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コロナ禍での業務効率化を支援!「IT導入補助金」はフリーランスも対象

フリーランス IT導入補助金

2017年よりスタートした「IT導入補助金」は、業務における課題解決を目的としたITツール導入をする際、費用の一部に補助が受けられる制度です。中小企業・小規模事業者、フリーランスや個人事業主も対象になります。請求書や発注書のデータ化競合サイトの情報収集複数顧客へのメール対応など、雑務に時間を取られているなら、補助金制度の利用を検討してみませんか?

IT導入補助金とは?

事業を営んでいると、さまざまな雑務に時間を取られるケースは少なくありません。そこで、独立行政法人中小企業基盤整備機構と経済産業省の監督のもと、2017年から始まった補助金制度が「IT導入補助金」です。

一般社団法人サービスデザイン推進協議会が事務局業務を運用しており、中小企業や小規模事業者、個人事業主・フリーランスが、課題やニーズに合ったITツールを導入すると、経費の一部について補助を受けることができます。

※参照:IT導入補助金

ITツールは業務効率化や生産性向上を目的とするもの

ITツールとは基本的に、業務効率化や生産性向上を目的として、新たに導入される「ソフトウェア製品」や「クラウドサービス」などを指します。

後ほど説明しますが、例えば、業務の処理手順をあらかじめ登録し、自動で業務を行わせるツール(RPA=ロボットによる業務自動化)の導入や、社内連絡やスケジュール共有などを円滑にするグループウェアを導入する、などが対象です。

このほか、新型コロナウイルス感染症に対応するための「非対面型ビジネスモデルへの転換」や、「テレワーク環境の整備」なども補助金制度の対象です。

IT導入支援事業者とは?

IT導入補助金を利用するにあたって、ITツールを導入したい企業や個人事業主の共同事業者パートナー)となるのが「IT導入支援事業者」です。事前に事務局へ登録された「法人(単独)」と「コンソーシアム」(幹事社1社と構成員からなる形態のこと)で、ITツールの提案や導入を行い交付申請や成果報告を共同で作成・提出します。

そのほか、不正受給の防止を目的とした管理・監督ITツール導入後のアフターサポートなども、IT導入支援事業者の役割です。

なお、IT導入支援事業者が事務局に登録し、認定を受けたITツールのみが、IT導入補助金の補助対象となります。

※参照:IT導入補助金 IT導入支援事業者・ITツール検索

補助金は「通常枠」と「低感染リスク型ビジネス枠」

IT導入補助金は、「」と「類型」によって、計5つに分類されています。それぞれを詳しく見ていきましょう。

通常枠(A・B類型)

中小企業や小規模事業者が抱えている課題を解決することを目的としたITツールを導入する場合、その経費の一部を補助するものです。

(表1)
A類型 B類型
補助下限額・上限額 30万円~150万円未満 150万円~450万円以下
補助率 1/2以内
プロセス数 1以上 4以上
賃上げ目標 加点項目 必須要件
補助対象 ソフトウェア購入費用及び導入するソフトウェアに関連するオプション・役務の費用
導入ツール要件 類型ごとのプロセス要件を満たすものであり、労働生産性の向上に資するITツールであること

低感染リスク型ビジネス枠(特別枠:C・D類型)

感染リスク型ビジネス枠は、新型コロナウイルス感染症の流行が続いている状況下において、IT導入を補助するものです。感染リスクを低下させるとともに、生産性の向上や業務の効率化を図る目的で導入されるソフトウェアのほか、ハードウェアのレンタル費用についても補助を受けることができます。

(表2)
低感染リスク型 ビジネス類型 テレワーク対応類型
C-1類型 C-2類型 D類型
補助下限額・上限額 30万円~300万円未満 300万円~450万円以下 30万円~150万円以下
補助率 2/3以内
プロセス数 2以上
非対面化ツール 必須
賃上げ目標 加点項目 必須要件 加点項目
補助対象 ソフトウェア購入費用及び導入するソフトウェアの利用に必要不可欠なハードウェアのレンタル費用と関連するオプション・役務

対象となるITツールの区分

ITツールは大分類I~IIIに区分されており、その中から9つのカテゴリーに細分化されています。

ソフトウェア
大分類I カテゴリー1:
単体ソフトウェア
カテゴリー2:
連携型ソフトウェア
(C類型申請用)
オプション
大分類II カテゴリー3:
機能拡張
カテゴリー4:
データ連携ツール
カテゴリー5:
セキュリティ
役務
大分類III カテゴリー6:
導入コンサルティング
カテゴリー7:
導入設定・マニュアル作成・導入研修
カテゴリー8:
保守サポート
カテゴリー9:
ハードウェアレンタル
(CD類型申請用)

※参照:IT導入補助金2021 ITツール登録要領

「プロセス数」とは?

(表1)(表2)に記載されている「プロセス数」とは、生産性を向上・効率化を目的とした業務工程や業務種別のことです。上記の大分類I「ソフトウェア」にあるカテゴリー1、及びカテゴリー2に該当するソフトウェアには、そのプロセスが設定されています。

(表3)
業務プロセス 種別 Pコード プロセス名
共通プロセス 共-01 顧客対応・販売支援
共-02 決済・債権債務・資金回収管理
共-03 調達・供給・在庫・物流
共-04 会計・財務・経営
共-05 総務・人事・給与・労務・教育訓練・情シス
業種特化型プロセス 各業種P-06 業種固有プロセス
汎用プロセス
(CD類型のみ)
汎-07 汎用・自動化・分析ツール(業種・業務が限定されないが、生産性向上への寄与が認められる業務プロセスに付随しない専用のソフトウェア)
  • A類型:共P-01~各業種P-06より1つ以上のプロセスを担うソフトウェアが必要
  • B類型:共P-01~各業種P-06より4つ以上のプロセスを担うソフトウェアが必要
  • C類型、D類型:共P-01~汎 P-07より2つ以上のプロセスを担うソフトウェアが必要

例えば、「会計・財務・経営(共P-04)」を目的としたITツール(カテゴリー1:単体ソフトウェアの導入だけを行った場合は、通常枠・A類型に該当します。その他、さらに3つのプロセスを実施する場合は、通常枠・B類型に該当します。

C類型の導入ツール条件(表2)にある「複数のプロセス間で情報連携し複数プロセスの非対面化や業務の更なる効率化を可能とするツール」とは、大分類Iの「カテゴリー2:連携型ソフトウェア」のことです。

仮に、キャッシュレス決済システム共P-02に該当)と自動会計システム共P-04に該当を導入した場合、キャッシュレス決済データが会計システムにダイレクトに送信されて処理されるようなものであれば、連携型ソフトウェアとなります。単に2つ以上のプロセスを担うだけでなく連携させたソフトウェアを導入することがポイントです。

「賃上げ目標」とは?

「賃上げ目標」とは、「従業員の給与支給総額」と「事業場内最低賃金の2つを増加させることです。

・「加点項目」(A類型、C-1類型、D類型):

賃上げ目標計画を国に提出する義務はありませんが、実施しておくことでIT導入補助金の採択率アップが見込めます

・「必須要件」(B類型、C-2類型):

賃上げ目標計画を国に提出する義務があり、計画が申請通りに進んでいるかどうかを、数年間にわたって国に報告しなければなりません。その代わり、補助下限額・上限額は加点項目に設定の類型よりも高く設定されています。

低感染リスク型ビジネス枠の注意点

C、D類型では、Webカメラ・マイク・スピーカー・ヘッドセット・ルーターなど、非対面化ツールの導入が必須です。タブレットを使用して、遠隔から営業できるシステムなどを導入したいときに活用できます。

テレワーク対応類型D類型)は、従来の業務を、在宅ワークやテレワークに切り替える際にかかる費用が補助対象となりますが、クラウド対応ツール専用となる点に注意してください。導入の一部にクラウド対応ツール以外が含まれる場合は、通常枠A類型、B類型)になります。

どの型や類として申請するかは、IT導入補助金の公募要領に掲載されている、「類型判別チャート」を参照してください。

※参照:IT導入補助金2021 公募要領 低感染リスク型ビジネス枠(特別枠:C・D 類型)

手続きの流れ

IT導入補助金の事業・手続きの流れを、事務局IT導入支援事業者中小企業・小規模事業者・個人事業主に分けると以下のようになります。

事務局の手続き IT導入支援事業者の手続き 中小企業・小規模事業者・個人事業主の手続き
1. IT導入支援事業者/ITツールの採択 1. IT導入支援事業者登録申請/ITツールの登録申請 1. 補助金事業の理解
2. ITツールの提案 2. ITツール選択等事前準備
2. 交付決定 3. 交付申請 3. 交付申請
4. 契約・ITツールの納入 4. 補助事業の実施
3. 補助金額の決定 5. 事業実績の報告 5. 事業実績の報告
4. 補助金交付 6. サポート・アフターフォロー 6. 補助金交付手続き
7. 事業実施効果報告

個人事業主が申請手続きをする場合の手順をさらに詳しく説明します。

STEP.1
補助金制度の理解
公募要項などをよく読み、補助金制度について理解を深める。
STEP.2
事前準備(「IT導入支援事業者の選定」「ITツールの選択」)
IT導入支援事業者の選択をし、補助金交付申請の事前準備として、業種や事業規模、経営課題などから、導入したいITツールを選びます(IT導入支援事業者からの提案もあり)。
STEP.3
「gBizIDプライム」アカウントの取得と「SECURITY ACTION」の実施
gBizIDプライム」への登録と「SECURITY ACTION」の宣言が申請要件として必要になります。gBizIDプライムは、ひとつのIDとパスワードで、複数の行政サービスにアクセスできる法人・個人事業主向け認証システムです。

印鑑証明書(個人事業主は印鑑登録証明書)と登録印鑑で押印した申請書を郵送する必要があります。gBizIDプライムアカウントID発行まで、およそ2週間かかるので、早めの手続きをしておきましょう。

SECURITY ACTIONは、主にサイバー攻撃・犯罪に備えたセキュリティポリシーの宣言です。交付申請作成時に、一つ星または二つ星の宣言したアカウントIDが必要です。

STEP.4
交付申請IT導入支援事業者と商談、交付申請の事業計画の作成、事務局への申請
上記は「申請マイページ」にて、IT導入支援事業者と共同で行っていきます(申請マイページはIT導入支援事業者からの招待制です)。個人事業主が交付申請する場合、以下の書類が必要になります。

  • 運転免許証または運転経歴証明書または住民票
  • 所得税の納税証明書(その1またはその2)
  • 令和2年分の所得税確定申告書B(税務署の受領確認ができるもの/e-taxによる申告の場合「受信通知(メール詳細)」を添付)

交付申請をするにあたっては、チャート別に分かれた手引書を確認してください。

STEP.5
補助事業の実施(ITツールの発注・契約・支払い)
事務局から「交付決定」を受けた後に、ITツールの発注・契約・支払いを行います。ただし、交付決定前の発注・契約・支払い等は補助金の対象外になるため、注意してください。
また、低感染リスク型ビジネス枠(C・D類型)においては、交付決定日前に受注・契約・納品を行ったものでも遡及申請が適用される場合があります。公募要項を確認してください。
STEP.6
事業実績報告
実際にITツールの発注・契約、納品、支払い等を行った証憑を事務局に提出します。『申請マイページ』にて、IT導入支援事業者と共同で確認・必要情報を入力し、事務局に提出してください。
STEP.7
補助金交付手続き
事業報告完了後、確定した補助金額を申請マイページで確認し、補助金の交付が行われます。
STEP.8
事業実施効果報告
申請マイページにて、期限内に必要な情報を入力し、IT導入支援事業者が代理提出します。

2021年の事業スケジュール

本年度の交付申請は2021年4月7日より受付がスタートしており、1次(締切済)、2次、3次と、3回に分けて締切が設定されています。3次締切分については、日時は確定していないものの9月中を予定しているため(後日発表)、本年度中の申請を検討している人は早めに準備をしておきましょう。

通常枠

2次締切分 3次締切分
締切日 7月30日(金)17:00
(予定)
9月中(予定)
交付決定日 8月31日(火)
(予定)
10月中(予定)
事業実施期間 交付決定日以降~終了時期は後日案内予定 未定
事業実績報告期間 後日案内予定 未定

低感染リスク型ビジネス枠

2次締切分 3次締切分
締切日 7月30日(金)17:00
(予定)
9月中(予定)
交付決定日 8月31日(火)
(予定)
10月中(予定)
事業実施期間 交付決定日以降~終了時期は後日案内予定 未定
事業実績報告期間 後日案内予定 未定

締切日当日の17:00をもって事務局への申請・提出等が行えなくなります。締切日直前はアクセスが混雑する可能性もあるため、早めに手続きを進めておきましょう。

※参照:IT導入補助金 事業スケジュール

まとめ

ITツールを導入し、作業や業務を自動化・効率化すれば、集中したい仕事にエネルギーと時間費やすことができます。領収書の記録や請求書の作成など、煩雑な作業に時間を取られているなら、IT導入補助金制度の活用を検討してみてください。

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