業主が、今できる対策だと考えています。

具体的な支援策一覧

フリーランスや個人事業主が使える可能性のある支援策には、具体的に以下のようなものがあります。※各主催機関のリンクは施策詳細ページになっています。

支援策の名称種類主催機関
新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金給付厚生労働省
住宅確保給付金給付厚生労働省
給付奨学金-家計急変-給付日本学生支援機構
持続化給付金(新設)給付経済産業省
新型コロナウイルス感染症特別貸付融資日本政策金融公庫
個人向け緊急小口資金等の特例貸付融資社会福祉協議会
総合支援資金(生活支援費)融資社会福祉協議会
マル経融資(小規模事業者経営改善資金融資)融資日本政策金融公庫
衛生環境激変特別貸付融資日本政策金融公庫
セーフネット保証4号・5号融資信用保証協会
経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)融資日本政策金融公庫
危機関連保証融資信用保証協会
保険 契約者貸付 無利子融資各保険会社
国税(消費税・所得税・法人税)の猶予制度猶予国税庁
固定資産税・都市計画税の減免減免経済産業省
国民年金保険料の猶予猶予厚生労働省
国民健康保険料の減免減免厚生労働省
水道光熱費の支払い猶予猶予各自治体
生命保険料の支払い、保険更新猶予猶予各保険会社
奨学金返還の減額・支払猶予減額・猶予日本学生支援機構

※ 自治体独自の支援策(東京都の例)

支援策の名称種類主催機関
中小企業従業員向けの生活資金融資(新型コロナウイルス感染症緊急対策融資)融資中央労働金庫
事業継続緊急対策(テレワーク)助成金
令和2年3月6日(金曜日)~5月12日(火曜日)
助成東京しごと財団

この中でも、特にフリーランス・個人事業主が押さえておきたい支援制度を紹介します。

子どもがいる人が知っておきたい:小学校休業等対応支援金給付奨学金

新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金(新設)(給付)

【対象】

小学校などが臨時休校となったことで、子どもの世話をするために業務委託によって、請け負っていた仕事ができなくなり収入が減少したフリーランス等

【給付内容】

2月27日~6月30日の間、就業ができなかった日数×4,100円/1日

【担当機関】

厚生労働省(施策の詳細はこちら

給付奨学金-家計急変-(既存制度の対象条件に新型コロナウイルスが追加)(給付)

従来は災害や死亡、失職が支給の要件だった制度。今回、コロナウイルス感染拡大の影響による生計維持者の減収も対象になりました。

【対象】

  • すでに大学、短大、高専、専門学校に在学している人
  • 在学している学校が給付奨学金の対象として、国または自治体の確認を受けていること
    文部科学省のホームページより詳細を確認可能

【給付内容】

大学生の場合9,800円~75,800円

【担当機関】

独立行政法人 日本学生支援機構(施策の詳細はこちら

ポイント
給付奨学金や後に紹介する住宅確保給付金のように、既存の制度や既存の制度の対象に新型コロナウイルスの影響が含まれたものは、申請方法や貸付の仕組みがすでに整備されています。金額は十分とはいえないかも知れませんが、深刻な状況に陥る可能性があるのならば速やかに申請をすることをおすすめします。

また、給付奨学金の水準とならなくても、在学中にいつでも奨学金の貸与を申請できる「緊急採用」「応急採用」という仕組みもあります。

所得が減少した人が知っておきたい:持続化給付金

持続化給付金(新設)(給付)

【対象】

2020年1~12月のうち、いずれかの月の収入が前年同月よりも半分以上減少した中小企業事業者、フリーランス、個人事業主

【給付内容】

個人事業主に最大100万円、中小企業に最大200万円の給付。減収額×12カ月分を上限額まで支給

売上減少分の計算方法
前年の総売上(事業収入)―(前年同月比▲50%月の売上げ×12カ月)

【担当機関】

総務省

持続化給付金は補正予算成立後のスタートとなりますので、手続きや必要書類が確定ではないため最新情報をチェックしてください。

住宅確保給付金(既存制度の対象条件に新型コロナウイルスが追加、対象者が拡大)(給付)

【対象】

  • 新型コロナウイルス感染拡大の影響で仕事を失い、家賃が払えない人
  • (4月20日から追加)離職又は廃業には至っていないが住宅を失うかも知れない人
  • 離職等の前に世帯の生計を主として維持していた人
  • ハローワークに求職の申し込みをしている人
  • 国の雇用政策による給付等を受けていない人
  • 離職後2年以内の人・世帯収入要件あり(収入=家賃+住民税非課税水準)

【給付内容】

生活保護の住宅扶助特別基準額が上限。東京23区の場合は単身で5万3,700円(16㎡超の場合)、2人世帯で6万4,000円、3~5人世帯で6万9,800円など。最大3カ月支給。

【担当機関】

厚生労働省(施策の詳細はこちら

大きな金額の融資を受けたい人が知っておきたい:個人向け緊急小口資金等の特例など

個人向け緊急小口資金等の特例(既存の制度に新型コロナウイルスの影響も追加)(融資)

【対象】

休業等により収入の減少があり、緊急かつ一時的な生活維持のための現金を必要とする世帯(無利子による貸付)

【融資内容】

  • 学校等の休業、個人事業主等のコロナウイルス感染拡大の影響にともなう特例の場合、20万円以内を速やかに貸与
  • その他の場合、10万円以内を速やかに貸与
  • 返済開始は貸与から1年後(償還時において、なお所得の減少が続く住民税非課税世帯の場合、償還を免除)

【担当機関】

社会福祉協議会

ポイント
「融資」の支援制度には「借金をしろということ?」という、批判的な声も少なくありません。しかし、無利子・無担保であることなど、一般的な借入れやローンと比べると好条件であることは確かです。

新型コロナウイルス感染症特別貸付(新設)(融資)

【対象】

  • 最近1カ月の売上高が、前年または前々年の同期と比較して、5%以上減少している事業者
  • 業歴が3カ月以上1年1カ月未満の場合等は、最近1カ月の売上高が、次のいずれかと比較して5%以上減少している事業者
    ①過去3カ月(最近1カ月含む)の平均売上高
    ②令和元年12月の売上高
    ③令和元年10~12月の平均売上高

【融資内容】

  • 融資限度額:6,000万円
    通常は有利子。以下の場合は、3000万円までは別途、利子補助制度との併用により無利子に
  • 個人:小規模(要件なし)
  • 法人:小規模(売上高マイナス15%)
  • 個人・法人:中小企業(売上高マイナス20%)

【担当機関】

日本政策金融公庫(施策の詳細はこちら

生活の維持が難しい人が知っておきたい:総合支援金など

総合支援金(生活支援費)(融資)

【対象】

収入の減少や失業などにより生活が困窮し、日常生活の維持が困難になっている世帯(原則として、自立相談支援事業等による継続的な支援を受けることが融資の要件となる)

【融資内容】

貸付金額の上限月20万円以内(2人以上世帯)/月15万円以内(単身世帯)を無利子で貸付

※貸付期間は原則3月以内
※償還時において、なお所得の減少が続く住民税非課税世帯の償還を免除

【担当機関】

社会福祉協議会

申請から融資までに時間を要することを視野に入れよう

制度にもよりますが、申請の受理から融資が実行されるまでに数カ月の時間がかかる可能性もあります。申請そのものにも時間がかかる可能性もありますので、「とりあえず利用する前提」で必要書類の準備を始めておくとよいでしょう。

また、申請手続きをするために各機関の窓口に行かなくてはならないのか、WEB申請だけで完結できるのかも調べておくと良いでしょう。

profile
鈴木さや子:株式会社ライフヴェーラ代表取締役 ファイナンシャルプランナー(CFP®)・1級FP技能士・DCプランナー1級・キャリアコンサルタント(国家資格)All About学費・教育費ガイド-毎日を笑顔で過ごすために、生活に役立つお金の情報やキャリアの考え方を、セミナーや雑誌のコラム、ブログ、Facebookなどを通じて発信。保険や金融商品などを一切販売しないFPとして活動中。

減免・猶予についてはこちらの記事でまとめています。

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