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令和6年の秋から「すべてのフリーランス」が労災保険「特別加入」の対象に! その背景や受けられる補償内容とは? 社労士がわかりやすく解説

令和6年の秋から「すべてのフリーランス」が労災保険「特別加入」の対象に! その背景や受けられる補償内容とは? 社労士がわかりやすく解説

フリーランスの人は、2024年(令和6年)の秋から、すべての職種で「労災保険」に特別加入できるようになります(※)。自身で保険料を負担する必要がありますが、仕事や通勤などでのケガ、病気、障害、死亡の際には、雇用されている労働者と同様の補償を得られる仕組みで、2024年11月1日ごろの施行が見込まれています。

もともとフリーランスの人は、“一部の職種”のみ、特別加入を認められていました。そして、本改正によって原則、フリーランスとして行う全職種が特別加入の対象となります。

そこでこの記事では「労災保険とはなにか?」といった概要から、特別加入の対象が拡大することとなった背景、労災保険によって受けられる補償、フリーランスが労災保険に加入する際の手続きなどを解説していきます。

※参照:令和6年秋から「フリーランス」が労災保険の「特別加入」の対象となります

労災保険とは?

労災保険制度は、労働者が仕事中や、通勤中のケガ、病気、障害または死亡等に対して補償を受けられる制度です。あわせて被災労働者の社会復帰の促進等の事業も行っています。

そもそも、労働者を雇っている事業主(会社・個人事業主含む)は労働者の業務上の災害等について補償する義務を負っています(労働基準法第75条以下)。

とはいえ、大きな事故等が発生したら事業主だけで負担できない場合も考えられます。事業主の業績不振・倒産・廃業などによって、労働災害の補償ができないことも考えられるでしょう。そこで、事業主から保険料を徴収し、国が運営する保険制度として労働者災害補償保険法(労災保険法)ができました。

費用は、原則として事業主が負担する保険料によってまかなわれます。労働者における業務上の災害のみならず、通勤災害も補償の対象です。このほか、労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその遺族の援護、労働者の安全及び衛生の確保など、さまざまな目的を持っています(労災保険法第1条)。

労災保険の給付は、例えばケガや病気の治療費など、全額保険の対象となるほか、休業したときの手厚い補償など、健康保険とくらべて大変充実しています。

※参照:「労災保険の必要性」を感じたフリーランスが過半数 FREENANCEが意識調査を実施 | FREENANCE MAG

特別加入とは?

このように、労災保険法はもともと、事業主に雇用されている労働者の保護を目的とされていました。しかし、雇用されていない人であっても、業務の実態や、災害の発生状況から見て、労働者に準じて保護されることがふさわしい人もいます。

そこで、労災保険法では「特別加入」という制度を設け、一定の要件の下に労災保険に特別に加入できることを認めています。希望する人が、自分で保険料を払って加入するという仕組みです。

特別加入できる人の範囲は、「中小事業主等」「一人親方等・特定作業従事者」「海外派遣者」の3種に大別されます。特別加入が認められている類型とその理由は次の通りです。

第一種特別加入者:中小事業主等

中小事業の場合、事業主は労働者とともに労働者と同様の業務に従事する場合が多く、実態は労働者と変わりません。事業主の家族従事者なども含まれます。

※参照:特別加入制度のしおり(中小事業主等用)|厚生労働省

第二種特別加入者:一人親方等、特定作業従事者

建設の事業などの自営業者は、いわゆる一人親方として、労働者を雇わずに自分自身で業務に従事しており、やはり実態は労働者と変わりません。

さらに、一人親方等以外の人でも、農作業など実際の作業の実態から労働者として扱うほうがふさわしい人もいます。

そこで、「一人親方等」として建設、林業、宅配事業者等の11種類、「特定作業従事者」として農作業、介護、芸能、アニメ、ITフリーランス等の14種類、合計25種類の事業従事者がこれまで特別加入を認められてきました。

今回の法改正では、この一人親方等のこれまでの類型11種類に加えて、業種に関わりなくフリーランスが参加できる12番目の類型を設けて、特別加入の幅を広げようとするものです 。

※参照:特別加入制度のしおり(一人親方その他の自営業者用)|厚生労働省

第三種特別加入者:海外派遣者

労災保険法は法律の属地主義の原則で、国内の事故だけを対象にしています。雇用されている労働者が海外に派遣された場合、海外で事故に遭っても国内のように十分な保険給付が受けられないことがあります。そこで、海外派遣の際には、特別加入を認め、国内と同様の保護をすることが認められています

※参照:特別加入制度のしおり(海外派遣者用)|厚生労働省

特別加入の対象拡大の背景/改正後の対象範囲

政府の調査によると、フリーランスは国内に462万人おり、このうち業務委託で仕事をする人は約273万人と試算されています(※)。個人で仕事を請け負うフリーランスは増加しているものの、企業との雇用関係がなく業務や通勤の際にケガや病気をしても、療養費や休業補償が労災保険でカバーされないことが問題視されてきました。

※参照:フリーランス実態調査結果 令和2年5月 内閣官房日本経済再生総合事務局

厚生労働省は特別加入の対象業種を徐々に拡大してきましたが、なお十分なものとは言い切れませんでした。

昨年5月に公布された「フリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律/フリーランス保護新法)」の検討の中でも、この問題が取り上げられ、国会での審議の中でもさらに幅広く加入できる制度を求める声が、大きくなっていったのです。

そもそも、フリーランス新法は、個人が事業者として受託した業務に安定的に従事することができるよう、フリーランスに業務委託をする事業者に対して「契約内容の明示」「不当な取引の制限」等を規定したものです(※)

※参照:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)の概要 (新規)

これにとどまらず、フリーランス新法の成立時の国会の附帯決議において「労災保険の特別加入制度について、希望するすべての特定受託事業者が加入できるよう対象範囲を拡大する」(※)と定められました。

※参照:これまでの特別加入の拡大について 厚生労働省 労働基準局労災管理課

さらに附帯決議では「労働者に当たる者に対し、労働関係法令が適切に適用されるような方策を検討するとともに、偽装フリーランスに適切に対応できるよう十分な体制整備を図る」という趣旨も記載されています。

労働保険・社会保険等の負担逃れなどのため、実質的に労働者でありながら、フリーランスとして形式的に業務委託契約の形をとる、といった脱法行為を許してはならない、という趣旨が記載されました。

今回の労災保険法関連の一連の法整備は、フリーランス新法の成立時に盛り込まれた国会の上記の附帯決議の趣旨を反映したものです。

これまでのルールのもとでは、70万人ほどのフリーランスが労災に特別加入していたとみられますが、上記の通り事業者からの委託を受けているフリーランスは約273万人とされ、新制度が始まれば利用者が増加する可能性が高いと考えられます。

なお、労働災害を防止するための労働安全衛生法の適用に関しても、フリーランスへの保護拡大の方針が決定されています。安全対策が進むことになった一方で、課題として残されていたのが、フリーランスが実際に業務中にケガをしたときなどの補償の問題でした。

制度の具体的な内容「どんな補償が受けられる? 保険料は?」

ここでは、制度の具体的な内容を見ていきましょう。

一般の労働者とフリーランスの労災保険の違いは? 健康保険との違いも解説!

詳細は個々の項目ごとに後述しますが、ポイントは次の通りです。

  1. 労災保険の給付は、健康保険の給付よりも手厚い。労働中に万が一の事故にあった場合、手厚い補償が受けられるようになっている。
  2. フリーランスの労災保険の給付は、一般の労働者と比較しても同等の内容になっている。
  3. ただし、フリーランスの労災保険の保険料は自分で全額負担する必要がある。また、加入は任意であり、加入する場合には業界団体を通す必要がある。
  4. 今回、フリーランスの労災保険加入の範囲が拡大されたといっても、法律の施行後にそれぞれの業界団体の準備を整えて加入を受け付けることになるため、実際の加入までにはそれなりに時間を要する。

    すでに加入が認められている25種類の事業におけるフリーランスであれば、今でもそれぞれの団体を通じて加入することができる。

上記のポイントを踏まえ、一般の労働者とフリーランスにおける、労災保険の違いや、健康保険と労働保険の違いを表形式で見ていきましょう。

一般の労働者とフリーランスにおける労災保険・健康保険

労災保険 健康保険
一般の労働者 フリーランス 一般の労働者 フリーランス
加入方法 強制加入:会社が手続き(パートアルバイト等含む) 任意加入:業界団体を通じて加入 会社が手続き(健康保険組合・協会けんぽ) 本人が手続き(市区町村国民健康保険)
給付の事由 ①業務災害(業務上の事由の災害)
②通勤災害(フリーランスの給付対象となる災害の範囲には一定の制約がある)
左記以外(私傷病)
保険料 事業主(会社)負担 本人負担 事業主(会社)と労働者折半負担 本人負担

労働保険・健康保険の給付について比較

給付内容 労災保険 健康保険
①療養の給付 本人負担ゼロ (労災保険から全額給付) 本人負担3割 (健康保険から7割給付)
②休業給付 ケガや病気のため働けないとき 給付基礎日額の80%。期間制限なし。 傷病手当金。ただし最長1年6カ月が限度。
③傷病年金 療養開始後1年6カ月たっても治らず重い症状が継続したとき。年金+特別の一時金。 なし
④障害給付 ケガや病気が一応治っても障害が残ったとき。その状況により年金または一時金。 なし
⑤遺族給付 ケガや病気で労働者が亡くなったとき。 遺族に年金または一時金を支給。 なし
⑥葬祭料等 (葬祭給付) 30万円以上の給付 埋葬料5万円

傷害や死亡の場合、厚生年金や国民年金等の障害年金・遺族年金等の制度が別途あります。労災保険の給付が行われる場合には、給付について一定の調整が行われます。

フリーランス=個人で事業をしていて、従業員を雇用していない人

ここで言う「フリーランス」は、いわゆるフリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律/フリーランス保護新法)に規定する「特定受託事業者」です。業務委託の相手方である事業者であって、従業員を使用しないものを指します。

フリーランスにおける労災給付の内容には限定がある

フリーランスの場合、業務や通勤時のケガや病気など、どんな場合でも給付が受けられるわけではありません。対象になるのは次の事業です。

  1. フリーランスが企業等から業務委託を受けて行う事業
  2. 上記1と同種の事業について、フリーランスが消費者から委託を受けて行う事業

例:フリーのカメラマン

この例では、フリーランスのカメラマンが自分の写真集をネットで販売しても「業務委託」としての事業ではないので、労災の対象にはなりません

例:スポーツジムのインストラクター

スポーツジムのインストラクターの例が、厚生労働省のチラシで紹介されています。スポーツジムでのインストラクター業務は対象になり、その人が消費者個人の家庭向けのパーソナルトレーナー業務を行う場合も対象になります。

しかし、消費者のみから委託を受ける場合や、企業から委託を受けていても、その委託業務とは違う業務を消費者から委託されている場合は、対象になりません。

「給付基礎日額」と保険料

給付の内容を説明する前に、「給付基礎日額」という言葉について先に説明します。給付基礎日額とは、保険料や、休業(補償)等給付などの給付額を算定する基礎となるものです。自身の収入に基づいて適正な額を申請し、それに基づいて労働局長が決定します。

給付基礎日額が低い場合は保険料が安くなりますが、その分、休業(補償)等給付などの給付額も少なくなります。適正な額を申請するべきでしょう。

年間保険料は、保険料算定基礎額(給付基礎日額 × 365)に、それぞれの事業に定められた保険料率を乗じたものです。保険料率は、事業の種類ごとに1,000分の3から52まで決められており、これは労災の発生頻度などリスクに応じて定められています。新たに追加されたフリーランスについては、当面1,000分の3とされる予定ですが、今後の見直しもありえます。

給付基礎日額・保険料一覧及び特別加入保険料率は以下の表の通りです。例として、給付基礎日額1万円を選択した場合の年間保険料を算出してみました。

給付基礎日額1万円を選択した場合の年間保険料

労災保険の給付の詳しい内容(保険給付の種類・内容・支給事由詳細)

労災保険の保険給付の種類・内容、支給事由は以下の表の通りです。前述のように療養については、全額が補償されます。休業、障害、傷病、遺族等の給付は、前述の「給付基礎日額」をベースにその数百日分等など、大変手厚いものです。さらに、障害、傷病、遺族等の給付については、このほか特別支給金という一時金もあわせて支給されます。

これらの給付水準は、一般の労働者の労災保険の給付と同等です。この表の中で、「療養(補償)給付」など(補償)がかっこ書きされているのは、業務上災害ならば「療養補償給付」、通勤災害は「療養給付」という呼び方をしているので、両方まとめて記載されています。

保険給付の種類・内容 支給事由
療養(補償)等給付
労災病院または労災指定病院等において必要な治療等が無料で受けられます。それ以外の医療機関等で治療等を受けた場合には、治療等に要した費用が支給されます。
仕事または通勤によるケガや病気により療養するとき
休業(補償)等給付
休業4日目以降、休業1日につき給付基礎日額の60%(特別支給金20%と合わせて80%)が支給されます。
仕事または通勤によるケガや病気による療養のため労働することができず、賃金を受けられないとき
障害(補償)等給付
年金:1年当たり給付基礎日額の313日(第1級)~131日(第7級)分が支給 されます。
障害(補償)等
年金
仕事または通勤によるケガや病気の状態が安定し、治療してもこれ以上改善しない状態(「治ゆ(症状固定)」と言います)となり、障害等級第1級から第7級までに該当する障害が残ったとき
障害(補償)等
一時金
仕事または通勤によるケガや病気が治ゆ(症状固定)した後に障害等級第8級から第14級までに該当する障害が残ったとき
傷病(補償)等年金
1年当たり給付基礎日額の313日(第1級)~245日(第3級)分が支給されます。
仕事または通勤によるケガや病気(傷病)が療養開始後1年6カ月を経過した日又は同日後において次の各号のいずれにも該当することとなったとき

(1)傷病が治ゆ(症状固定)していないこと
(2)傷病による障害の程度が傷病等級に該当すること
遺族(補償)等給付
年金:遺族の人数に応じ、1年当たり給付基礎日額の245日(4人以上)~153日(1人)分が支給されます。

一時金:右記(1)の場合は給付基礎日額の1000日分が、(2)の場合は1000日分から既に支給した年金の合計額を差し引いた額が支給されます。
遺族(補償)等
年金
仕事または通勤が原因で死亡したとき
被災した特別加入者(労働者)の死亡当時にその収入によって生計を維持されていたなど、所定の要件を満たした配偶者等の遺族に対し支給されます。
遺族(補償)等
一時金
(1)遺族(補償)等年金を受ける遺族がないとき
(2)遺族(補償)等年金を受けている人が失権し、かつ、他に遺族(補償)等年金を受けられる者がない場合であって、すでに支給された年金の合計額が給付基礎日額の1000日分に満たないとき
葬祭料等(葬祭給付)
31万5千円に、給付基礎日額30日分を加えた額または給付基礎日額60日分のうち、いずれか高い方の額が支給されます。
仕事または通勤が原因で死亡した人の葬祭を行うとき

※引用:フリーランスの皆さまも、特別加入により労災保険の補償を受けられます!

特別加入の手続きは? いつから加入できる?

特別加入の手続きは個人で行うのではなく、業界ごとの「特別加入団体」を経由することになります。

特別加入の手続きは、都道府県労働局長の承認を受けた特別加入団体が行う

特別加入の手続きは、都道府県労働局長の承認を受けた特別加入団体が行います。フリーランスの皆さまは、今後設立予定の特定受託業務の特別加入団体を通じて、加入申請書等を提出します。

特別加入団体から所轄の労働基準監督署長~都道府県労働局長に提出する流れです。例えば、通訳事業従事者ならば、今後設立される特定フリーランス事業の特別加入団体へ申請することになります。

すでに特別加入が認められている25事業は、設立済みの特別加入団体に申し込み

以下の事業の方は、すでに設立済みの特別加入団体特別加入団体を通じて、加入申請書等を提出します。この場合も、所轄労働基準監督署長を経由し、都道府県労働局長に提出に申請して加入することになります。例えば、ITフリーランスの人はIT フリーランスの特別加入団体を通じることになります。

特定フリーランス事業以外の特別加入の事業または作業に従事する人
個人タクシー業者、個人貨物運送業者など 特定農作業従事者
建設業の一人親方等 指定農業機械作業従事者
漁船による自営漁業者 国・地方等が実施する訓練従事者
林業の一人親方等 家内労働者等
医薬品の配置販売業者 労働組合等の一人専従役員
再生資源取扱業者 介護作業従事者
船員法第1条規定の船員 家事支援従事者(いわゆる家政婦(夫))
柔道整復師 芸能関係作業従事者
創業支援等措置に基づく高年齢者 アニメーション制作作業従事者
あんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師 ITフリーランス
歯科技工士

※この表では21種類の事業または作業が記載されています。左欄が「一人親方等」11種類はそのままに記載、右欄の「特定作業従事者」14種類を10種類に集約して記載されているものです。

現在の全国の特別加入団体については、厚生労働省のWebサイト内「労災保険への特別加入」ページからダウンロードできる「特別加入団体一覧表」を参照してください。

※参照:労災保険への特別加入 |厚生労働省

特別加入後、仕事中や通勤中にケガ等をした場合の手続き

請求したい保険給付の請求書を、所轄の労働基準監督署等(※)に提出します。

※特別加入団体の主たる事務所の所在地を管轄する労働基準監督署です。

会社員に近い形で働いている場合の対応

労働契約でない請負等の契約により業務に従事している場合であれば、特別加入が可能です。

なお、契約形式に関わらず、実態として労働者と認められる場合は、特別加入せずとも労災保険が適用されるため、それにより補償を受けることができます。

この場合、事業主は保険料を納めることになります。前述した国会の附帯決議でもご紹介したように、実態として労働者でありながら、形式的に業務委託契約として労災保険等の適用を免れるような脱法行為は許されません。仮に事業主が保険料を納めていなかったとしても、労災保険の給付が行われ、後で事業主から保険料が徴収されることになります 。

疑問があったときの照会窓口など

労災保険の特別加入制度は、上記のように複雑な内容になっています。厚生労働省のパンフレットにわかりやすくまとめられてはいますが、疑問の点があれば、都道府県の労働局や最寄りの労働基準監督署にお尋ねになってみてください。

まとめ

会社に雇用されず、業務委託として事業を行うフリーランスは、これまで労働契約の労働者と異なり、取引上弱い立場に置かれていました。しかし、フリーランス新法によって、取引上の経済的な不利益を防ぐための仕組みが整えられつつあります。

さらに、仕事中や通勤中のケガ、病気、障害または死亡等についても、雇用される労働者と同様に、十分な保護を行うことが求められています。個別の業種ごとに、保護の範囲は徐々に拡大されており、今回の法改正では、すべてのフリーランスについて広く保護しようという内容になっています。

ただし、雇用されている労働者とは異なり、フリーランスの場合、保険料は自ら負担する必要があります。さらに、業界ごとの特別加入団体を経由して申し込まなければなりません。実際に個々のフリーランスが労災保険の保護を受けるには、雇用されている労働者とくらべると、いくつかのハードルがあると考えられるでしょう。