フリーランスや個人事業主となる際に必要な手続きのひとつが「公的医療保険(健康保険)」への加入です。一口に公的医療保険といっても、個々の状況に応じて選択肢があります。保険料や実際に受けられる給付もそれぞれ異なることを覚えておきましょう。
公的医療保険には選択肢がある!
日本では、国民全員がなんらかの公的医療保険に加入する「国民皆保険制度」を採用しており、74歳までは職業等により分けられた、いずれかの公的医療保険に加入します。加入者は医療機関を自ら選ぶことができ、少ない負担で高度な医療サービスを受けられます。
一般的にフリーランスや個人事業主が加入するのは、市区町村が運営する国民健康保険(国保)、いわゆる「市区町村国保」が多いですが、状況によって以下の選択肢があります。
- 市区町村国保に加入する
- 国保組合に加入する
- 前職での健康保険に引き続き加入する
- 家族の健康保険の被扶養者になる
それぞれを詳しく見ていきましょう。
市区町村国保に加入する
市区町村国保は「地域保険」とも呼ばれる国保のひとつです。保険料は一律ではなく、共通の限度額のもと、保険者が定めた税率や算出方法で、主な生計維持者の前年度の所得金額に基づき算出されます。
被保険者となる家族がいる場合は、人数分の保険料を支払う必要があります。支払った保険料は全額所得控除となるため確定申告で税金負担を減らせますが、会社員からフリーランスや個人事業主になると保険料負担が増える場合が多いようです。
業務上の病気・ケガも給付の対象です。死亡給付と出産給付は市区町村の任意給付となっており、働けない間の所得を補う「傷病手当金」の給付は原則ありません。
※参照:東京都杉並区「国民健康保険」
国保組合に加入する
国保組合(組合国保)は、市区町村国保と同様に国保のひとつです。特定の職種ごとに、認可を受けて設立された「国民健康保険組合」が運営しています。平成21年3月時点では、医師、歯科医師、薬剤師、土木建築、文芸・美術など、全国に165の組合があります。
保険料は一律・定額で、月額2万円程度が広く一般的です。そのため、所得によっては市区町村国保よりも保険料負担を減らすことができ、傷病手当金の給付を実施している組合も多いです。ただし、退職した場合には任意継続できません。
前職の健康保険に引き続き加入する
前職が会社員だった場合、それまでの健康保険(社保)の要件を満たすことで、退職後も継続加入できる「任意継続被保険者制度」というものがあります。
資格喪失日の前日(退職日)までに継続して2カ月以上の被保険者期間がある場合に、資格喪失日から20日以内に「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出することで、最大2年間継続加入できます。
退職前は勤務先と半々で負担していた保険料は全額自己負担となるため、思ったよりも保険料がかかることに注意が必要です。
また手続きには20日間という期限があります。退職前にあらかじめ市区町村国保に加入した場合の保険料を把握しておくなど、準備も必要でしょう。
※参照:関東ITソフトウェア健康保険組合「任意継続被保険者とは?」
家族の健康保険の被扶養者になる
会社員として働く家族がいる場合、要件を満たせば家族の「被扶養者」になることも可能です。
主に、被保険者の収入によって生活をしていることが必要となります。被扶養者になれるのは原則、被保険者の直系尊属、配偶者(内縁の配偶者を含む)、子、孫、兄弟姉妹です。
配偶者の親や甥、叔母、内縁の配偶者の子や親なども被扶養者になることができますが、被保険者と同一世帯であることが必要です。保険料負担はありませんが、市区町村国保と同様に傷病手当金はなく、また出産手当金もありません。
まとめ

健康なときには支払いをわずらわしく感じてしまいがちな保険料ですが、事業を持続していく意味でも、しっかりと用意しておきたい備えのひとつです。
いずれの保険に加入する場合も、保険料は全額所得控除となり税金を減らせます。また、青色申告をすれば国保にかかる保険料を減らせる可能性もありますので、保険料が高い・安いだけを基準にするのではなく、総合的に考えて検討していきましょう。

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