FREENANCE MAG

【税理士が解説】フリーランス「開業届」のメリデメまとめ 青色申告と白色申告の違いも解説

個人事業主やフリーランスとして新たに開業する場合、税務署へ「開業届」を提出する必要があります。しかし、開業届を提出することの意義や提出期限、副業の場合には提出が必要かどうかなど、正確な知識を持っている方は少ないようです。そこでこの記事では、「開業届」の基礎知識と、併せて手続きを行うことが多い「青色申告」についても詳しく解説していきます。

事業をスタート=開業届

開業届の提出が必要となるのは、「新たに事業を開始したとき」です。“事業”とは、事業所得や不動産所得、山林所得のいずれかが生じるものを指します。つまり、会社を辞めて個人事業主やフリーランスとして新たにビジネスを始める際には、開業届を提出しなければなりません。

提出のタイミングと手続き方法

開業届は、「事業の開始等の事実があった日から1カ月以内」に税務署に提出しなければなりません。“事業を開始した日”の具体的な定義はありませんが、店舗であればオープン日、営業許可や資格が必要な業種であれば、許認可や登録を受けた日などを用いるのが一般的です。

なお開業届については、開業日前に提出することも可能です。開業届を作成する際には、国税庁ホームページから様式をダウンロードし、納税地の税務署へ提出します

※参照:国税庁「No.2090 新たに事業を始めたときの届出など」

副業をする人も開業届は必要?

近年では会社員として給与収入を得ながら、空いた時間を活用して副業を営むケースが増加しています。インターネットなどの情報の中には、

  1. 「副業収入が1円でも発生したら開業届の提出が必要」
  2. 「事業所得として申告するために開業届を提出しよう」

などと記載されていることも多いですが、これらは誤りです。

開業届を提出することで“事業”となるのではなく、そもそも “事業”に該当しないのであれば提出は不要です。所得税法において、“事業”の意義について明確に定義されていませんが、そのビジネスの規模だけでなく、営利性や反復継続性など、総合的な観点で判定するものとされています。

過去の裁判事例では、給与収入など本業の収入源が別に存在する場合、副業収入を“事業”と主張することは、極めて困難であることがうかがえます。つまり、副業が給与収入と同等かそれ以上の収入源であれば、“事業”に該当する可能性もありますが、休日などの空き時間を利用した“お小遣い稼ぎ”程度のものであれば、“事業”には該当せず、開業届の提出は不要となります。

開業届を出さないデメリットは?

開業届の提出は義務ではありますが、提出しなかったとしても、税務上罰則はありません。ただし、税務以外の部分で以下のようなデメリットが発生する場合があります。

  • 屋号入りの口座を開設できない
  • 融資を受けられない
  • 補助金や助成金申請ができない

開業2年目以降であれば、前年度の確定申告書の控えで代用できる場合もありますが、開業初年度から上記の手続きを行うのであれば、開業届は必須となります。税務上のペナルティはないとはいえ、きちんと開業届を提出することが望ましいでしょう。

青色申告を行うための手続き

開業届を提出する際には、併せて「青色申告承認申請書」を提出するケースが一般的です。

「青色申告承認申請書」は青色申告を行うために提出するものであり、新たに事業を開始した日から、2カ月以内に所轄の税務署長へ提出しなければなりません。青色申告と白色申告には以下のようなメリットやデメリットがあります。

青色申告をするメリット

・メリット1:青色申告特別控除を受けることができる

青色申告の場合、10万円・55万円・65万円のいずれかの特別控除を受けることができます。これらの控除額は複式簿記や電子申告といった要素によって確定しますが、最低でも10万円の控除額が適用できる点が大きなメリットといえるでしょう。

・メリット2:赤字を3年間繰り越すことができる

事業を営む上で赤字が発生した場合には、その赤字を翌年以降3年間に渡って繰り越すことができます。そして3年以内に黒字が発生した場合、繰り越した赤字と相殺することによって、税負担を軽減することが可能となります。

・メリット3:生計一親族への給与を全額経費にできる

所得税では親族間で所得を分配し、不当に課税を免れることを防止するために、原則として同居や生計を一にする親族に対する給与は、一定額しか経費計上が認められません。 しかし、青色申告の場合には、別途「青色事業専従者給与に関する届出」を提出することができ、届出に基づいて生計一親族へ給与を支払った場合には、その支払額の全額を経費とすることができます。

・メリット4:30万円未満の資産を一括で経費にできる

事業にて10万円以上の資産を購入した場合には、原則として固定資産へ計上し、耐用年数に応じて複数年に渡って経費化することとなります。しかし青色申告の場合には、30万円未満の資産であれば一括での経費計上が認められており、より早期に経費化することができます。

※複式簿記による記帳が必要となります。

青色申告で65万円の特別控除を受けるためには、複式簿記による記帳が必要となります。日々の会計処理や確定申告手続きにおける事務負担は増加しますので、その点には注意が必要です。

白色申告と比べると…

白色申告の最大のメリットは、単式簿記によるシンプルな会計処理や申告手続きが可能となる点です。簡単な記帳による収支内訳書の提出のみで済みますが、青色申告のような特別控除や、税金を軽減する特典が白色申告には適用されません。

会計ソフトなどを利用して業務の効率化を図ることもできますので、メリットの多い青色申告にすることを検討してみてはいかがでしょうか。

FREENANCE(フリーナンス)byGMOで実施したアンケートでも、ユーザーの7割以上が青色申告を実施しているという結果が出ました。

まとめ

開業届は、「新たに事業を開始したこと」によって提出する書類です。社会的な信用も得られ、税制面でも優遇されますので、心理的な面でも安心でしょう。そして、しっかり開業届を出して仕事を行っていることは、仕事を発注する企業へのPRとなることも覚えておきましょう。「開業届」を正しく理解して、フリーランス生活に賢く活かしてみてはいかがでしょうか。

執筆者profile
税理士 服部大
2020年、30歳で名古屋市内にて税理士事務所を開業。平均年齢が60歳を超える税理士業界では数少ない若手税理士。単発の税務相談や執筆活動なども行い「わかりにくい税金の世界」をわかりやすく伝えられる専門家を志している。同年代の経営者やフリーランス、副業に取り組む方々の良き相談相手となれるよう奮闘中。
服部大税理士事務所
FREENANCE

ピンチにも、チャンスにも。ファクタリングサービス
「FREENANCE即日払い」

FREENANCE会員(会員登録は無料)になると、手持ちの請求書を最短即日中に現金化できるファクタリングサービス「即日払い」を利用できます。
会員登録自体は最短3時間程度で完了。会員登録を申し込んだその日に即日払いを利用することも可能です。
https://freenance.net/sokujitsu

▼あわせて読みたい!▼

今すぐ無料登録
会費ずっと
0