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【税理士が解説】確定申告のやり方Vol.01「青色申告・白色申告の違いについて」

確定申告書

フリーランスが避けては通れない、一年に一度の「確定申告」。またこの季節がやってきた……と頭を悩ませている方々のために、FREENANCE MAGでは確定申告を少しでもスムーズ&的確に進めるための情報をお届けします。

今回のテーマは、意外に知らない人が多い、青色申告と白色申告の違いについて。税理士の萩口先生にお話をお聞きしました。

青色申告は「複式簿記」、白色申告は「単式簿記」による帳簿が必要

そもそも青色申告と白色申告の違いはどんなところにあるのでしょう?

白色申告は、青色申告に比べてとても簡単にできる申告方法です。

具体的に説明すると、青色申告は「複式簿記」で帳簿をつける必要がありますが、白色申告の場合、「単式簿記」で構いません。

株式会社HG&カンパニー/はぎぐち公認会計士・税理士事務所 代表公認会計士・税理士 萩口義治
株式会社HG&カンパニー/はぎぐち公認会計士・税理士事務所
代表公認会計士・税理士 萩口義治さん

白色申告の単式簿記の場合は、売上と経費の明細が分かれば大丈夫、というイメージです。

対して青色申告の「複式簿記」は、売上や経費などのいわゆる損益に加えて、お金がどのように動いたかなど、現預金や売掛金などの「資産」や買掛金や借入などの「負債」の動きについても記帳する必要があります。

つまり、白色申告は損益計算書(※)だけで申告できますが、青色申告の場合、貸借対照表(※)なども必要になります。

※損益計算書:事業の利益を把握できる決算書類。ある一定期間における事業の収益・費用がどんな状態にあるかを表している。
※貸借対照表:資産と負債の項目からなり、資金の運用状況を確認できる。

青色申告にすることによるメリットは大きく3つ

青色申告のほうが複雑なぶん、メリットも大きいと聞きましたが。

損益計算書 賃借対照表
青色申告の場合は「複式簿記」の知識が必要になるが、その分メリットも大きい

青色申告にすることによる税務上のメリットは、主に以下の3つが挙げられます。

1:赤字額を3年間繰り越すことが可能

事業が赤字だった場合、赤字額を3年間繰り越すことができます。

たとえば、1年目に売上が500万円で経費が600万円だったと仮定します。最終的に100万円の赤字なわけです。ところが2年目、経費は600万円で変わらず、売上が800万円になり、200万円の黒字になりました。

本来なら2年目は利益である200万円に対して税金が課されるのですが、ここで1年目の赤字を繰り越すことで2年目に100万円の赤字をつけられるようになります。すると税務的に2年目は100万円の利益となり、その分の税金ですむといった制度です。

2:「青色申告特別控除」として65万円の控除が受けられる

青色申告にすることで、「青色申告特別控除」として最大65万円(もしくは10万円)の控除を受けることができます。

3:青色専従者として家族の給与を経費にできる

家族(配偶者その他の親族)の給料を「青色専従者給与」として事前に届け出していれば、経費として計上することができます。

青色専従者給与は、生計を同一にしている15歳以上の人で、青色の事業に「専ら」従事している人に支払う給与です。労働の対価として、適正な範囲であれば経費化できます。

青色専従者は「専ら」その事業に従事している必要があります。たとえば、奥さんがフリーランスで働いていて、旦那さんが会社員の場合、夜もしくは土日に旦那さんに仕事を手伝ってもらっているとします。週に5日会社に勤務している旦那さんは、奥さんの仕事に「専ら」従事しているわけではないので、その給与を青色専従者給与として経費にすることはできません。

対して、白色申告のメリットはどのようなものでしょう?

もっとも大きなメリットは、簡単に帳簿をつけられるので手続きが楽ということですね。売上と経費だけを記帳すればいいわけですから、エクセルなどで簡単に作成できます。

青色申告をするには、税務署に青色申告承認申請書を提出

青色申告を行うために必要な手続きはどのようなものでしょう?

実は青色事業者になるのは簡単で、税務署に行き、青色申告承認申請書という書類を提出します。開業時に個人事業主の届け出として「開業届」を出すのですが、同時に提出することが多いですね。

気をつけなければならないことは、青色申告承認申請書は、青色申告書による申告をする年の「3月15日」まで(もしくは、開業時は事業開始等の日から2か月以内)に提出する必要があるということです。

青色申告に必要な「帳簿」は、自分でも作成できるのでしょうか?

青色申告を行うためには、複式簿記での記帳が必要です。これは簿記を知らないとなかなか完璧な書類を作成することはできません。

簿記をまったく知らない人が青色申告をする場合、無理にそこに時間を費やさず、税理士に依頼しても良いかもしれません。それがもっとも簡単で確実な方法だと思います。

最近はクラウド会計サービスも多く出てきており、帳簿付けの手間やハードルは下がってきています。クラウド会計サービスでは、銀行などのインターネットバンキングとの自動連動機能を使うことで、複式簿記での記帳の手間と難しさを低減することができます。

しかし青色申告の場合は仕訳帳や総勘定元帳を作って、損益計算書や貸借対照表を作成するなど、膨大な作業と知識が必要になります。クラウド会計サービスを使うにしても、最初の仕組みの構築が重要であり、その組み立てはクラウド会計に精通した専門家に相談したほうがスムーズかもしれませんね。

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萩口義治
株式会社HG&カンパニー / はぎぐち公認会計士・税理士事務所代表公認会計士・税理士。創業支援を得意とし、フリーランスの法人化支援やフリーランスが利用できる補助金や創業融資の獲得支援などを行なっている。
株式会社HG&カンパニー / はぎぐち公認会計士・税理士事務所

取材・文/FREENANCE MAG編集部

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