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【社労士が解説】安心して働ける環境は整備されるの?フリーランス保護指針を専門家が解説!

FREENANCE MAG 【社労士が解説】安心して働ける環境は整備されるの?フリーランス保護指針を専門家が解説!

フリーランスは多様な働き方が拡大する一方で、十分なセーフティネット(社会保障の制度や仕組み)が備わっていないことが課題となっていました。そこで、令和3年3月26日に策定されたのが「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン(以下、フリーランス保護指針)」です。

その目的は、企業や組織に属さないフリーランスの労働環境を改善することにあります。そこでこの記事では、新たに策定されたフリーランス保護指針について詳しく解説していきます。

フリーランス保護指針とは

フリーランス保護指針は、フリーランスの労働環境改善を目的に、内閣官房や公正取引委員会などが連名で策定したものです。国内のフリーランスの数は300~400万人台といわれますが、厚生労働省はフリーランスを「発注者から委託を受け、主に個人で仕事をして報酬を得る者」と位置付け、「雇用類似の働き方」と呼んでいます。原則として発注者とフリーランスの間で指揮命令関係はなく、フリーランスは発注者から労働法の下では保護されないことが問題となっていました。

このような状況を改善するため、令和2年7月に「フリーランスが安心して働ける環境を整備する」ことが閣議決定され、フリーランス保護指針が誕生しました。

参考
経済産業省:フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン(概要)
https://www.meti.go.jp/press/2020/03/20210326005/20210326005-2.pdf

労働基準法が適用される会社員や独占禁止法で保護される中小事業主と異なり、フリーランスは会社に属さず個人で仕事を行っているため、これまでこういった保護の対象となっていませんでした。フリーランス保護指針では、「発注事業者の優越的地位の濫用」を規制するために、フリーランスに独占禁止法や下請法、労働基準法などが適用されるケースを明確にしました。

発注事業者に独占禁止法や下請法が適用されるのは次のようなケースです。
  • フリーランスに発注時の取引条件を明確にする書面を未交付
  • 優越的地位の濫用につながり得る行為

また、フリーランスが発注事業者の指揮監督下で労働する場合などは、労働基準法や労働組合法が適用されると明記されました。

どういった場合に活用できる?

フリーランス保護指針により、発注事業者の不当な要求を拒否できるようになりました。具体的に見ていきましょう。

発注事業者から取引条件を明確にする書面を請求できる

発注事業者から取引条件を明確にする書面(契約書や発注書)がもらえずトラブルになるケースもありましたが、フリーランス保護指針では独占禁止法や下請法に抵触すると定められているため、法律に基づき発注事業者に書面を請求できます

発注事業者の「優越的地位の濫用」を拒否できる

フリーランス保護指針では「優越的地位の濫用」につながり得る「行為類型が明記されました。報酬の支払遅延や減額、著しく低い報酬の一方的な決定、成果物の受領拒否や返品、一方的な発注取消しなど、該当すれば独占禁止法などの規制を受けるため、発注事業者の優越的地位の濫用を拒否できます

「労働者性」が認められれば労働基準法などの適用を受ける

フリーランスの場合でも「労働者性」が認められれば、労働基準法や労働組合法等の労働関係法令に基づくルールが適用されることとなります。労働者性の定義は、労働基準法上と労働組合法上で違いがあります。

  • 労働基準法上の労働者:
  • 職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者(労基法9条)。 発注者等との関係では、労働基準法の労働時間や賃金などに関するルールが適用されることになります。

  • 労働組合法上の労働者:
  • 職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者(労組法3条)。団体交渉等について、同法による保護を受けることができます。

どんな点が改善される?フリーランス保護指針のメリット

フリーランス保護指針を活用するメリットを、具体的にみていきましょう。

発注事業者と対等な立場で取引できる

発注事業者の都合で、報酬の支払遅延や減額など不利な扱いを受けても泣き寝入りするしかなかったようなケースもありましたが、フリーランス保護指針で「優越的地位の濫用が規制されました。違反行為を訴えることも可能となり、フリーランスの立場が強化されました。

労働基準法などの保護を受けることができる

労働者性」が認められれば、会社員と同様に労働時間や賃金等に関するルールが適用されます。発注事業者の指揮監督下で長時間労働を強いられた場合には、労働基準法の定める割増賃金の請求などが可能となります。

フリーランス保護指針は発表されたばかりなので、発注事業者側の理解もまだ浅く、交渉するとしても効果が限定的であることが予想されます。まずは発注事業者に、フリーランス保護指針が策定されたことを認識してもらうことから始めてみてはいかがでしょうか。

まとめ

フリーランス保護指針により、フリーランスが安心して働ける環境づくりが始まりました。立場の強い発注事業者からの不利な雇用条件を規制できるようになったものの、実効性はこれからです。フリーランスとして活動しているのであれば、今後発表される「業種別の下請ガイドライン」改定などの情報収集に努め、自らの労働環境の改善に役立ていただければと思います。


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