どうも。
今回のお話も、正直フリーランスのお仕事の参考になるかは分かりません。
ただ、あるひとりのフリーランスが仕事をする中で「結婚」をどう考えたのか、なんとなく参考になったら嬉しいなと。
そして願わくばこれを読んで、新年に笑顔になって頂ければ幸いです。
Contents
約4坪のお見合い会場
前話にて。
突如お見合い会場と化した車内。2年ぶりに再会した友人が突如「花婿候補」になった。
ひろくんのお母さんはそう(ウチのひろと結婚したらどう?)言っているけれど、お父さまである先生はどう思っているんだろう?と運転席の様子を伺うと、先生は突然堰を切ったように
「そうだ!そうすると良い!そうしよう!ずっとそう思ってた!」とまくし立てた。
……初耳なんだが?
これまでお世話になっていた約10年間、ひろくんと結婚して欲しいなど、一度も聞いたことないのだが。
先生が今までにないくらいのハイテンションでひろくんを勧め、ひろくんのお母さんも「そうよそうよ」と推してくる。
肝心のひろくんはどう思っているんだ?と思い助手席を見ると、
ひろくん「ぜひよろしければ☆彡」
なぜかノリノリだった。
アンタ、何考えてんだよ。
一瞬苛立ちを覚えたが、何とか気持ちを切り替え、半笑いでその場をやり過ごそうとした。
天「え~(笑)聞いてないですよ~(精一杯の反論)………………え~(笑)」
フワッとした返事をしながら、ニヤニヤしてその場を凌いだ。願わくば、このままこの話はフェードアウトして欲しい、そう思っていた。
……が、このままで終るはずがなかった。
その後の食事中も、ご両親によるひろくんプレゼンは続いた。さらには「この二人どう思う?お似合いでしょ?」と店員さんを巻き込んでのマインドコントロール。
さらには食後、先生のご実家でお茶をすることなり、「ひろは自炊が得意なのよ」と、ひろくん自作の黒にんにくを提供された。結構ロックなお茶請けだなと思いつつ……いただいたらめちゃ美味しかった。いただいている間お母さんは
「ひろはこれだけじゃなくて、梅酒や梅干しとかも自分でつけているのよね」
と話す。
ひろくんは「最近はかりん酒を作りました。でもぼく、あまりお酒飲めないんですよね」と続ける。
それでは一体誰の為に作っているのか。いちいち疑問は残りつつ、スルーした。
話は続く。
お母さん「ひろはひとり暮らし歴も長いし、結婚したら大半の家事はひろが全部やってくれるわよ」
……それはポイント高い。そう思いつつ、
天「めちゃステキですね、でもそれだったら結婚したいって人沢山いるんじゃないですか?」
と聞いた。するとお母さんの顔が少し曇り、
お母さん「そうでもないのよ」
天「え……!だって支えてくれる人ってめっちゃありがたいじゃないですか」
お母さん「どちらかと言うと……支えたい、と思う女性が多いのかもね」
……なるほどな。ひろくんは「オレについて来いよ!」というよりは「ついて行くよ☆彡」という性分なのか。
……まてよ。
それは私にとってはかなりありがたいぞ……?
思わぬところでひろくんとの結婚がアリよりに傾いたが、それは誰にも告げなかった。
そしてその日は何事もなく終了。このままフェードアウトになるだろう……そう思いながら就寝した。
しかし、その考えは甘かった。
ここから、ひろくんのご両親による怒涛の「ひろくんといっしょ」作戦が始まったのだ。
ひろくんといっしょ
翌日……。
ひろくんのご両親に、会合の準備、受付、昼食、移動など、ありとあらゆる行動を「ひろくんと共に」するように手回しされていた。
どこに行っても隣にひろくんがいる。
お父様とお母様は、なにかと「ひろと一緒に~」と仕事を割り振り、別に断る理由もないので、二人して「はい」と答えて作業をした。
そんな中、「ふたりで受付」をしていた時のこと……開場前から受付席に座らされていたので、二人で会話せざるを得ない環境ができあがってしまった。
私は脳内で緊急会議を開いた。
ファンファンファンファーン――――――――――――
今後について考えよう。
(1)このまま、うやむやにする。
(2)うやむやにすると今後先生方へはお会いできなくなる可能性があるため、きちんと向き合ったうえでお断りする。
(3)はたまた、お受けする。
(脳内会議終わり)
少し考えて、(2)にすることにした。
そしてせっかくなのでお見合いの続きでもしようかなと、ドラマなどでよく見るお見合いのスタンダードなやり取りを始めた。
天「ひろくん、現在お住まいはどちらで?」
ひろくん「高砂☆彡寅さんで有名な柴又の側☆彡」
天「ほお、寅さん」
ひろくん「うん☆彡こち亀の葛飾も近いよ☆彡」
天「ほお~。なぜ高砂に?」
ひろくん「健康の為に毎日歩きたいから、できれば駅から徒歩20分以上の所に住みたくて、知り合いの不動産屋さんにお聞きしていたんだけど、東京は駅が多いから、20分以上歩くと、次の駅の最寄りになってしまって」
天「なんそれ(笑)」
ひろくん「ほんと、びっくりしたよ。だから散歩しやすい街にしたくて、高砂にしたよ」
天「他になんか条件付けたの?」
ひろくん「あとはね、絶対条件としてタカラヅカスカイステージを受信するアンテナを付けられるところ☆彡」
天「ま!」
ひろくん「例え雨風凌げなくてもタカラヅカスカイステージが見られるところが良いです!って言った☆彡」
天「なんそれ(笑)」
あまりにも聞いたことのない居住条件の数々。それを、ウケ狙いではなく、至って真面目に話すひろくん。
会話は続く。
天「ひろくんのご兄弟は」
ひろくん「4人だよ☆彡」
天「え、一緒。ウチも4人だよ」
ひろくん「そうなんだ。何番目?」
天「2番目」
ひろくん「一緒だね☆彡」
天「3人姉妹と年の離れた弟がいるから実質真ん中の時代が長かったな」
ひろくん「え!ぼくもだよ!」
天「マ?!」
ひろくん「僕の家は3人兄弟と年の離れた妹がいるから実質真ん中の時代が長かったよ」
天「……めっちゃ一緒!」
ひろくん「真ん中ってさー……上と下の様子見過ぎて自分の反抗期逃すよねー」
天「……わかる……わかるーー!!」
そこから怒涛の「真ん中あるあるラリー」が続いた。3人お揃いの洋服を買ってもらっても、真ん中だけ少しデザインが違う、ほっとかれやすいのでよく一人行動をすることになる。でも寂しくない。むしろ楽しい。
育ってきた環境が似ていると、感覚も似るのだろうか。
あっという間に時間は過ぎて行き、マグロ解体ショーが始まった。