30代・既婚・子どもありのフリーランス・個人事業主が蓄えておきたい貯金額は?【お金の相談室】

今回のテーマ
会社員のように先々の収入の見通しが立てにくいフリーランス・個人事業主は、いざというときに備えて貯金をしておくことが大切。30代・既婚・子どもありのフリーランスの場合、どのくらい貯金をしておくのが理想?
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鈴木さや子
株式会社ライフヴェーラ代表取締役 ファイナンシャルプランナー(CFP®)・1級FP技能士・DCプランナー1級・キャリアコンサルタント(国家資格) ・AllAbout「学費・教育費」ガイド。毎日を笑顔で過ごすために、生活に役立つお金の情報やキャリアの考え方を、セミナーや雑誌のコラム、ブログ、Facebookなどを通じて発信。保険や金融商品などを一切販売しないFPとして活動中。
株式会社ライフヴェーラ

フリーランスは貯金意識を高めることが大切

鈴木さん:厚生年金に入っていないフリーランス・個人事業主は、会社員と比較すると年金受給額が少なく、退職金や健康保険の傷病手当金等の保障もないので、身を守るためにも貯金意識を高めることがとても大切です。

30代・既婚・子どもありのフリーランス・個人事業主が貯金額を考えるときには、独身時代とは違って

・教育費はどのくらいかかるか
・マイホームを買う予定はあるか
・今後の出産計画や配偶者の仕事の予定

といったことも考慮しながら配偶者としっかり話し合い、二人で協力して貯金していくという意識を持ちましょう。

30代既婚者が毎月しっかり蓄えていきたいのは「教育費」と「老後資金」

鈴木さん:まず、毎月どのくらいの貯金をすべきかを考えてみましょう。毎月しっかり蓄えていきたいのは「教育費」と「老後資金」です。

お子さんがいても、養育費(食費など)の影響はそこまで大きくはならないと思いますが、節約することができないのが教育費です。高校卒業までは、出来る限り手取り収入でまかなえる進路選びが大切ですが、貯金しておかないといけないのは大学資金。一般的に、大学4年間で必要になる金額は、国公立の場合は約464万円、私立(文系)の場合は約680万円(※)といわれています。その金額を貯めるために月々どのくらい貯金をする必要があるのか、お子さんの年齢に合わせて計算してみましょう。そして、夫婦でその金額をきちんと貯めていけるように相談してください。
(※)教育費負担の実態調査結果(令和2年3月発表)より

子どもの教育費は一気にまとまったお金が必要になるので、貯金は大切ですね…!

鈴木さん:そうですね。また、老後に必要な資金については、このようなシートで計算することができます。今は「国民年金が夫婦合わせて月13万円、住宅ローン完済済持ち家あり、65歳で退職の場合」の数字を入れていますが、( )部分に自分の世帯の数字をあてはめて計算してみましょう。

1:もらえるお金 毎月( 13万 )円

2:老後に必要な生活費 毎月( 30万 )円

3:毎月不足するお金 ( 30-13=17万 )円

夫婦共に( 88 )歳まで生きると仮定すると( 88-65=23 )年

( 23 )年× 12 =( 276 )ヶ月

4:蓄えておくべきお金 ( 276 )ヶ月×( 17  )万円= 【 4,692万円 】

『ファイナンシャルプランナーに聞く』 フリーランスが蓄えておくべき老後資金はいくら?(前編)

30代は「生活費1年分くらい」の貯金が常に確保できていると安心?

30代・既婚・子どもありのフリーランスは、どのくらい貯金があれば安心なのでしょうか?

鈴木さん:人それぞれ生活スタイルが異なるので一概には言えませが、もし自分が一家の大黒柱で、配偶者はほとんど収入がないという場合は「1年間の生活費くらい」の貯金は常に確保できていると安心かもしれません。この貯金はいざというときのために、手をつけないものと考えてください。

生活費1年分の貯金は維持して、老後資金や子どもの教育費を毎月貯金する。そして保険や生活費を支払い、残ったお金の中で住宅ローンや家賃が支払えると理想的ですね。

住宅ローンの金額設定も、悩ましいところですよね。

鈴木さん:結婚していてお子さんがいれば、マイホームを購入しようと考える方も多いでしょう。マイホームを購入する際には住宅ローンを組む方が大半だと思いますが、フリーランス・個人事業主の場合は、住宅ローン返済などの固定費はできるだけ抑えるのが得策です。

仕事の調子が良いときに高額な住宅ローンを組んでしまうと、その後、収入が下がったときに支払いが困難になってしまいます。今後の年収が予測しづらいタイミング、例えば独立した直後にローンを組むのも避けた方がいいでしょう。

フリーランスは通勤が不要というメリットがありますので、それを生かして、「少し駅から遠いけど低価格」という物件を選んでみてもいいかもしれません。

フリーランスの貯金のコツは、事業用と生活用に口座を分けること!

なかなか貯金ができないという人も少なくありませんが、確実に貯金するためのアドバイスがあればお願いします。

鈴木さん:まずは口座を分けることです。フリーランス・個人事業主の中には、「仕事のお金」と「家計」が一つの口座に混同している人も多いと思います。これでは毎月の収支や貯金額がはっきりしません。まずは事業用と生活用に口座を分けること。それが難しければ貯金用の口座だけでも別に作って、そこに確実にプールしていきましょう。そしていくら貯まっているのか、夫婦でリアルタイムに確認できるようにしておくと安心です。

貯金と併せて、いざというときのために保険にも加入しておくべきですか?

鈴木さん:高額な生命保険や医療保険に入っている人も多いのですが、そのために払う保険料が原因で、貯金ができないのは本末転倒かと思います。フリーランス・個人事業主は、 サラリーマンよりもイレギュラーな事態が多く予想されるため、 現金を確実に貯めておくのがかなり大事ではないでしょうか。
たとえば医療保険は、共済等の月々数千円程度のものでも十分です。または、心配な病気、たとえばガンとか三大疾病などに限定して、入院すると一時金でもらえるタイプの医療保険に入るのは悪くないでしょう。でも、入院しないともらえない医療保険よりも大事なのは、病気や怪我によって毎月の収入がゼロになってしまうことに備えた所得補償保険だと思います。

もし配偶者ではなく自分の収入がメインという場合は、お子さんが小さいと、それなりの金額の死亡保険に入っていないと不安かもしれませんが、その場合は「終身」でなく、「お子さんが22歳になるまで」など期間が限定された定期保険はいかがでしょう?それによって、ぐっと掛け金が低くなりますよ。

ありがとうございました!