最終目標は世界の『TSUKUBA』。勝手に大使を始めたフリーランサーの熱い想いとは?

フリーランスの観光大使として活動する「勝手につくば大使」こと小村政文さん。フリーランスで観光大使、しかも勝手に。そんな彼の仕事内容とは?大使を勝手にはじめたキッカケから、ビジネスモデル、見た目からもだいたい想像が付く彼の熱い想いまで聞いてみました。

profile

勝手につくば大使(小村政文さん):筑波大学在学中からつくば市の大使を“勝手に”始め、2018 年度に同大学を卒業。以降は大使活動のみに専念している。2015年11月に発足し、活動を開始してから4年近くが経過。現在はあぼさん(キリンのお面を被った女性)と2人組で活動している。

週 2 日のアルバイトをしながら大使活動を継続

茨城県つくば市にはそもそも正式な観光大使がいるようですが、“勝手に”大使を始めた理由はなんですか?

理由は単純で、自分が大使活動を始めたときに、つくば市に正式な観光大使がいるということを知らなかったんです。

正式な大使がいることを知らずに始めた大使活動

観光大使を志すということは、生まれも育ちもつくば市なんでしょうか?

いえ、実は私は北海道生まれなのですが、親の転勤が多くて自分の地元という場所がなかなか見つからなかったんです。大学入学を機につくば市で一人暮らしを始め、はじめて自分が住んでいる街を好きになれました。つくばの人たちは本当に素敵な方ばかりで、そんな魅力を外に発信したいという気持ちから、勝手に大使活動を始めました。

正式なつくば観光大使になろうという気持ちは?

まったくないですね。

正式な観光大使はどこかから PR 活動の依頼を受けて大使活動を行なっていると思うので、自分とは業態が違うんです。自分の場合は「俺はつくばのここ が好きだぞ!」というスタンスで魅力を発信し続けているので、正式な観光大使のライバ ルでもなければ敵でもありません。第一、つくば観光大使は美女 6 人組ですから、自分が入る場所はないですね(笑)。

生まれは北海道という小村さんと、一緒に活動するあぼさん

現在の大使活動はどのようなものでしょうか?

主にブログ運営、フリーペーパー発行の 2 つです。規模は小さいですが、勝手につくば大使グッズを作って販売もしています。まだ大使活動だけでは食えていないので、生活のた めに週 2 日のアルバイトもしています。

バイト代を使って取材しながら 700 記事!狂気のブログ運営

ブログを拝見しましたが、とにかく記事の量が豊富ですね。

勝手につくば大使の活動の始まりがこのブログでした。つくば市の魅力を発信しつつ、自分たちの存在も知ってもらおうと。基本、記事は取材をもとに書いています。これまでに 700 記事近く執筆していますが、長い道のりでしたね…。コツコツ積み上げるということは、 こんなに大変なものなんだと知りました。

バイト代を費やした渾身のブログ

努力が実って、アクセス数や認知度もかなり上がってきているそうですね。

まだ試験的ではありますが、ブログ内につくば市にある店の広告を載せてもらうなどして、収益化を図っています。ブログはつくば一色で染めたいので、余計な広告が表示されない ように、ブログ内で広告枠の募集をして集まった広告がランダムに表示される仕組みになっています。

こだわりがあるんですね。

まだたいした収益にはなっていませんが、この 700 記事の取材費は自分のバイト代で賄っていたので…。大切にしたいという気持ちは強いですね。そのかいあって、1 つ飲食店の求人広告も入りました。ローカルな店にとって、大手の求人広告紙は掲載料が高いですよね。それでいて枠は小さく、詳しい情報は載せられない。

つくばの大地を翔ける小村さん

たしかに、求人広告って画一的なものが多いですよね。

自分は店主の人柄や店のことは熟知しているつもりなので、他の媒体にはできない求人広告を作りたいと思っています。その店の魅力を押し出して、店主の顔や思いを伝えたい。 店側からの「こんな人が欲しい!」という希望も載せたいですよね。求人広告というよりは、マッチングのプラットフォームのような場所にしたいんです。

無骨だけど温かい。そんなつくばの魅力を伝えるフリーペーパー『ツクバ人間』

フリーペーパーのタイトルがまた渋いですね。『ツクバ人間』。

地域のフリーペーパーって、全体的にオシャレな雰囲気のものが多いじゃないですか。でもそれは、自分にとってのつくばのイメージとは違う。無骨だけど温かい。自分が感じているつくばの魅力を、とにかく前面に押し出すことが大事だと考えています。

フリーペーパーの内容も、そのポリシーに沿っているのですか?

そうですね。無難な記事ばかりではつまらないので、取材した店主の「この人のここを知 ってくれ!」「俺は店主のここが好きなんだ!」といった私からのメッセージを主観的に書いてみたり、飲食店だったら料理にはほとんど触れずに店主のおじさんだけにフォーカスしてみたり。相方のキリンからは不評でしたが、『うるせえ、1 回やってみさせろ』と押し切りました。

小村さんのつくばへの愛が詰まったフリーペーパー

たしかにこの表紙はなかなかのインパクトが…。

この表紙に写っている方は、じつは豆腐屋の店主なんです。この豆腐屋の魅力を伝えるにはどうすればいいかを考えたときに、豆腐も大切ですがやっぱり人だと思ったんですよね。 店主も『なんでもやってくれ』と言ってくれたので、ありがたくなんでもやってもらおうと。パツンパツンのタンクトップを着させて、店の冷蔵庫の前で撮影しました。特に意味はないです、ひらめきです。

なるほど、このおじさんが作った豆腐は気になります。フリーペーパーの収益は、や はり広告費からですよね。

巻末に協賛ページを設けて、そこから収益化を得ています。おかげさまで応援してくれる方々がたくさんいて、現在では 30 店舗の協賛が集まりました。発行部数も現在の 2 号は 2,000 部ですが、5 号では 1 万部を目指しています。

つくばの空を見つめる小村さん

でっかい最終目標。『TOKYO』『OSAKA』そして『TSUKUBA』

勝手につくば大使としての、これからの目標は

今までの自分の活動は、決して合理的ではなかったかもしれない。その証拠に、つい最近までは週 4 日アルバイトをしていました。でも長い時間をかけて形成されたつくばのみなさんとの人間関係はお金では買えない。それが自分のすべてですから。ビジネスモデルはもうできあがりました。あとは今つくっているコンテンツや活動の質を、ひたすら磨いていくのみです。

週4日アルバイトをしていた時代も(つい最近まで)

そこまでつくばに人生をかける理由はいったい何なのでしょうか?

自分が勝手にはじめた大使活動が、ここまで大きくなったのは応援し続けてくれたつくば の人々のおかげですから、恩返ししなくてはいけないんです。こんな風に目立つ風貌をしていますが、有名になりたいわけではありません。勝手につくば大使が大きくなることが、 街の人々のためになると信じて活動をしています。

海外の人たちは日本を思い浮かべるとき、『TOKYO』『OSAKA』と言いますよね。そこに『TSUKUBA』 も入るくらいに、世界中につくばの魅力を広めたい。 勝手につくば大使はじつは観光大使ではなく親善大使なんです。自分はもうつくばに永住することは決定済みなので、来年あたりにはもう自分の墓を建てちゃおうかなと考えてい ます。

(取材・文/國友公司 撮影/藤田瑞樹)