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【フリーランス必見!】服部税理士が解説 ― 借入返済を遅らせることができる「新型コロナ特例リスケジュール」とは?

FREENANCE MAG 服部税理士が解説 ― 借入返済を遅らせることができる「新型コロナ特例リスケジュール」とは?

新型コロナウイルス感染症の拡大により経営状況が悪化し、資金繰りに困窮する事業者は後を絶ちません。政府も助成金や給付金などの支援策を打ち出しており、コロナ渦で借入金返済に頭を悩ませている事業者に向けては、返済スケジュールの見直しを支援する「新型コロナウイルス感染症特例リスケジュール(以下、特例リスケ)」が設けられています。持続化給付金ほどの認知度はないものの、知っておくと大変有効な制度です。

新型コロナ特例リスケジュールとは?制度の特長や手続きの流れは?

新設された特例リスケは、各都道府県に設置された中小企業再生支援協議会(以下、協議会)が中小企業と金融機関の間に入り、借入金返済スケジュールの再調整(=リスケジュール)を行うことで、既存借入に対して最大1年間の返済猶予を行う特例制度をいいます。

特例リスケは法人だけでなく、フリーランスや個人事業主も対象となります。当初から協議会による返済リスケジュールの支援制度は存在していましたが、従来の制度では事業再生計画を策定し、事業再生の可能性があると認められる場合のみ支援対象とされていました。

一方、新設された特例リスケでは、“事業再生の可能性”を前提とせず、「コロナ禍での当面の資金繰り破たんを防ぐこと」を目的としているため、既存の制度よりも対象者が拡大されていることが特長です。

支援の具体的な流れ

特例リスケにおける一般的な流れは、以下となります。

1. お近くの再生支援協議会へ相談

協議会は47都道府県に設置されていますので、まずはお近くの協議会へご相談ください。

2. 必要書類を窓口に提出

売上減少の実態や、借入の状況がわかる書類をご準備ください。売上減少の要件としては、直近1ヶ月の売上高が、前年または前々年の同月と比較して5%以上減少している事業者が対象となります。

3. 専門家によるヒアリング、支援開始の決定

専門家が売上状況や今後6ヶ月間の資金繰りに関するヒアリングを行い、支援が妥当かどうかを判断します。

4. 専門家が金融機関(複数銀行可)へ返済猶予を依頼

支援開始が決定された場合、対象企業に代わって専門家が金融機関へ連絡し、複数行一括して1年間の元金返済猶予を要請します。

5. 特例リスケジュール計画を策定

今後の事業計画や資金繰り計画を策定し、金融機関からの同意の下、計画が成立します。計画が成立することで1年間の返済猶予が確定します。なお1~5までの支援内容に関しては、原則無料で受けることができます。

6. 毎月資金繰りをモニタリング、助言

計画策定後は毎月協議会へ資金繰りや利益状況の実績報告を行い、助言を受けます。

※参照:中小企業庁「特例リスケ支援」

どういった場合に利用できる?

複数の金融機関から借入がある場合

先述のとおり、対象となる事業者が複数の金融機関から融資を受けている場合にも、特例リスケを活用することが可能です。事業者に代わり、協議会に所属する専門家によって各金融機関との調整が行われ、既存借入の1年間の返済猶予だけでなく、場合によっては新規融資を含めた支援を受けることができます。

コロナ以前から業績が悪化していた場合

中小企業や個人事業主の中には、コロナ以前から業績が芳しくないケースも少なくありません。中には特例リスケが新設される前から、協議会の支援の下、再生計画を策定している事業者もいらっしゃることでしょう。こういった場合も、コロナ禍による売上減少や今後の資金繰りの見通しなどの要件さえ満たせば、特例リスケを受けることができます。

追加融資を断られた場合

資金繰りに困窮する方にとっては、特例リスケよりもコロナ融資のほうが認知度は高いかもしれません。しかし中には、金融機関から融資を断られるケースもあります。

コロナ融資と特例リスケは異なる制度ですので、コロナ融資を断られたからといって特例リスケまで諦める必要はありません。借入金の返済スケジュールの変更で経営が改善するのであれば、ぜひ協議会へ相談してみてください。

利用するとどんな点が改善される? 特例リスケのメリット

特例リスケの最大のメリットは、コロナ禍における当面の資金繰り状況が改善することです。既存借入の返済が1年間猶予されることによって毎月の支出額が削減され、事業資金の確保に繋げることができます。コロナ禍での事業見直しが求められるなど、重要な意思決定に必要な資金に充てることが可能となるでしょう。

新型コロナ特例リスケジュールを利用するうえでの注意点

大前提として、特例リスケは返済の「猶予」であり、「免除」ではありません。1年間の猶予期間が終われば、通常の返済がスタートすることとなります。

返済のリスケジュール自体は“抜本的な改革”ではなく、あくまでも立て直すための“時間の確保”に過ぎません。特に長期化するコロナ禍では、ただ嵐が過ぎ去るのをじっと待っていても事態は好転しない可能性もあるでしょう。

したがって「猶予期間をどのように過ごすか」が重要です。助成金や補助金など他の支援制度を活用しながら、事業の方向転換を図ることも検討する必要があるでしょう。

まとめ

資金繰りに苦しむ事業者にとって1年間返済が猶予されることは、当面の資金繰り改善へとつながります。借入金の返済に悩んでいるのであれば、特例リスケを活用し、事業立て直しの機会を模索してみてください。

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