意外と知られていない?フリーランス・個人事業主が活用できる支援制度「小学校等の臨時休業に対応する保護者支援」「住居確保給付金」を解説!

新型コロナウイルスの影響がまだまだ続く中、多くの給付金・補助金・助成金制度が登場しましたが、「種類が多すぎて、何がなんだかわからない!」というのが多くの方の本音ではないでしょうか。

メディアでよくピックアップされるのは、前年同月比の1ヶ月の売上が50%以上減少したフリーランスに最大100万円を給付する「持続化給付金」と、売上が1ヶ月に50%以上減少するか、3ヶ月分の売上が前年同期比30%以上減少したフリーランスに最大300万円を上限に、家賃の3分の2を支払う「家賃支援給付金」です。しかし、フリーランスを始めとする事業者向けの制度は、これだけではありません。

そこで今回は、フリーランス向けの支援制度として、「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金(委託を受けて個人で仕事をする方向け)」(つまりフリーランス向け)」と、個人・フリーランスの家賃を3ヵ月から最長9ヵ月、一定額を上限に家賃を支給する「住居確保給付金」について解説します。

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文/げんとく:中央大学法学部を卒業後、出身地にUターン。団体職員として債権管理・自己査定などに従事し、3年勤務後フリーランスに。2年前よりWeb作成事業・ライティングの受託を主業務に。得意ジャンルは金融・経営・法務・行政手続・子育て・デジタルガジェットなど。現在クライアントワークで作成した記事は500記事を越える。

小学校等の臨時休業に対応する保護者支援とは?

新型コロナウイルス感染拡大で学校などが休業になり、子どものために仕事を休まざるを得なかったり、契約していた仕事ができなくなってしまったフリーランスの方もいるかと思います。

このように「学校等が休みになったり、熱や新型コロナウイルスの可能性で休んだため子どもの世話が必要となり、契約している仕事ができなくなってしまったフリーランス」の方に、1日当たり4,100円か7,500円を支給するのが、「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金(委託を受けて個人で仕事をする方向け)」制度です。

まず、具体的な支援金額の内容について整理してみましょう。

期間 1日当たりの支給額(仕事の内容によらず定額)
令和2年2月27日~3月31日まで 就業できなかった日について、4,100円
令和2年4月1日~9月30日まで 就業できなかった日について、7,500円

また、支援対象となる条件として、以下の4つの条件を全て満たす必要があります。

  1. 子どもの保護者であること(両親だけでなく、子どもの世話を手助けする祖父・祖母・里親や子どもの世話を一時的に補助する親族でもOK)
  2. (休む)対象となる子どもの世話を行ったこと
  3. 小学校が臨時休業を行う前に、既に業務委託契約を締結していること
  4. 小学校等の臨時休業等の期間において子どもの世話が必要となり、当初の業務委託契約等に基づき予定されていた日時に業務を行うことができなくなったこと

条件を見るだけで「かなりややこしそうだな」という印象を持った方もいると思います。さらに小学校等の「等」ってなに?と思った方もいるでしょう。この小学校「等」の具体例を見てみましょう

  • 小学校
  • 義務教育学校の前期課程
  • 各種学校で幼稚園または小学校の過程に類するものも含む
  • 特別支援学校
  • 障がいのある子どもについては、中学校・義務教育課程の後期、高等学校、各種学校の高等学校までの課程に類する過程も含む
  • 放課後児童クラブ
  • 放課後等デイサービス
  • その他幼稚園、保育所、認定こども園、認可外保育施設、家庭的保育事業等子どもの一時的な預かり等を行う事業
  • 障がい児の通所支援を行う施設等

と細かいですが、端的に言うと、

  • 基本的には小学生まで
  • 障がいのある子どもの場合は高校まで

が対象となると考えるといいかもしれません。次に、対象となる4つの条件について詳しく解説します。

1.子どもの保護者であること

子どもの保護者であることは大前提です。親権者・未成年後見人、祖父母・里親・親族など、実際にお世話していた人が対象になります。

2.(休む)対象となる子どもの世話を行ったこと

条件2の「(休む)対象となる子ども」とは、下記のどちらかに当てはまる必要があります。

  1. 新型コロナウイルス感染症に関する対応として、ガイドライン等に基づき「臨時休業」した小学校等に通う子ども
  2. 新型コロナウイルスに感染した子ども等、「小学校等を休むことが適当」と認められる子ども

また、「臨時休業」の基準としては、

  • 小学校等が新型コロナウイルス感染症対応として臨時休業した場合
  • 可能な範囲で利用を控えるよう、自治体、放課後児童クラブ、保育所等から依頼があった場合
  • 小学校等が「出席しなくてよい」と認めた場合を除き、保護者の自主判断で休ませた場合は対象外

という条件があります。

さらに、「小学校等を休むことが適当と認められる子ども」については、

  • 新型コロナウイルスに感染した
  • 発熱などの風邪の症状や、新型コロナウイルス罹患者の濃厚接触者など、新型コロナウイルスに感染した恐れがある
  • (さまざまな事情で)医療的ケアが日常的に必要である、または、新型コロナウイルスに感染した場合、重症化してしまうリスクの高い基礎疾患等を有する

と、実際に新型コロナウイルスに感染していなくても、感染の可能性があったり、医療ケアが必要な子どもについては、「休むことが適当」と認められます。

3.小学校が臨時休業を行う前に、既に業務委託契約を締結していること

この条件が、フリーランスの方にとってはかなりハードルの高い条件になると思います。まず、以下の5つの条件を全て満たしている事が前提となります。

  1. 業務委託契約等が確認できる契約書・電子メールなど何らかの書面があること
  2. 契約を締結した本人が、個人で契約に基づいて業務を行うこと(労働者を使用する事業主、雇用保険被保険者、国家公務員、地方公務員は除く)
  3. 臨時休業が始まる前に、既に業務委託契約を結んでいること
  4. 契約において、業務の内容・業務を行う場所や施設・業務を行う予定日や開始日・終了日など発注者から一定の指示を受けていること
  5. 業務遂行に要する日数・時間等を前提とした報酬となっていること

まず1の、「業務委託契約等が確認できる書面」で、困ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。業界によっては、契約を書面やメールで定めず口約束で行ったり、場合によって口約束さえないケースのところもあるかもしれません。

また、あくまで制度上は「臨時休業開始前に、業務委託契約等を結んでいる」という事が条件になります。そのため、臨時休業後に業務委託契約書を作って提出したり、メールでの契約確認を行った書類では、条件に当てはまらなくなってしまいます。

ただ、契約書やメールなどの書面がないからだめかというと、そうではありません。

様式第3号 新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金(委託を受けて個人で仕事をする方向け)業務委託契約等契約申立書にクライアントの住所・発注者名・連絡先・業務内容等を記載してもらうことで、契約書・メールのやりとりなどの代わりとすることができます。

ただ、なかなか先方に依頼しにくい文書ですし、署名・捺印が必要で、書類のやりとりの手間もかかります。今後の事を考えると、電子契約を活用し契約書を作成したり、メールでの業務のやりとりなど書面に残る方法にて、「契約の記録を残す」習慣をつけることが望ましいでしょう。

4. の「契約において、業務の内容・業務を行う場所や施設・業務を行う予定日や開始日・終了日など発注者から一定の指示を受けていること」、5.の「業務遂行に要する日数・時間等を前提とした報酬となっていること」に関しても、業務の内容・業務が必ずしも定まっているとは限らない業務やクラウドソーシングなどでは、具体的に示しにくいところがあるかもしれません。

4.    小学校等の臨時休業等の期間において、子どもの世話が必要となり、当初の業務委託契約等に基づき予定されていた日時に業務を行うことができなくなったこと

これも非常に硬い言葉でわかりにくいかもしれませんが、

  • 契約書などで予定した日時、もしくは仕事の量や期間から「この日は業務を行うはずの日だったな」と判断できること
  • 業務を行うことができなかった日が、学校開校日・休校日・春休み・夏休み等元々休みではなかった日であること(新型コロナウイルス感染症対策として行われた短縮日は除く。また、新型コロナウイルス感染や、感染の恐れがある子どもを世話した場合は、休校日も対象になる)

という条件になります。

「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金」の問い合わ先は?

制度を通してみてわかるとおり、さまざまな点で判断に迷うことがあるかと思います。判断に迷ったら、学校等休業助成金・支援金、雇用調整助成金コールセンター 0120-60-3999 (受付時間9:00~21:00 土日祝日も営業)がありますので、自分の場合はどうなの?という点があれば、ぜひ問い合わせてみてください。

(参照・引用)
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金(委託を受けて個人で仕事をする方向け)
厚生労働省「様式第3号 新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金(委託を受けて個人で仕事をする方向け)業務委託契約等契約申立書

一定上限まで家賃を補助してくれる、住居確保給付金

上限こそあるものの、最大9ヶ月間家賃を補助してくれる、「住居確保給付金」という制度があります。

こちらも意外と知られていなかったり、一見、廃業して求職することを前提としているように見えるので、意外と知られていない制度ですが、フリーランスでも対象となります。

制度としては、「主たる生計維持者が離職・廃業後2年以内である場合、もしくは個人の責任・都合によらず給与等を得る機会が、離職・廃業と同程度まで減少している場合において、一定の要件を満たした場合、市区町村ごとに定める額を上限に実際の家賃額を原則3か月間(延長は2回まで最大9か月間)支給」する仕組みとなっています。(なお、給付金は大家さん・不動産会社などに自治体から直接支払われます)

まず、支給額の上限を見てみましょう(東京都特別区)

世帯人数 1人 2人 3~5人 6人 7人以上
支給上限 53,700円 64,000円 69,800円 75,000円 83,800円

このように、家賃全額をカバーするには、決して十分とはいえない額かもしれませんが、それでも3ヶ月から最大9ヶ月、家賃を一定額肩代わりしてくれるのは、大きな助けになるでしょう。

例えば、東京都内の3人暮らしの世帯で9ヶ月の家賃支援を受けた場合は、62万8,200円の負担を減らすことができます。

住居確保給付金の対象条件は?

以下の4つの条件に当てはまる必要があります。

  1. 主たる生計維持者が離職・廃業後2年以内である場合か、(新型コロナウイルスの影響など)個人の責任・都合によらず給与(や報酬)等を得る機会が、離職・廃業と同程度まで減少していること
  2. 直近の月の世帯収入合計額が、市町村民税の均等割が非課税となる額の1/12(以下「基準額」という。)と、家賃(但し、上限あり)の合計額を超えていないこと
  3. 世帯の預貯金合計額が各市区町村で定める額を超えていないこと
  4. 誠実かつ熱心に求職活動を行うこと(もしくは、仕事を取ってくること)

以上のように、元の条件を読むと、会社をリストラされた、個人事業主なら廃業して就職することが前提のように見えてしまいますが、よくある質問を見てみると、

Q:自営業者等、雇用契約によらない就業形態の方は、住居確保給付金の対象者になりますか。

A:対象者になります。

Q:自営業者等、雇用契約によらない就業形態の方が住居確保給付金制度を利用する場合、転職をすることが要件になりますか。

A:現在の就業先について離職又は廃業することを必ずしも前提とするものではありません。

以上のように、フリーランスを廃業せずとも、あくまで現在の仕事の立て直しを図りながら、住居確保給付金制度を利用することができるのです。

収入基準・金融資産の基準は?

東京都新宿区の例で見てみましょう。

まず、毎月の収入が、下記の額以下である必要があります。

世帯人数 収入基準額の計算方法 収入基準の上限
1人 84,000円+家賃月額(上限額53,700円) 137,700円
2人 130,000円+家賃月額(上限額64,000円) 194,000円
3人 172,000円+家賃月額(上限額69,800円) 241,800円
4人 214,000円+家賃月額(上限額69,800円) 283,800円
5人 255,000円+家賃月額(上限額69,800円) 324,800円

住民票を移さずに別居している家族の場合、世帯収入としてカウントしません。さらに、申請日における世帯の金融資産の合計額が下記の金額以下である必要があります。

世帯人数 世帯の金融資産の合計
1人 504,000円
2人 780,000円
3人以上 1,000,000円

また、新型コロナウイルスに関する持続化給付金・特別定額給付金・融資は収入・試算として算定されません。支給期間は3ヶ月を限度とし、その後3ヶ月毎に最大2回更新でき、最大9ヶ月分までとなります。

なお、事業用物件は対象外、店舗兼住宅を借りて自営業を行っている場合は、賃借契約書などに店舗部分と住居部分が区別されている旨記載があれば、住居部分のみ対象、契約書に記載がない場合は、免責按分等を行って住居部分を算出することもできます。(賃借人が法人名義の場合は対象外)

家賃支援給付金制度に関しては自治体により基準が異なるため、家賃支援給付金の紹介ページからお住まいの自治体の自立支援機関をよく確認してください。

(参照・引用)
厚生労働省「住居確保給付金 制度概要
厚生労働省「住居確保給付金 よくある質問
新宿区HP「住 居 確 保 給 付 金 の 支 給

以上、フリーランスが利用できるけれども、あまり知られていない制度を紹介しました。どちらの制度も、フリーランスを続けながら活用できますので、対象になる場合は積極的に役立てていきましょう。

※こちらの記事は2020年7月21日時点の取材をもとに作成しています。掲載されている情報が変更されている可能性もありますので、申請手続きをする方や検討中の方はご自身で最新の情報をご確認ください。