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【税理士が解説】発注先から必ず送られてくる?確定申告前にフリーランスが知っておきたい「支払調書」まとめ

【税理士が解説】発注先から必ず送られてくる?確定申告前にフリーランスが知っておきたい「支払調書」まとめ

2021年の総決算として確定申告の時期が近づいています。1月頃には、仕事を発注してくれたクライアントから前年分の「支払調書」の控えが送られてきたり、はたまた送られてこなかったりと、対応もさまざま。そのため、「支払調書を送ってこない発注先については申告しなくてもいいの?」と思ってしまう人もいるかもしれませんが、決してそうではありません。今回は、支払調書とはどんな目的のためのものなのか、詳しく解説していきます。

支払調書とは?

支払調書とは、税務署に提出を義務つけられている法定調書のひとつ。正式名称を「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」といい、税務署が納税者の正確な支払いを把握するための書類です。

所得税を源泉徴収している場合、一定の基準で税務署に提出します。支払調書には、「誰に、どんな内容で年間にいくら支払ったか」「いくら源泉徴収したか」が記載されており、報酬を受け取るフリーランスや個人事業主といった受注者などの、個人からの税金の徴収漏れを防ぐ狙いがあります。

支払調書の記載内容
  • 支払を受ける者(受注者)の住所・氏名又は名称
  • 支払の区分及び細目(支払の内容)
  • 支払金額及び源泉徴収税額
  • 支払者の住所・氏名又は名称

言い換えると、支払いを受けた側が確定申告をしなかったとしても、税務署が「その人がどれくらいの支払いを受けているか」を調査することが可能です。

なお、受注者が確定申告をする場合には、支払調書に記載された内容をもとにして書類を作ったり、作成した確定申告書の確認ができたりと、非常に便利な書類であるともいえます。

※参照:国税庁[手続名]報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書(同合計表)

「源泉徴収義務者」のみ支払調書の提出義務を負う

所得税を源泉徴収している発注者(報酬を支払う側)が法人の場合は、基本的に「源泉徴収義務者」となるため、発注者は支払調書を作成し、税務署へ提出しなくてはいけません。

一方、発注者が個人の場合は、「人を雇って給与を支払っている」場合のみが対象となります。つまり、発注者が「個人のフリーランス」で「従業員を雇用していない」場合源泉徴収義務者に該当しないため、税務署への支払調書の提出義務はありません

なお、発注者から提出された支払調書は、税務署が受注者ごとに分類・保管し、確定申告書や決算書と突き合わせて矛盾点がないかを精査します。

源泉徴収義務者=支払調書の提出義務
発注者が法人 発注者が個人
源泉徴収義務者に該当 従業員を雇用している場合のみ源泉徴収義務者に該当

※参照:国税庁 No.2502 源泉徴収義務者とは
※参照:国税庁 No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは

支払調書の控えをフリーランスに送るのは義務ではない

支払調書の提出期限は翌年1月31日までです。12月末で前年度が締まりますので、1月中に受注者別に前年の支払金額及び源泉徴収税額を集計し、支払調書を作成し、1月31日までに税務署に提出します。

発注者から支払調書の控えが送られてくる時期も、例年1月頃が比較的多いようです。ここで覚えておきたいのは、税務署への支払調書の提出は義務ですが、受注者への送付は義務ではありません。元々は発注者から受注者に対してのサービスとして徐々に広まり、慣習化したものと考えられるでしょう。

また、支払調書は、原則として「個人」に支払われた報酬・料金について必要となるもので、法人については必要ないとされています。

つまり、受注者が法人である場合支払調書の税務署への提出はなく、受注者へは支払調書の写しが送付されてきません。前述の通り、発注者がフリーランスや個人事業主で従業員を雇用していない場合等も同様です。

税務署への支払調書の提出 受注者への支払調書の送付
義務 義務ではない

支払調書の控えが、受注者に送付されるか否かは、これらのことが大きな理由です。「支払調書が送付されてこない=税務署に提出されていない」ということではありませんので、支払調書が送付されないからといって、受注者はその部分を収入から除外することのないようにしましょう。

同時に、受注者にとって支払調書は、確定申告の必要書類ではありませんが、先に述べた通り、支払調書の控えがあったほうが確定申告書の作成が簡便にできます。発注者が支払金額を税務署に申告していますので、この金額を流用することで金額の間違いなども起こりにくいでしょう。

税務署は支払調書と受注者の確定申告書を比較して矛盾があれば、受注者の脱税を疑うことも起こりうるかもしれません。こういったケースを事前に回避するためにも、できれば支払調書の控えは取得しておいたほうがよいでしょう。もし仮に、支払調書の記載に疑問があった際には、発注者に問い合わせて確認することをおすすめします。

支払調書には原則、受注者のマイナンバーが記載される

平成27年10月以降マイナンバー(個人番号)が通知されていますが、平成28年1月1日以降提出する支払調書には、マイナンバーの記載が義務化されました。支払調書への記載のため受注者は、発注者にマイナンバーを提供する必要があります(受注者が法人である場合には、公開されている法人番号を記載)。

また、支払調書の控えを受け取った方は、自身のマイナンバーが空欄になっているはずです。マイナンバーの記載がないのを見て、不安になる方もいることでしょう。これは、本人への交付が義務づけられていないような書類に、マイナンバーを記入してしまうと「特定個人情報の提供制限」に抵触する可能性があるからです。

発注者が税務署に提出した支払調書にマイナンバーが記載されていても、受け取った支払調書の控えには、自身のマイナンバーの記載がないのが一般的ですので、心配は無用です。

まとめ

支払調書は、報酬を支払う発注者が作成し、フリーランスや個人事業主など報酬を受け取る受注者の確定申告書との整合性を確認することによって、税務署が適正な税務を行うための制度です。また、発注者が個人の場合は、従業員を雇用していなければ、税務署へ支払調書を提出する義務はありません。確定申告を前に、正しい知識を身に付けておきましょう。

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