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自宅派 or オフィス派?フリーランスの仕事場問題を考える。

FREENANCE フリーナンス コワーキングスペース

PCと必要なソフトさえそろっていれば、どこでも仕事ができるのがフリーランスの最大のメリット。つまり、大きな初期投資をすることなく独立できるわけです。しかしフリーランスで仕事を始めると、必ず突き当たるのが場所の問題。 そう、「どこで仕事をするか」ということに悩む人が意外と多いのです。そこで今回は、フリーランスの仕事場所問題を考えてみました。


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フリーランスにとって自宅=オフィスは最高の環境?

フリーランスを始めるにあたってまず考えるのが、「これで毎日の満員電車に乗らなくてすむし、自宅で快適に仕事ができる!」という喜びではないでしょうか。

そうなんです。自宅で仕事が完結できるのはフリーランスの最大のメリットといえるでしょう。確かに打ち合せなどで外出する機会もありますが、会社員時代と違い、打ち合せすらも気分転換と考える人も多いのでは? さらに、自宅で仕事をすることは経費の削減に直結します。できるだけ出費を抑えたいのは当然で、そうすると自宅=オフィスは最高の環境なのです。

他にも子育てをしながら仕事ができたり、自宅に置いてある必要な資料をすぐに確認できたりといったメリットもあります。そう考えると自宅兼オフィスは一見、いいことだらけなのです。

「自分のペースを守りながら、自宅での仕事を楽しんでいます」

元廣翠 FREENANCE フリーナンス コワーキングスペース
自宅派WEBディレクター
元廣 翠さん

フリーランスのWEBディレクターとして働く元廣 翠さんは、2018年7月に個人事業主として開業しました。

フリーランスになった理由は、満員電車に乗るのが苦痛だったことと、週5で人に会うのがメンタル的にきつかったことが主な理由です。会社に勤めてみて感じたのですが、多くの人が普通にできていることが私にとってはハードだったんですね。働き方を自由にしたかった、というのが一番大きな理由です」と語る元廣さん。

現在は1DKの自宅をオフィスにして仕事をしていて、アイディアを出すときなどはカフェやコワーキングスペースに行くなど、メリハリを意識しながら仕事をしているとのこと。

自宅で仕事をするようになって、学生時代から悩まされていた胃痛がなくなったんですよね。 自分がもっともくつろげる空間で、自分のためだけの時間を過ごす、という働き方が自分には合っていたのではないかと感じています

元廣さんの自宅は、仕事をするためのデスクと、くつろぐためのソファスペース、そして寝室というシンプルな配置。スペースを区切ることで集中しやすい環境づくりを意識しているそう。

煮詰まってきたらご飯を自炊するなど、自分の好きなことで気分転換ができるのも自宅で仕事をするメリットだと思います。いろいろな考え方や価値観はあると思いますが、私にとっては自分のペースを守りながら仕事ができる現在の状況がベストなのではないかと考えています

profile

自宅派WEBディレクター 元廣 翠さん
Webエンジニアを経験後、WebサービスのディレクターやWeb事業責任者を経て独立。Webサービス特化型ディレクション、ITを活用した業務効率化、Web制作などを行っています。屋号は「miro」。
https://miro.works/

自宅で仕事することの「落とし穴」も

しかし、そこには当然のように落とし穴があります。

最初は「自宅で仕事をする」と決めていた人が、次第に「自宅では仕事ができない」という事態に陥る可能性があるのです。

その最大の理由は、生活空間と仕事空間を切り分けづらいということ。

仕事を始めようと思ってPCの前に座ったら洗濯が終わったサイン音、調子よく原稿を書いていたら子どもが泣き始めるなど、実は自宅では仕事を邪魔するさまざまなことが発生するのです。特にワンルームや1Kなど、生活空間と仕事空間を分けられない間取りは要注意。テレビやおやつ、ソファにこたつといった多くの誘惑もあなたを惑わせます。これらの誘惑に打ち勝って、仕事に集中しなければならないのです。

結論:経費節減や移動の不要など、自宅を仕事場にするメリットは多くありますが、それと同じくらい妨げと誘惑が発生します。想像以上に強い精神力が必要と言えるでしょう。

仕事に集中したいなら、出費を覚悟でオフィスを確保すべき?

自宅で仕事を始めたけれど、やはり邪魔や誘惑を断ち切りたいと考え、仕事場を別に設けることを考える人も多いのではないでしょうか?

最近ではシェアオフィスやレンタルオフィスなども充実してきているので、それほど大きなお金をかけずにオフィスを借りられるようになりました。

オフィスを借りる最大のメリットは、なんといってもそこが「仕事をする場所」だということ。自宅と違い、仕事をするためだけの空間なので、作業がはかどります。また、仕事の打ち合わせが必要な場合、相手によってはオフィスに来てもらえるというメリットもあります。実はフリーランスにとって、移動時間はネックで、オフィスを借りることで「移動時間=お金を生み出さない時間が減る」というのは大きなメリットです。

その他にも、外部の人とのつながりができ、さまざまな情報交換ができたりもします。あと見落としがちなのが、名刺に自宅の住所を記載しなくいいということも、こんなご時世ですから大きなメリットだと思います。

「オフィスを借りることは、事業を成長させる方法の一つだと思います」

ツチヤコウヘイ FREENANCE フリーナンス コワーキングスペース
株式会社Notes(ノーツ)代表取締役/ディレクター
ツチヤコウヘイさん

都内で映像制作会社を営むツチヤコウヘイさん。

2009年に個人事業主として独立後、2016年から渋谷にオフィスを借りてフリーランスとして活動していましたが、2018年5月に法人化しました。

オフィスを借りた理由は、結婚と出産が契機でした。一人で仕事をするだけなら自宅でも良かったのですが、家族が増えたことで家庭と仕事場を切り分ける必要を感じました。ちょうど仕事が軌道に乗ってきていた時期でもあり、より成長を目指すため、という思いもありましたね

オフィスを借りたことで月々の出費は確かに増えたそうですが、それ以上のメリットも感じたと、ツチヤさんは言います。

映像制作はチームで行う作業です。人と一緒に仕事をする場所ができたのは、とても大きなメリットでした。それから、オフィスで仕事をするようになってから気づいたことが、タイムマネジメントとストレスマネジメントがうまくいくようになりましたね。自宅だとダラダラと明け方まで仕事をしていたのがオフィスでは時間を決めて仕事をするようになりましたし、仕事と家庭のストレスを別々に考えられるようになったので気持ちがラクになりました」とツチヤさん。

仕事に集中できる環境が整ったことで、結果的に収益も上がり、法人化も達成したとのこと。

金銭的にムリのない範囲でオフィスを借りることは、事業を成長させるためのひとつの方法だと思います。オフィスというのは、自分が集中できて、人と一緒に仕事をする環境を作るということですから

profile

株式会社Notes(ノーツ)代表取締役/ディレクター ツチヤコウヘイさん
早稲田大学第一文学部在学中より映像制作業務開始。制作会社にて構成・編集・ディレクターを務めた後、2009年より独立、Notes設立。大手企業のPV、CM、TV番組、ドラマコンテンツからバラエティまで幅広く企画・制作する。
https://twitter.com/hamstyle21

売上が伸びない時期は、月に数万円の出費が痛手に

デメリットといえば、何といってもお金です。シェアオフィスといっても、借りるとなれば数万円の出費になります。しかも、それが毎月かかるわけですから負担が増えます。月によって収入の額が変動するフリーランスにとって、死活問題になる場合も多くあります。

結論:オフィスを借りて仕事場にするのはメリットも多くありますが、出費がかさむという大きなデメリットがあります。

最近話題の「コワーキングスペース」とは

フリーランスの中には、最近話題の「コワーキングスペース」を利用する方も増えているのではないでしょうか?

コワーキングスペースとは、カフェとオフィスの中間点に位置する新しいワークスペースと言えます。

利用料金も、2時間までで1,000円以内程度、終日利用で1,000円~3,000円、月額契約で1万円~1万5,000円程度と、シェアオフィスに比べて安価に利用できることがメリットです。2000年代はじめにアメリカ・サンフランシスコに端を発し、日本では2010年に初めて「コワーキング」という名称を用いた施設ができたと言われています。

特徴としては、

  • 単なる仕事を行う空間の確保だけではなく、コミュニティの形成が可能である。
  • 多くのコワーキングスペースが運営者の価値観や考え方に基づいて、場所の提供だけではなく、さまざまなイベントの開催などを定期的に行っている。
  • 孤独に陥りがちなフリーランス同士がつながりを作ることができ、協働や新しい価値の創出を行うという付加価値が期待できる。

などが挙げられます。

コワーキングスペースを利用するメリットは、孤独感の軽減と利用者同士のつながりによるコミュニティへの参加にあるのです。「働き方改革」が叫ばれる中、今、日本のさまざまな地域でコワーキングスペースの開設が進んでいます。自宅近隣のコワーキングスペースを検索して、いつでも利用できるようにしておくのもいいかもしれません。

近年、コワーキングスペースは目ざましい勢いで拡大しています。都市部だけではなく、地方部にもさまざまな特色を持ったコワーキングスペースができています。

託児つきのコワーキングスペースも登場

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中でも注目なのが、託児つきのコワーキングスペースです。保育園や保育施設を運営している団体が作ったスペースもあり、そういったスペースでは子どもを連れての入室がOKです。さらに同じビル内に一時保育サービスや病児・病児後保育室が併設されていたり、子育てサポートを利用できたりと、子育てをしながらフリーランスで働く方にとって、とてもうれしいサービスが提供されています。

このように現在は「働き方改革」を実現すべく、さまざまなオフィスサービスが誕生しています。自分の状況に合わせて、行きつけのコワーキングスペースを作っておくのもいいかもしれません。

仕事と生活のバランスを考えた上で快適な仕事場を選択

いかがでしたでしょうか?

私自身は2017年に自宅を仕事場にして開業しましたが、2018年にコワーキングスペースの運営を開始しました。その背景にあったのは、オフィスを持つことの精神的、時間的なメリットが大きくなったことでした。とはいえ純粋にオフィスを借りてしまうと、確実に月額の固定費が増えてしまう、だったら、多少なりともオフィスに稼いでもらえばいい!という発想から、コワーキングスペースの運営に至ったというのが本音です。

安定した収入を得るのがなかなか難しいのはフリーランスの宿命ともいえます。だからこそ、まず考えていただきたいのが仕事と生活のバランス。それはつまり、収入と出費のバランスと言い換えてもいいかもしれません。ついつい忘れがちなのが、「(快適な)生活をするために仕事をする」という大前提です。仕事が生活をおびやかすことなく、また生活が仕事に侵食されることなく、自分の価値を最大化できる仕事場選びが大切なのではないでしょうか。

writer profile

自由区域代表 大西孝之
クリエイティブディレクター/コピーライター/コワーキングスペース自由区域運営

20年以上の広告制作の経験を活かし、グラフィックデザイナーである妻と2017年に自由区域を立ち上げる。2018年にJR西千葉駅近くにコワーキングスペース自由区域を開設。現在は、コワーキングスペースの運営を行いながら、千葉県を中心に企業のブランディングツールや販促ツールの制作を行っている。
https://creative.liberty-area.com/

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