女性フリーランス対談:売れっ子ライター&スタイリストの「お金の本音」

「ZIP!」「ヒルナンデス」などの人気TV番組に出演するスタイリストの森田文菜さんと、「資生堂dプログラム」「家庭画報」など数々の有名媒体で執筆を手掛けるライターの大西マリコさん。苛酷な(?)アシスタント時代を経て順調にお仕事を獲得しているお二人に、フリーランスならではのお金アレコレを聞いてみました!

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スタイリスト・ライター森田文菜:タレントのメディア出演時及び雑誌等で、レディース・メンズを問わずスタイリングを行う。webでのファッションコラム等のライターとしても活動中。テレビ・ラジオ等へのファッション解説出演もあり。
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ライター/西洋占星術家・大西マリコ:ライターとして美容を始め、幅広いジャンルを取材執筆する一方、幼い頃から学び続けている西洋占星術を用いて占い師としても活動中。個人鑑定のほか、ライター業を活かし、美と天体を絡めたコンテンツ作成も得意。
オフィシャルHP http://mariko-onishi.com/
サンポージュエリーhttps://www.sanpogroup.jp/journal/jewel-shining/(12星座のお守りジュエリーを監修)

師匠からの着信音を聞くだけで、手が震えたアシスタント時代

まずは、お二人がフリーランスになったきっかけを教えてください。

(森田さん、以下M):実は私は会社員の経験がなくて、大学を卒業してからずっとフリーランスなんです。高校生の頃からファッションに興味があったので、服飾系の専門学校に進むことも考えたのですが、親からのアドバイスもあって大学に進学しました。

(大西さん、以下O):大学ではどんなことを勉強していたんですか?

M:心理学を専攻していました。でも就職活動中に、「やっぱり私は一つの企業に属するのは無理な気がする」という気持ちが強くなって。就職活動をリタイヤして、大学4年生のときにスタイリスト事務所に所属したんです。そして大学卒業後は、そのまま事務所の師匠のアシスタントになりました。アシスタントを始めて1年半くらいで結婚・妊娠したので、それをきっかけに独立して、現在はフリーランスのスタイリスト&ライターとして活動しています。

スタイリスト・ライター 森田文菜さん

O:私はもともとWeb制作会社に勤務していたのですが、Web業界って技術の進化が早いじゃないですか。それについていくのが、ちょっとしんどくなっちゃたんです。当時、Webのデザインだけでなく、テキストも自分で書いていたので、「このままライターの仕事にシフトできないかな」と考えるようになって。ライターなら、一生涯の仕事にできるんじゃないかと思ったんです。それで5年くらい勤めた会社を退職して、フリーライターを目指すことにしました。

M:そのWeb制作会社を退職してすぐに、フリーランスとして独立したんですか?

O:いえ、私も最初はアシスタントから始めました。ご縁があって、某美容雑誌のライターさんのアシスタントになることができたので。

ライター 大西マリコさん

二人とも、アシスタント時代を経ているんですね。

O:最初の頃は、会社勤務のように規則正しい生活でないアシスタントの働き方になかなか慣れることができなくて苦労しました。アシスタントの仕事って、時間の概念がないんですよ。例えば夜中に師匠から突然電話がかかってきて、「朝までにこの原稿修正をお願いね」とか普通にありましたから…。

M:私はスタイリストの仕事を教わる前に、師匠のお世話係からスタートでしたよ。最初に担当した仕事は、師匠の犬の散歩でした。

O:あの頃は心身共にきつくて、師匠からの電話の着信音を聞いただけで手が震えていました(笑)。私は体力がないしメンタルも強い方ではないので、自分の弱さが原因なんですけどね。何の実績もない私に仕事を教えてくださって、師匠には今でもとても感謝しているんです。しかし当時、心身を壊してしまったためあまり良い卒業の仕方をしていないので、今でも夢に見るくらいです…。死ぬまでに、謝りたいと思っています。

M:私も、何度も逃げ出そうと思うくらいきつかったですね。当時の師匠がつけていた香水と同じ匂いを嗅ぐと、今でもちょっと気分が沈みます(笑)。でも最近は、アシスタントを経ないでプロになるスタイリストも多いみたいです。スタイリストを募集している企業に就職したり、新人でも人脈を活かして仕事を獲得したり、いろいろな方法があるみたいですね。

森田さんが参加した女性誌の企画。今は雑誌やテレビで幅広く活躍中

専門性を持って、自分のギャラを上げていくことが重要

そんなアシスタント時代を経て、今は順調に仕事の幅を広げていらっしゃるんですよね。仕事を獲得する秘訣みたいなものはありますか?

O:私は最近、ライティング業務に加えて占いもやっているんです。世の中の占いコンテンツは、占い師が鑑定してライターがテキストを書くという分業制なんですが、これを一人の人間が同時にできれば絶対にニーズがあるだろうと思って。実際に、今はいろいろな企業の占いコンテンツを担当させていただいてます。ライターって世の中に星の数ほどいるので、その中で仕事を獲得し続けるには、自分だけの強みは絶対に必要だと思います。

M:自分だけの強みを持つって、大切ですよね。

O:ライターの仕事は、ギャラが安いものも少なくないんですよ。だから専門性を極めたり、書くだけでなくインタビューや構成のスキルを身に着けたりして、自分のギャラをあげていかなきゃいけないと思います。

より良い仕事を獲得するための工夫や努力は必要

独立当初から順調に収入を得ることはできたんですか?

O:私はアシスタント時代も給料をいただいていましたし、アシスタントを辞めて独立してからも、以前勤務していた制作会社さんから声をかけていただいたりで、なんだかんだ仕事はありましたね。

M:私もアシスタント時代に知り合ったタレントさんが、独立後もお仕事をくださって。そのおかげで、独立が決意できたようなところもあります。でも、アシスタント時代はほぼ無給でしたよ。

O:そうなんですか?どうやって生活していたんですか?

M:全然生活できていなかったですよ(笑)。恥ずかしながら、親のすねをかじっていた時期もありますし、当時の彼氏の家にもよく転がり込んでました。彼氏からは「ゴキブリ」と呼ばれてました。(笑)

O:ゴキブリ!?

M:仕事を終えて家に帰ってくると、足の裏が真っ黒になっているんですよ。しかも疲れのあまり、玄関にそのまま転がって寝たりしてたんで…。

森田さんと10歳の息子さんのツーショット

金額交渉が苦手なら、ブランディングで「高見え」させる

では、今はそんなにお金の悩みはないですか?

M:いや、あります。これはもう昔からなんですが、報酬に関する交渉がとても苦手です。

O:わかります。以前あるクライアントさんがなかなかギャラを振り込んでくれないことがあって。本当はもっと強気で「払ってください」と言えばよかったんでしょうけど、なんとなく言いづらくて、結局半年くらいしてようやく振り込んでもらいました。

M:私は、クライアントさんから報酬の話がなかなか出なないときに、自分から「この案件はいくらもらえるんですか?」って聞けないんですよ。

O:そうそう、私も。最初からお金の話をするのってどうなんだろう、と思っちゃうんですよね。

M:なので私は、最低金額だけでもお伝えするようにしています。「最低限これぐらいは頂戴したいです。これ以下だったら受けられないかもしれません。でも、もしご予算があれば相談してください」って。こういう謙虚な言い方をすれば相手に悪い印象を与えることはないでしょうし、こちらも言いやすいですよね。

O:私は自分で金額を交渉するのが苦手なので、できるだけ自分を「高いライター」に見せる努力をしてます。

M:具体的にどんなことをするんですか?

O:昔は古着が好きで、仕事にもそういう服装で行っていたんです。でもそういう服装を見て、クライアントが私を一流のライターだと思うかどうかは、微妙ですよね。だから師匠や売れっ子女性ライターさんたちの服装を参考にして、「おしゃれで、適度に抜け感があって、カジュアル」みたいな服装にシフトさせていきました。

M:良いですね!服装は第一印象に大きく影響するので、フリーランスにとってすごく重要ですよね。

お仕事中の大西さん

不安になるのは、本当に好きなことを仕事にできていないから?

ところで、「お金が稼げなくなったらどうしよう」という不安はないですか?

M:「今の仕事がなくなってしまったらどうしよう」という不安は、もちろん常にありますよ。ずっとお付き合いしていたクライアントから「今月で最後です」なんて連絡は普通にありますから。

O:そうですよね。私の経験上、なぜか毎年3月と9月はお仕事終了の電話がかかってくる可能性が高い気がするので、その時期になるとちょっとビクビクしてます(笑)。そのぶん、その時期には新しい仕事の依頼もたくさんあるんですけど。

やっぱり、収入に波ってありますか?

M:めちゃくちゃありますよ。特にフリーランスになったばっかりのころは、収入が少なすぎる月は、親にお金を借りに行ったことがあります。なのでテレビに出演できるようになった今でも、親には「いい加減に就職しろ、いつまでふらふらしているんだ」と怒られてます(笑)。

「ZIP!」に出演したときの森田さん

O:私はレギュラーの仕事があるので助かっていますが、仕事の多い月とそうでない月っていうのはありますね。でも私は、最悪ライターで食えなくなっても何とかなるんじゃないかって思うんです。フリーランスって、ブランディング、マネージメント、コミュニケーションなど、あらゆることを自分一人でこなす仕事だと思うんです。そのスキルさえあれば、環境や職種が変わってもなんだかんだ食べていけるんじゃないかなと。

M:そうですよね、私も「何とかなるかな」っていうポジティブなマインドはあります。そういうポジティブな気持ちがないと、フリーランスはやっていけないかもしれないですね。そんな風にポジティブになれるのって、本当に好きなことを仕事にできているからだと思んですよ。いつも不安を抱えている人は、もしかしたら本当に自分の好きなことを見つけられていないのかもしれない。

O:はい、好きなことをやるって、すごく大切だと思います。

M:スタイリストをやっていると、自分のスタイリングに批判的なコメントが寄せられることもあるんです。それでもくじけずに仕事を続けられるのは、自分がファッションが好きだからなんだろうなって思います。

O:以前に本当に仕事がなくて、ぽっかり時間が空いちゃったことがあるんです。そのときはもう割り切って、ニューカレドニアに行きました。仕事のことも全部忘れて思いっきり遊んだんですけど、めちゃくちゃ楽しくて。そのときに「旅行ってやっぱり楽しいから、旅行しながら仕事ができないかな」と思いついたんです。帰国後にそんなことを周りに言っていたら、たまたま知り合いが旅系のメディアを運営している企業を紹介してくれました。たとえ仕事のない時期があっても、その時間から何か新しいチャンスが生まれるのかも、って思いました。

大西さんの心を癒してくれる愛犬のうどんちゃん

稼げるフリーランスの共通点は、センス以上に「コミュニケーション能力」

ちなみにお二人の現在の収入って…何となく教えていただくことできますか?

O:もし私が今の自分の年齢・スキルで会社に所属していたら、今のフリーランスの稼ぎよりは少なくなるかな、と思います。もちろん収入に波はありますが、それでもやっぱりフリーランスの方が私には合っていると感じています。

M:私はどうだろう…。会社員のボーナスくらい稼げるときもあるし、すごく少ないときもあるし。ただ、スタイリストという職業柄、それなりに自分の服装や美容にお金をかけているから、なかなかお金は貯まらないですね(笑)。

それでは最後に、スタイリストやライターを目指している人にメッセージをお願いします。

M:スタイリストって、センスが最も重要というわけではないと思います。

O:そうなんですか?

M:ファッションセンスが皆無の人が、スタイリストになろうとは思わないじゃないですか。「スタイリストになりたい!」と思った時点で、ファッションに興味があるし、センスもある程度は備わっていると思うんですよ。そこからプロとして成功するかどうかは、コミュニケーション能力なんです。挨拶がきちんとできたり、人との付き合い方が上手だったり、「この人に仕事をお願いしたい」って思わせられることがすごく重要。

O:ライターも同じだと思います。「ライター=文章を書く仕事」と思われがちですが、実際に文章を書いている時間って全体のわずか2、3割程度なんです。それ以外は打ち合わせをしたり取材をしたり、人と接している時間が意外と多いんですね。そこでうまくコミュニケーションを取れることは、「この人に仕事を頼みたい」って思ってもらえるようになる上ですごく大事。フリーランスは「信頼の積み重ね」みたいなところが大きいと思っています。

M:わかります。あとは、途中であきらめないことかな。アシスタント時代は本当に苦しかったんですけど、そういう時期を経れば、スタイリストの仕事ってめちゃくちゃ楽しいと思うんですよ。大好きな洋服にいつも触れられるし、ミーハーかもしれないけど好きなタレントさんに会えることだってありますし!しんどい時期があっても、あきらめずに続けましょう、ということですかね。

楽しいお話をありがとうございました!