本人確認をオンラインで完結させる便利なeKYC(イーケーワイシー)の利用が広がっています。これまで重要な契約や手続きの本人確認には、 運転免許証・保険証・各種証明書などを提示することが一般的でしたが、そこで活用されているのがeKYCです。
最近では、銀行口座の開設やアプリのアカウント作成などで需要が高まっています。そこで今回はeKYC(ホ)を中心に、その仕組みや活用事例をご紹介します。理解を深めて、 生活に役立ててみてはいかがでしょうか。
なぜ今、eKYCが注目されているのか
eKYCとは、「electronic(電子)」的に「Know Your Customer(顧客のことを知る)」という英語の頭文字をとった言葉です。簡単に言えば「オンライン上での本人確認」のこと。これは「犯収法( 犯罪による収益の移転防止に関する法律 )」によって定められています。
これまで主に金融業界で利用されてきたKYC(ケーワイシー)は、本人確認のため窓口へ行き、準備した書類を郵便で送るなどオフライン前提で組まれていた業務でした。このKYC業務に基づいて、 eKYC ではネットなどを活用して本人確認をオンライン完結させることを可能にしました。
eKYCが注目を集めている理由は、大きく分けて2つあります。
ひとつは、犯罪組織などへの資金提供を断つことが目的で制定された犯収法によって本人確認業務(KYC)が始まったことです。
組織ぐるみの違法な資金集めは、年々、手口が巧妙化・悪質化してきています。そのため銀行や組合などが資金を融資したり、何かの契約をしたりする際には、本人確認・審査などを厳重に行うKYCが求められてきました。
しかしその分、手間や時間、コストも増加します。銀行の口座開設において、本人確認に用いられていた転送不要郵便の送付には少なくとも約40億円もの費用がかかっていたそうです。
口座開設する顧客側にとっても、各金融機関や手続きごとにあらゆる書類を用意するのは大変なことです。事実、経産省の調査によると、口座開設の手続きを途中で諦めてしまった人の数は、年間約170万人とのデータもあります。
eKYCがあれば、金融機関側のコスト削減や顧客側の負担軽減が見込め、それによる取引の増加・活発化なども期待されています。
※参照:経済産業省「FinTech ビジョン(FinTech 検討会合 報告書)【素案】」
もうひとつの理由が、2020年から猛威をふるった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響によってeKYCニーズが高まったことです。
新型コロナウイルス感染症により収入が大きく減った企業や個人への補助金・助成金制度が対策として実施されましたが、その申請の多くはオンラインでできるものでした。
こうした実例は、金融取引・各種手続きのオンライン化を後押ししたものの、銀行口座のオンライン連携サービスを悪用した事件も発生。オンライン上で口座と連携したIDなどから本人と偽り、不正に預金を引き出すという被害が相次ぎました。
このように、対面する必要なく手続きができる利便性と、オンラインにおける確実な本人確認の必要性からeKYCが注目されています。
eKYCには(ホ)・(ヘ)・(ト)などの種類があり、(ホ)は本人確認書類の送信+顔写真の送信、 (ヘ) は本人確認書類のICチップ情報送信+顔写真の送信、 (ト) は本人確認書類の画像または本人確認書類のICチップ情報送信による他の特定事業者への照会をそれぞれ意味します。
(ホ)の本人確認書類には、顔写真入りの本人証明書である運転免許証・マイナンバーカード・住基カード・在留カード・パスポートなどが適用されます。 eKYCを利用したオンライン手続きは、手元にある証明写真と一緒にスマートフォンのカメラを利用して撮影するなどで完了。利用者側のメリットも大きく、注目を集めています。
eKYC(ホ)活用事例
実際にeKYC(ホ)が活用されている事例の一部として、以下があげられます。
銀行口座開設
これまでは本人確認のため、転送不要郵便物の受け取りが必要でしたが、eKYCの導入によってこの受け取りが不要に。オンライン上で本人確認がスピーディーに完結するため、即日口座開設できる銀行も増えています。
証券口座の開設
証券口座の開設には、マイナンバーを含めた本人確認や本人確認書類の写しの郵送、簡易書類の送付などが必要で、実際に投資が可能になるまでには時間がかかるデメリットがありました。eKYCが導入されたことで証券口座の開設もスピーディーになり、投資のタイミングを逃しにくいことから、個人投資家のニーズともマッチしています。
BtoCシェアリングサービスの利用
商品を共有することで、気軽にドライブやファッションを楽しめるBtoCシェアリングも近年利用者が増えています。企業が個人に商品を貸し出すため、本人確認は非常に重要。この分野でも、eKYCの活用によってスピーディーな利用が可能になりました。業務が効率化するほか、利用者の満足度アップにつながっています。
eKYCの展望とは
銀行口座の開設や本人確認が必要な各種サービスにおいて、eKYCの実施は拡大を見せており、今後もますますの需要が期待されています。eKYCがあれば必要書類の準備が不要になり、自宅で書類を待つ必要もありません。 その一方で、便利になっていく仕組みを賢く利用していくためには、利用者側の高いセキュリティ意識やネットリテラシー(インターネットを適正に使いこなす力)を高めていく努力が重要となってくるでしょう。
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