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【弁護士に聞く】副業禁止の会社で副業したらどうなる?法的にはどう判断される?

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※2021年3月更新

近年、「働き方改革」の一環として、副業や兼業を促進する動きが活発になっています。しかし、中小企業庁の調査(「兼業・副業に係る取組み実態調査」2014年)によれば、兼業・副業を認めていない企業は85%以上にのぼるそう。

では、会社が副業を禁止している場合、絶対に副業をすることは許されないのでしょうか? 山田友幸弁護士に聞きました。


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そもそも、会社が副業を全面的に禁止することはできない

最近は政府が「働き方改革」を提唱していることもあり、副業に対する意識がずいぶん変わってきたと感じています。それでも「正社員は副業をしてはいけない」と考えている方もまだ多いのではないでしょうか?

結論から言えば、副業を禁止する法的な規制はありません。労働者が会社の指揮命令下に置かれるのは法律上の労働時間に限られ,労働時間以外の時間をどのように使うかは、基本的には労働者の自由です。

つまり本来は、会社が就業規則によって副業を全面的に禁止することはできないのです。

※参照:厚生労働省 副業・兼業
※参照:厚生労働省 モデル就業規則の改定案(副業・兼業部分)

副業をしても就業規則違反になるとは限らない

そうはいっても、就業規則に副業を禁止する旨が記載されているケースは非常に多いですよね。そのため,副業を行って、それが会社に知られてしまった場合は、就業規則違反として会社から何かしらの罰を受けるのではないかと不安になる方も多いでしょう。

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副業が発覚した際のペナルティが気になる人も多いはず

しかし就業規則で副業が禁止されているとしても、労働時間以外の時間に本業以外の業務を行うことが、必ずしも就業規則違反になるわけではありません。

例えば、始業時刻前の約2時間、父親の経営する新聞販売店の仕事に従事した社員が、副業禁止規定に反しないとされた事例もあります。ルールが適用される際には「解釈」という過程を経ますので、杓子定規に違反か否かが決定するものではないのです。

一方、以下のような場合には、会社が副業を制限することが妥当であると判断されることがありますので注意しましょう。

  • 労務提供上の支障がある場合
    例:本業後に毎日6時間、深夜までキャバレーで就労
  • 競業により企業の利益を害する場合
    例:管理職にある従業員が、競業他社の取締役に就任

その他、企業秘密が漏洩する場合や会社の名誉・信用を損なう行為がある場合などが考えられます。

これらの場合は、会社から戒告・減給・解雇などの処分を受ける可能性はゼロではありません。ただし、会社側が自由にどのような処分でもできるわけではありません。違反の程度に応じた処分が許されるのみです。特に解雇については、法律上、厳格な要件が定められています。

※参照:厚生労働省 労働契約の終了に関するルール

会社側も労働者側も、副業に対する認識を変えていくべき時代

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副業を是正する企業も近年、徐々に増えている

副業は会社側・労働者側の双方にメリットをもたらしてくれる可能性があります。

労働者にとっては自己実現やスキルアップ、所得の増加が見込めます。会社側にとっても、従業員が学びをフィードバックしてくれますし、社外ネットワークを構築するチャンスでもあります。さらに近年は人材確保が企業にとって重要な課題になっていますから、自由に副業をさせて人材の流出を防ぐという考え方のほうがいいのではないかと思います。

副業を行うことは企業にもメリットをもたらすという意識のもと、副業を認める大企業も登場しています。人口が減少して少子高齢化が進む社会背景などを考えると、副業を禁止するよりも認めるほうがメリットは大きいでしょうから、副業に対する社会全体の意識は徐々に変化してくるでしょう。

会社としっかりコミュニケーションをとることが大切

裁判例からすると、会社が副業を制限できるケースというのは限られています。

副業をしたいと考えるなら、そのことを会社に伝え、十分にコミュニケーションをとって、会社の許可を得て副業を行うことが理想です。労働者は自らの法的な権利を認識し、自分の主張を会社側にきちんと伝えることが大切なのです。

「会社と話し合えれば苦労しないよ」という声も聞こえてきそうですが、もし副業について話してみて、会社が頑な姿勢で禁止する場合は弁護士に相談するという方法もあります。過去には、弁護士が人事部長に面談を申し込んだだけで解決したという事例もあります。

労働者と企業がそれぞれの権利や義務を知ったうえで、しっかりと話し合うことが課題解決の糸口になるのではないでしょうか。

※参照:厚生労働省 副業・兼業の促進に関する ガイドライン 【参考】裁判例

取材協力/山田友幸弁護士
取材・文/FREENANCE MAG編集部

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