2020年(令和2年)にスタートした「中小企業デジタル化応援隊事業」は、「デジタル化・IT活用に悩む中小企業等」と「フリーランス・副業・兼業のIT専門家」のマッチング支援を行う事業です。
「IT専門家」として本事業に登録するにあたっては、IT関連のスキルがあれば、システムエンジニアやプログラマー、コンサルタント、ディレクターなどといった職歴・資格は問われません。スキル次第では、新規案件の獲得や依頼の継続等も期待できるので、ぜひ参加を検討してみてください。
Contents
中小企業デジタル化応援隊事業とは?
働き方改革への取り組みや、新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策が進む今、多くの企業が「持続可能なデジタル化」の対応に迫られています。
例えば、テレワークの拡大・EC(電子商取引)構築・キャッシュレスやペーパーレスの促進・被用者保険の適用拡大への対応など、中小企業が抱える課題はさまざまです。しかし、デジタル化推進に必要なスキルを持つ人材が不足している企業は多い傾向にあります。
その一方で、IT関連の知識を生かせずにいるフリーランス・個人事業主は少なくありません。新型コロナの影響で仕事が減っているという声も聞かれます。
そこで、中小企業庁と中小機構(独立行政法人 中小企業基盤整備機構)が力を合わせ、スタートさせたのが「中小企業デジタル化応援隊事業」です。この支援事業は、デジタル化のスキルを必要とする中小企業と、フリーランス・個人事業主などといった仕事を求めるIT専門家のマッチングを目的としており、2021年5月24日より第II期の申し込みが開始されました。
2021年1月31日に締め切られた第I期では、すでに多くの企業とIT専門家がマッチングしており、互いにメリットを感じられたという結果も報告されています。
中小企業デジタル化応援隊事業に参加するメリット
中小企業デジタル化応援隊事業は、デジタル化を進めたい中小企業と、支援をするIT専門家の双方にとってメリットがあります。
中小企業側のメリットは? 費用の一部を国が負担
費用の一部を国が負担してくれる点が大きなメリットです。
デジタル化をしたい中小企業が必要な業務を募集すると、IT専門家が応募。技術的な支援をしたIT専門家に対して賃金が支払われます。このとき、最大3,500円(時間/税込)は国から補助を受けられるため、中小企業はかかる費用を抑えながら、デジタル化の支援を受けることができます。
例えば、4,000円(時間/税込)で募集した場合も、国から補助金が出れば、実質500円(時間/税込)でデジタル化の支援を受けることができます。なお、補助金の支払いは、中小企業の実費負担が「最低500円(時間/税込)以上」が条件となっているため、時給4,000円(時間/税込)で募集している企業が多いようです。
※時間単価は中小企業等とIT専門家の契約により決定されます。
IT専門家のメリットは? 案件獲得がスムーズ
フリーランス・個人事業主が新規案件を獲得するためには、通常であれば、売り込みや営業が不可欠です。一方、中小企業デジタル化応援隊に参加すれば、ITスキルを必要としている中小企業をすぐに見つけることができるので、効率よく新規案件を獲得できます。
加えて、契約終了後の取引が自由にできる点も魅力のひとつです。多くのクラウドソーシングサービスでは、サービス外の直接取引が禁止されているケースが少なくないうえ、サービス側に手数料の支払いも必要です。この事業を利用すれば、こうした制限がないため、お互いにメリットのある関係を継続しやすいでしょう。
対象となる業務は?
中小企業デジタル化応援隊事業の対象となる業務は、その名の通り「デジタル化に関するもの」に限られます。例えば、以下のような業務です。
- デジタル化に向けた課題の分析・把握・検討
(見積書や請求書のデジタル化を活用した、事務処理作業の生産性の向上等) - 通常業務へのIT導入に向けた支援
(社員がどこにいてもタイムリーに対応できるテレワークの実現、ECサイトの作成、キャッシュレス決済のシステム開発、セキュリティー強化等)
これらの業務は「準委任契約」で行われます。つまり、IT専門家は、デジタル化に関して発注された業務にのみ義務を負うことになります。それ以外の業務は契約外・支援(謝金)対象外となる点に注意が必要です。
例えば、デジタル化を進める中で、Webサイト用に販売商品の紹介記事を制作することや、デザインを考案するといった業務は、対象外となります。
※:第II期 中小企業デジタル化応援隊事業 支援事例一覧
※:第II期 中小企業デジタル化応援隊 事業ガイダンス 1.3.支援における注意点
IT専門家として参加するための条件とは?
IT専門家として本事業に参加するためには、「中小企業からの相談に対応できるスキルや知識」があれば、システムエンジニアやプログラマーなどの職歴・資格は不要ですが、以下1、2いずれかの条件を満たしている必要があります。
1. 本事業への参加を希望する個人
上記には、もちろんフリーランス・個人事業主も含まれます。なお、副業や兼業として参加する場合は、所属先から許可をとる必要があります。フリーランスであれば、法人成り(法人化)している場合でも、IT専門家として登録が可能です。
2. 中小企業等経営強化法に定められた、認定情報処理支援機関(SMEサポーター)としての認定を受けた法人に所属している人
SMEサポーターとして認定された法人(会社等)に所属している人も、中小企業デジタル化応援隊に参加することができます。その場合、応援隊事務局が指定する様式に基づいて、事業に参画する認定情報処理機関として登録を行います。
ただし、2として参加しながら、1としても参加するなど、重複して登録することはできません。
また、納税地(活動拠点)が日本であることや、満20歳以上の成人であることのほか、特定の支援ツールやサービスのみに依存しない形(後述する「ここからアプリ」を利用する等)で中小企業等のデジタル化を支援することなど、事業に参加できるIT専門家の基準はガイドラインで定められています。手引書をしっかりチェックしておきましょう。
※参照:認定情報処理支援機関(スマートSMEサポーター)
※参照:「第II期 中小企業デジタル化応援隊」利用についての手引書 <IT専門家向け>
中小企業デジタル化応援隊事業の流れ
中小企業デジタル化応援隊事業にIT専門家として参加する場合の流れは以下のとおりです。
「支援提供パッケージ」の活用
中小機構からは、支援を進めるうえで必要な資料様式がまとめられた「支援提供パッケージ」が提供されています。
支援提供パッケージでは、EC構築・セキュリティー強化・テレワークの実現など、支援ごとに必要なプロセスに合わせた資料やワークシートがまとめられており、支援内容に合わせてカスタマイズも可能です。
- IT専門家向け推進マニュアル
- 中小企業向けレクチャー資料
- ディスカッション用ワークシート
- ソリューション一覧リスト
- 支援領域特化サポートツール
- 最終報告書テンプレート
※参照:支援提供パッケージ
「ここからアプリ」の活用
支援提供パッケージのほか、中小機構は、業種・目的・条件を組み合わせて、ITツールやクラウドを検索することができるアプリケーション「ここからアプリ」も提供しています。
「中小企業デジタル化応援隊事業ガイダンス」におけるIT専門家の基準では、中小機構が提供する支援コンテンツとして、ここからアプリや「IT戦略ナビ」等を活用することも含まれています。どのようなツールやアプリケーションを選べばよいかが判断しやすくなるでしょう。
登録期限に関するスケジュール
期限 | |
中小企業等・IT専門家の本事業への登録 | 2021年9月30日(木) |
中小企業等・IT専門家間における契約締結 | 2021年11月30日(火) |
IT専門家による支援終了及び支援実施報告 | 2021年12月17日(金) |
IT専門家による謝金申請 | 2021年12月24日(金) |
事業予算が上限に達する見込みが発生した場合は、上記スケジュールより前もって登録受付・契約締結が締め切られる場合があります。事業への参加を検討している場合は、早めに準備を進めていきましょう。
まとめ
第I期「中小企業デジタル化応援隊」事業には、たくさんの相談・応募がありました。デジタル化を検討している中小企業はまだまだ多く、IT専門家としてのスキルは強く求められています。新規案件を効率よく獲得できるといったメリットがありますので、ぜひ本事業に参加してみてください。
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