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YouTubeが投げ銭機能「Super Thanks」を導入。動画配信収入の税金や確定申告について知っておこう【ファイナンシャルプランナーが解説】

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誰もが気軽に動画配信ができる昨今、本業・副業にかかわらず動画配信での収入にかかる税金について知っておく必要があることは言うまでもありません。今回は、2021年7月より一部のYouTuberに対して提供が開始された投げ銭機能「Super Thanks」を挙げながら、動画配信で得た収入にかかる税金と確定申告について解説していきます。

YouTubeで収入を得るには?

YouTubeは、世界中に利用者がいる、無料で動画の投稿や視聴が可能な動画共有プラットフォームです。「YouTubeパートナープログラム」を申請し(チャンネル登録者数や総再生時間など利用資格には要件あり)、承認されると、YouTubeに投稿した動画から収入を得られるようになります。

YouTubeパートナープログラムに参加した場合、主な収入源となるのが「広告収入」です。動画中に表示される動画広告、動画下に表示されるオーバーレイ広告など、広告をつけることで、再生数などに応じた収入がクリエイターに支払われます。また、YouTubeにはYouTube Premium機能もあり、YouTube Premiumの動画が再生されたとき、利用料金の一部を収入として得ることも可能です。

ほかにも、視聴者がメッセージを目立たせるために購入する「Super Chat」や「Super Stickers」、グッズ紹介機能によるグッズ販売、視聴者がチャンネルに支払う月額料金による「チャンネルメンバーシップ」も収入源になります。

YouTubeパートナープログラム以外だと、YouTubeショートファンドより、クリエイターにボーナスが支給されることもあります。

以上のように、クリエイターの収入源は、「広告収入」を中心に、視聴者の機能の利用料金の一部が支払われる形のものがメインでした。これが、YouTubeの新機能「Super Thanks」の追加により、新たな収入の可能性が浮上しています。

※参照:YouTube で収益を得るには|YouTubeヘルプ
※参照:YouTube パートナー プログラムの概要と利用資格|YouTubeヘルプ
※参照:YouTube ショート ファンド|YouTubeヘルプ

YouTubeが新機能「Super Thanks」を導入

YouTubeでの動画配信による新たな収益源として、2021年7月21日より68カ国で、「Super Thanks(スーパーサンクス)」のベータ版の提供がはじまりました。現在、収益化を行っている一部のクリエイターに提供されています。

Super Thanksは、視聴者が、クリエイターに拍手のアニメーションを送り、クリエイターを応援できる機能です。同様の機能は以前よりテスト運用が行われていたもので、今回のベータ版の提供開始により、いよいよ現実化へとフェーズが移行しました。

Super Thanksは、応援したいクリエイターに拍手を送る、いわゆる投げ銭型の機能で、視聴者は、200円から5,000円までの4段階のアニメーションから選択できます。高額な拍手ほど、アニメーションの豪華度も増します。

現在は一部のクリエイターに提供されているSuper Thanksですが、2021年中には収益化を行っているクリエイター全員に拡張される見込みです。

Super Thanksの機能が追加されることによって、視聴者はお気に入りのクリエイターを応援しやすくなり、クリエイターは新たな収入の可能性を得られることになります。年内には拡充されるとのことなので、Super Thanksによって大きく収益を上げるクリエイターが出てきても不思議ではないでしょう。

※参照:Super Thanks の利用資格、利用可能な地域、ポリシー|YouTubeヘルプ
※参照:Super Thanks を購入する|YouTubeヘルプ
※参照:YouTube クリエイターの新たな収益源としてSuper Thanks を追加|日本版YouTube公式ブログ

投げ銭の収入には税金がかかる

「Super Chat」や「Super Stickers」、「Super Thanks」は、YouTubeクリエイターを視聴者が応援するための機能で、いわゆる「投げ銭」です。投げ銭とは、ある活動の応援のために送られるお金のことを指します。

YouTubeでの投げ銭はクリエイターの所得と考えられることから、YouTubeでの動画配信で得た広告収入など、従来の収入と同じように、所得税や個人住民税の対象になります。

動画配信収入は事業所得・雑所得?

YouTubeでの動画配信の所得については、以下の3つのパターンが考えられます。

  • 事務所と雇用契約を結び、投げ銭などの収入の一部を給与として受け取るパターン
  • YouTubeでの動画配信を事業としてメインの収入にしているパターン
  • 会社員など本業の傍らYouTubeでの動画配信による収入を得ているパターン

給与所得に該当するケース

事務所と雇用契約を結ぶ場合は、投げ銭などによる収入は「給与所得」になります。給与所得は、源泉徴収により事務所が給与から税金を天引きしますので、給与所得2,000万円以上など、確定申告の条件に該当しない限り、確定申告の必要はありません。(所得税の)確定申告とは、年間の所得や所得税を計算し、所轄の税務署に申告する手続きのことです。

事業所得に該当するケース

個人事業主が事業として動画を配信している場合の、投げ銭を含めたYouTubeでの収入は「事業所得」です。YouTubeでの活動を専業にしているケースをイメージするとわかりやすいかもしれません。このケースですと、投げ銭などの収入から撮影機材などの事業経費を差し引いた額がプラスになるとき、確定申告が必要になることがあります。

※厳密には、収入から経費を差し引いた「所得」から、基礎控除などの「所得控除」を差し引いたとき、残額があれば所得税が発生しますので確定申告が必要です。

雑所得に該当するケース

専業ではなく、YouTubeの動画配信を副業で行っているときは、投げ銭を含むYouTubeの収入は「雑所得」に該当します。会社員などの給与所得者で、給与以外の所得が年間20万円を超えるときは(所得税の)確定申告が必要です。副業がYouTubeでの動画配信のみだったとき、YouTubeの収入から必要経費を差し引いた所得が20万円を超える場合に確定申告が必要となります。

※参照:No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)|国税庁
※参照:No.1500 雑所得|国税庁

確定申告の仕方

事務所と雇用契約を結んでいないYouTuberや副業でYouTuberをしている人は、源泉徴収がないため、基本的に確定申告が必要です。ここでは、具体的にどのようなケースで確定申告をしなければならないのか解説していきます。

確定申告が必要な所得額か確認する

YouTubeでの動画配信で広告収入や投げ銭による収入があるからといって、直ちに確定申告が必要なわけではありません。「事業所得」に該当する場合でも、「雑所得」に該当する場合でも、収入ではなく所得額が基準になります。所得額とは、以下の計算で求めた金額のことです。

  • 事業所得=総収入金額-必要経費の額
  • 雑所得=総収入金額-必要経費の額

【YouTubeでの収入】

総収入金額とは、それぞれの所得(この場合は事業所得または雑所得)に該当する収入の合計額を表します。広告収入やSuper Thanksの投げ銭による収入など、YouTubeでの動画配信にかかわるすべての収入が該当します。

【動画配信にかかる必要経費】

必要経費とは、動画配信で収入を得るにあたり、必要な支出のことをいいます。YouTubeでの動画配信なら、主に以下のような支出を必要経費にできます。

  • パソコンや、カメラ、動画編集ソフトなどの撮影や動画編集に必要な機材の購入費
    ※金額が大きい場合は、資産に計上して、減価償却費として複数期間にわたり経費に計上
  • 撮影スタジオなどのレンタル代
  • 撮影を外注したときの外注費
  • 出演者に支払う報酬など

【所得額を計算する】

所得額とは、収入から必要経費を差し引いた残額のことです。計算の結果、所得が発生する場合は確定申告が必要になる可能性が高いです。

たとえば、YouTubeでの収入が年間500万円、必要経費が200万円だったとき、所得額は以下のようになります。

  • 500万円(YouTubeでの収入)-200万円(動画配信の必要経費)
    =300万円(所得額)

本業・副業それぞれの場合の確定申告

所得が発生する場合、どのようなケースだと確定申告が必要になるか、2つのケースで解説していきます。

【本業YouTuber(個人事業主)の場合】

本業YouTuberの場合、以下の計算の結果、支払うべき所得税がある場合は確定申告をしなければなりません。

  • 所得の合計額-所得控除(※1)=課税所得額
  • 課税所得額×所得税率(※2)=所得税額

※1 所得控除:社会保険料控除(国民健康保険や国民年金の支払額)、生命保険料控除など、所得税の計算上、所得から差し引くことが認められるもの。
※2 所得税率:5~45%まで、課税所得額に応じて金額の範囲ごとに税率が決められています。

事業所得者である本業YouTuberは、青色申告の選択が可能です。青色申告とは、複式簿記による適切な会計処理や一定の帳簿書類の保存を求める代わりに、申告者に有利な特典を設けた制度のこと。青色申告を申請すれば、課税所得を最大65万円軽減できる「青色申告特別控除」、配偶者など専従者へ支払う報酬のほとんどを経費にできる「青色事業専従者給与」などの特典が利用できます。本業YouTuberなら、青色申告による確定申告も検討すると良いです。

【副業YouTuberの場合】

会社員として給与を受け取っている副業YouTuberの場合、一定以下の所得であれば確定申告を必要としません。例えば、副業がYouTubeだけの場合で、YouTubeでの所得(収入-必要経費)が20万円以下のときは確定申告の必要はないです。YouTubeの所得が20万円を超えるときは、副業でも確定申告が必要ですので注意しましょう。

確定申告の手順

所得額や所得税額の計算の結果、確定申告が必要となった場合、1月1日から12月31日の1年間の所得税を、原則翌年の3月15日までに確定申告及び納税しなければなりません。

確定申告にあたっては、収入額(売上)や必要経費の額と分類、確定申告書への添付が必要な書類の準備を行います。収入額や必要経費に関しては取引が少ない場合は手計算でも可能ですが、取引が多い場合は会計ソフトが便利です。

確定申告書の作成が終わったら、添付書類とともに管轄の税務署に提出します。窓口のほか、郵送での提出、電子申告による提出が可能です。所得税の納付も必要ですので、忘れずに行いましょう。

ここまで所得税の確定申告について説明してきましたが、所得税の確定申告が不要な所得ゼロの場合でも、住民税の確定申告は必要なこともあります。住民税の確定申告の有無は各自治体で確認しましょう。なお、所得税の確定申告を行う場合は別途、住民税の確定申告をする必要はありません

※参照:確定申告が必要な方|国税庁
※参照:No.2210 やさしい必要経費の知識|国税庁
※参照:No.2070 青色申告制度|国税庁

まとめ

YouTubeでは、新機能として「Super Thanks」のベータ版の提供がはじまりました。投げ銭効果のあるSuper Thanksからの収入は、「Super Chat」や広告収入など、YouTubeでの動画配信による収入とあわせて、確定申告と納税が必要になることがあります。 この記事でも触れたように、本業YouTuberの場合と副業YouTuberの場合で状況は変わってきますので、YouTubeからの収入があるときは、確定申告が必要かどうか、まずは所得額などを確認しましょう。

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