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【ファイナンシャルプランナーに聞く】〝老後2000万円問題〟にフリーランスはどう向き合うべきか?

最近巷で話題になっている「老後2000万円問題」というキーワード。退職金や厚生年金の受給がないフリーランスの人の中には、この言葉を耳にするたびに、なんとなく不安になるという人も多いのでは?

今回はファイナンシャルプランナーの神田圭右さんに、フリーランスの老後資金との向き合い方などをお聞きします。

profile
神田圭右:2008年に丸三証券に入社し、現在は個人を中心とした資産運用コンサルティングなどの業務を担当。業務のかたわら、ファイナンシャルプランナー の資格を活かし、フリーランスから会社員まで、幅広い職業・年代の顧客の資産運用の相談に応じている。

「老後2000万円」は、あくまでも会社員世帯の話?

ここ最近「老後2000万円問題」が話題になっていますが、そもそもこの数字に根拠のようなものはあるのでしょうか?

老後2000万円問題、つまり老後資金が2000万円必要であるという話は、基本的に「夫65歳以上、妻60歳以上の無職世帯で、年金給付等を含めた世帯収入が1ヶ月あたり約21万円」 であることを前提としています。

  • 夫65歳以上、妻60歳以上の無職世帯
  • 年金給付等を含めた世帯収入が1ヶ月あたり約21万円
  • 夫婦二人が生活する上で必要な金額が1ヶ月あたり約26万円
  • 毎月必要な生活費が5万円ずつ不足していくため、これを自身が保有する金融資産より補填

この結果、老後資金として自身で2000万円を用意する必要があるといわれているわけです。

ちなみに年金給付等を含めた世帯収入が1ヶ月あたり約21万円という金額は、夫が会社員で妻が専業主婦の夫婦2人分の基礎年金と厚生年金を合わせた平均額にほぼ等しくなります。このことから、言及はされていないものの、結果的には会社員世帯の話になっており、自営業者はこのケースに当てはまらない可能性がありますよね。

すると、厚生年金に加入していないフリーランスの場合は、これ以上の蓄えが必要ということになりますか?

単純に計算すると、例えば夫婦ともに国民年金のみの受給となる場合、最大でも1ヶ月あたり夫婦合わせて約13万円の受給になります。

夫婦二人で必要な生活費が1ヶ月あたり約26万円であると想定すれば、毎月約13万円ずつ不足することになりますので、会社員よりも多くの蓄えがあった方が良いということにはなりますね。

ただし私は、老後資金に対する考え方は千差万別だと思っています。夫婦二人で必要な生活費が1ヶ月あたり約26万円といわれてはいますが、「そんなに必要ない」という世帯もあれば、逆に「もっと必要」という世帯もありますから。あくまでも自分たちのライフスタイルに合わせて、必要な老後資金を算出するべきかと思います。

これからは「貯蓄」から「資産形成」の時代に

フリーランスが十分な老後資金を蓄えるために、今からやっておくべきことはありますか?

平均寿命の延長や急速な少子高齢化に伴い、公的年金を筆頭に、日本の社会保障制度が崩れ始めているといわれています。みなさんも、公的年金の受給開始年齢が引き上がる可能性があるということはご存じかと思います。

これはフリーランスに限っての話ではありませんが、もし日本の社会保障制度が今まで通りに機能しなくなるのであれば、私たち一人ひとりが自分の資産を形成し、自分を守っていかなければならないのです。

そんな時代の流れを受け、近年は政府も「貯蓄から資産形成へ」というスローガンを掲げて動き出しています。

「貯蓄から資産形成へ」とは、どんなことを意味しているのでしょう?

資産形成とは、簡単にいうと「投資」を指しています。実は今から十数年前に、国は「貯蓄から投資へ」というスローガンを打ち出しました。

日銀の統計によると、日本人の個人金融資産の内訳は「現金・預金」が約50%を占めているといわれています。国が「貯蓄から投資へ」というスローガンを掲げたにもかかわらず、2016年時点で、その割合にほとんど変化がなかったそうです。

「貯蓄から投資へ」というスローガンは、あまり浸透しなかったのでしょうか。

どうしても日本人は、「投資」という言葉に対して、「ギャンブル」「リスキー」といった、良くないイメージを抱くことが多いですからね。実際にこれまでの調査でも日本人の金融リテラシーの低さは明らかになっており、米英と比較して、個人金融資産の内訳において「株式・投信等」の割合は低くなっています。

そういった状況を受けて、「投資」という言葉に代わって「資産形成」という言葉が使用されるようになったのだと思います。

なぜ資産を形成していくにあたって、預金以上に投資への注目が高まっているのでしょうか。

理由の一つが、金利の変化でしょう。バブル時代は銀行金利が6〜7%にもなるケースがありました。金利が6%の場合、約12年間で預けている金額が倍ほどになる計算になりますから、非常に良い資産運用ですよね。それに比べて現在の銀行金利は、0.01%程度というところが多いです。

この金利ですと、預金によって資産を増やすことは難しくなりますし、物価の上昇(インフレ)にも見合いません。

例えばこれまでは100万円で購入できていた商品が、インフレによって数年後に102万円に値上がりしたとします。しかし金利0.01%程度では、預金が数年間で102万円になっていることはないでしょうから、物価の上昇に金利が追い付いていないという状況なのです。

「つみたてNISA」や「iDeCo」など、非課税の投資システムが登場

そこで老後資金を蓄える手段の一つとして、投資という選択肢が注目されているのですね。

はい。特に近年は「つみたてNISA」や「iDeCo」のような非課税制度が登場しており、国が個人の投資活動に対して手を差し伸べるという状況になっています。

それでは次回は、それぞれの制度についての詳細や、フリーランスが運用する際のポイントなどを教えてください。

取材・文/FREENANCE MAG編集部

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