「残高248円」を経験したフリーランスエンジニアに聞く、キャッシュフローのリアルとトラブルの話

働き方改革という概念や、クラウドソーシングという働き方の普及により「フリーランス」という言葉も珍しくなくなりました。しかし、まだまだ会社員のようにしっかりとした制度が整っていないことも事実です。

カメラマン、デザイナー、ライター、エンジニア、映像制作など、さまざまな業種で現在活躍しているフリーランスは、駆け出しの時点ではどのような状態だったのでしょうか。

今回はフリーエンジニアとして7年以上活動されている平井隆嗣さんに、独立当初の実体験についてお伺いしました。

平井 隆嗣さん
profile
平井 隆嗣:31歳、フリーランスエンジニア。大学卒業後、3年間システム開発会社にエンジニアとして勤務の後フリーエンジニアとして独立。主にシステム開発業務をメインに、システム改善、webサイト制作、WordPress移行作業など幅広い業務を行いつつ、現在は企業CTOも兼任。

「技術さえあれば、楽にやっていけると思っていた」

まずはじめに、フリーエンジニアになったきっかけを教えてください。

ぼくは大学を卒業して、新卒でシステム開発の会社に就職しました。
最初のうちは新しいことを学べる環境に満足していたのですが、同じ職場の10歳年上の先輩が自分と同じ仕事をしているのを見て「ずっとこのまま同じ生活を過ごしていくのは嫌だな……」と思い、半ば勢いで独立したんです。

独立のきっかけは勢いだったんですね。独立後はどのようなお仕事をされたのでしょうか?

当時は若気の至りといいますか、自分は何でもできると思っていたので、「誰もが驚くようなwebサービスを作りたい!」と思っていました。

ところが現実はそう甘くなく、具体的なサービスも思いついてないままに独立した状態だったので、ただただ時間が過ぎていったんです。その間も何とか知人づてで仕事はいただけたのですが、一番大きな問題になったのが『キャッシュフロー』でした。

キャッシュフローに悩まされ、現金残高が248円に!

当時のキャシュフローはどのような状態だったのでしょうか?

エンジニア職って、「ホームページを1つ作るだけで◯十万円」といったイメージがあると思います。確かにそのぐらいの単価の仕事は多くあります。

ただ、実際にその仕事を受注してから、納品して報酬が振り込まれるまでに3〜4ヶ月かかることもあるんです。

1つの案件でそんなに時間がかかるんですね。

まず相談を受けてから、完成イメージをすり合わせたり、見積もりを出したりするのに1週間、長いときでは制作開始までに1ヶ月ほどかかることもあります。ようやく制作を開始し、クライアントの確認も経ながら、完成までに1ヶ月〜3ヶ月ほどかかります。

一例
サイト制作業務の受注〜納品〜報酬支払までの流れ

・案件相談〜受注 1週間〜1ヶ月
・制作〜納品 1ヶ月〜3ヶ月
・支払い 末日締め翌月末支払い〜翌々15日支払い

当然ながら、この間もずっと固定費はかかり続けるんですよね。当時のぼくは自分でオフィス兼自宅を借りていたのと、それとは別にリボ払いの借金が40万円ほどありました。

ふと気づいたとき、独立当時は200万円ほどあった貯金が、その8ヶ月後には248円しかなかったんです。

でも、支払いは待ってはくれませんよね。

そうなんです。「さすがにこれはまずい!」と思ったんですけど、だからといって今抱えている仕事の報酬を先払いしてもらうこともできない。既に納品した案件も、報酬が支払われるのは先方企業の支払いに合わせて翌月末などです。

作業中の仕事も、これから入ってくる報酬もありましたが、”今手元にあるお金”が底をついたんです。

その時は本当にすぐにお金が必要だったので、オークションサイトなどで家中のものを売り払ったのですがそれでも足りず、人生で初めて親にお金を借りるハメにもなってしまいました。

人の役に立つことで価値を提供する、喜ばせる相手は目の前のクライアント

それは大変な経験でしたね。そこからどのようにして、今の状態まで回復したのでしょうか?

ピンチに直面して、ようやく冷静になって考え直すことができました。

「誰もが驚く新しいサービス作ってやる」と思っていたけど、それって誰を喜ばせたいのかを考えていなかったということにようやく気づいて。

ぼくは今WordPress(プログラミングがわからなくても簡単にサイトを作れるシステム)を使う人をお手伝いする仕事が多いんです。

でも、エンジニアの中には「WordPressなんてダサい」って思ってる人もけっこういるんですよ。ぼくは元職場の人を含め、エンジニア業界でも尊敬されるようになりたいと思っていました。だからWordPressを使う仕事を避けようとした時期もあったんです。

でも、それってクライアントさんには関係なくて。目の前の人(クライアント)の役に立つのがぼくの仕事であって、ぼくの技術力を見せつけるのは、ただの自己満足でしかないなって思ったんです。

そこから、目の前のクライアントさんに喜んでもらうために仕事をするようになって、安定して仕事を依頼していただけるようになりました。

フリーエンジニアに起きうるトラブル、著作権問題、賠償責任……

これまでフリーランスのエンジニアとして働いてきて、トラブルなどはありませんでしたか?

もちろんあります。エンジニア職といえばバグが一番のリスクのようなイメージがあるかもしれませんが、仮に納品して公開された後にバグが見つかったとしてもすぐに修正すれば、大きなトラブルにならずに済むこともあります。

ぼくが一番ヒヤリとしたのは著作権問題ですね。実際に経験したのは、ホームページに掲載するロゴの使用についてでした。ある企業のホームページを制作していた時に、その企業の担当者から「提携企業を紹介するページを作って、そこに各社のロゴを掲載したい」という依頼があったんです。

ロゴの元データをいただこうと思って提携先(とクライアントからは聞いていた)企業に連絡したら、「そのようなクライアントさんとは弊社はお取引していません」と言われてしまって。

幸いにも制作段階で判明したので賠償などには至らなかったのですが、もし何も知らずにその提携先企業のロゴを掲載してしまい、サイト公開後に発見されていたら、賠償問題になっていたかもしれません。

クライアントの指示に従って作業していただけでも、賠償になりかけるとは怖い体験ですね……

ぼく自身はクライアントから依頼された仕事をこなしているだけですが、先方からすればぼくはクライアントの元で働いている社員という受け取り方になるんですよね。

また、ぼく自身はサイト制作も行いますが、もともとはシステムエンジニア出身なので、金融関係のシステム開発の仕事などもあります。開発の案件でも、バグが起きてサービスなどが停止してしまった場合などは、サービスが停止していた間に上がっていたであろう売上についての賠償問題になったりするので本当に恐ろしいです。

もし今、フリーランスエンジニアを目指すのであれば……

もし現在、フリーランスエンジニアを目指している方や、昔の自分にアドバイスできるとすれば、どんなことを伝えますか?

独立当初は技術が高い人=フリーランスエンジニアとしてやっていける人だと思っていたけど、そうではありませんでした。やはり目の前のクライアントに対して、自分がどうやったら役に立てるのかを考えるのが大切ということです。もちろん、技術があるに越したことはありませんけど。

エンジニアが大切にすべきことはクライアントの困り事を解決することで、自分の能力を自慢することではありません。どうやったら目の前のクライアントの役に立てるか、喜んでもらえるかを考えるのが大切なんじゃないかと思います。

ありがとうございました。

著作権侵害、賠償問題、キャッシュフロー問題、これらに使えるフリーランス向けのサービス

今回、フリーランスエンジニアに成りたてだった頃の体験について、平井隆嗣さんにお話をお伺いしました。

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インタビュー&執筆/大堀悟