二児を育てるシングルマザー、家のローンは30年。それでも私がフリーランスな理由(前編)

23歳で結婚、ふたりの子どもを出産。

そして、29歳で離婚。

人生の大イベントを猛ダッシュで駆け抜け、30歳になった日には2歳と0歳の子を持つ立派なシングルマザーかつ、何の保証もないフリーランスになっていた。

さらに重くのしかかる、離婚したその日にノリで買ってしまった家の「ローン30年」。(こちらは著書『シングルマザー、家を買う』に詳しくあるのでお暇なときにぜひ読んでもらいたい。)

客観的に見たら逃げ出したくなるような状況に置かれていた私が、それでもフリーランスとしての道を突き進んだ理由をお話ししたいと思う。

30歳でシングルマザー。両手にはバブバブした赤子が二人

どこにも所属しない、フリーランスのライターとして活動し始めたのは2003年。

当時私は出版社のアルバイトを卒業し、「これから日本のロック界に名を刻むぞ!」と意気揚々と音楽ライターを目指す、甘っちょろく、でも熱い23歳だった。

出版社や編集プロダクションに就職するという道もあったのだろうが、私がなりたかったのは“音楽ライター”。フリーランスしかないのである。

「逃げ道はない。やるしかない」

そんな気持ちでフリーランスとしての仕事をこなす私に、大きな転機が訪れた。

離婚だ。

30歳でシングルマザーとなった私の両手には、まだバブバブした赤子が二人もいた。0歳と2歳をひとりで育てていくには、いったいどうしたらいいのか。

しかも「シングルマザーでも子どもたちにずっと住める家を与えてあげたい」という思いから、離婚と同時に買ってしまった家のローン30年も私の肩に重くのしかかっていた。

さらにその当時、私がレギュラーで執筆させてもらっていた月刊誌が2冊同時に廃刊になったこともあり、「いよいよだな」という終末感を感じていた。途方に暮れて、急に怖くなり、安心が欲しくてちょっと怪しい電話占いにハマった時期もあったほどだ。

ほぼ「ネタ見せ」状態で必死の営業活動

でも、悩んでいても仕事は来ない。

それなら、道はひとつ。営業をするしかないと考え、街の一番大きな本屋に行き、裏表紙に書いてある編集部の番号をかたっぱしからメモし、順番に営業の電話をかけた。

そこで実際に会うところまでこぎつけたのは20社くらいだっただろうか。私のこれまで書いた原稿と経歴を書いたブックを作り、多いときは1日に3社も回った。

私はここで、得意分野であるインタビュー原稿のほかに、シングルマザーであること、お金がないこと、最近ハマった電話占いでの面白話など、ほぼネタみせに近い感覚でペラペラと話し、相手がどれだけ笑ってくれるかを指標にしていた。盛って盛って盛りまくった。もう相手の心どれだけ掴めるかが勝負だと、最初とはかけ離れた目的で、笑いをとることだけに集中していた気もする。

ネタ見せ?営業により約10社のクライアントを獲得!

結果として、今はその半分である、10社とお付き合いをさせてもらっている。すぐにお仕事を頂いたところもあれば、5年越しに連絡をくれたところも。

たまに営業をカッコ悪いとか、営業しないで仕事が来ることがいいとする人も中にはいるが、私はこの時の営業が本当に今の私を支えてくれているので、なりふり構わずネタ見せ営業をした30歳の私を、思いきり褒めてあげたい。

こうして私はネタ見せ営業によって仕事を獲得し、30歳シングルマザーフリーランスとしてやっていくことに奮起したのだ。

フリーライターになって15年。不安になったことは数知れず

フリーランスになってから今日までの15年間、不安になったことは数知れず。

でも、私はフリーランスになったことを後悔したことは一度もない。なぜなら、好きな仕事をしているから。これに尽きると思う。

フリーランスをわざわざ選ぶ人は、誰かに雇われ、指定された仕事をするのではなく、自分で開拓し、自分がやりたい事をやるからこそ、その道を選んだ人が多いはずだ。

それに、フリーランスにはフリーランスにしかない大きなメリットもある。

そのあたりの話は、後編でお伝えしたいと思う。

―後編に続く—

二児を育てるシングルマザー、家のローンは30年。それでも私がフリーランスな理由(後編)

profile

吉田可奈:1980年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、音楽ライターを目指し出版社に入社。その後独立しフリーライターへ。これまでYUIや西野カナなどのオフィシャルライターを務め、音楽誌や俳優誌、ファッション誌などのカルチャー誌を中心に執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。著書本に『シングルマザー。家を買う』(扶桑社)がある。

著書紹介

『シングルマザー、家を買う』(扶桑社)
年収200万円、2人の子供を抱える29歳シングルマザーのマイホーム購入記。資金のやりくりやご近所トラブル、息子の発達障がいなど、多くの難問を明るく乗り越えていく。