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確定申告の前に確認!「e-Tax」でできること徹底解説【税理士が解説】

確定申告の前に確認!「e-Tax」でできること徹底解説【税理士が解説】

e-Tax(イータックス:国税電子申告・納税システム)」は、国税に関する各種手続について、個人・法人問わず利用できる電子申請サービスです。

e-Taxでは、納税だけでなく、開業届や青色申告承認申請書、所得税・消費税の確定申告書などの提出まで、インターネットなどを通じて手続きを行うことができます。

特に、これから独立・開業を考えている方や、独立・開業したてのフリーランス・個人事業主の方は、使い方を知っておくと良いでしょう。e-Taxを利用すれば、さまざまなメリットを受けられます。そこでこの記事では、e-Taxのメリットのほか、2024年1月から実施が予定されている改修ポイントについても解説します。

e-Taxとは?

まずは、e-Taxの概要について解説しましょう。

e-Taxの概要

e-Tax(国税電子申告・納税システム)とは、国税庁が運営する電子システムです。所得税、消費税、贈与税などの申告や法定調書の提出などの各種手続について、インターネットを通じて行えます。

e-Taxを利用すると、自宅や事務所などから申告や納税などの手続きを行えるため、従来のように、書面で出力して申告書を持参・郵送する必要がなくなります。

また、税務署や金融機関へ出向くことなく納税もできるため、事務の省力化やペーパーレス化にもつながるでしょう。

※参照:【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)

e-Taxでできることとは?申告・申請・手続の違い

e-Taxでは、パソコンで利用できるダウンロード型の「e-Taxソフト」をはじめ、デバイスや目的に応じて使い分けられるよう、ソフトが数種類用意されています。主なソフトは、以下の一覧表の通りです。

なお、「申告」とは、所得税・消費税の確定申告をはじめとする税金の申告手続についてを指し、「申請」は、税務署に対し「~してもいいですか?」と税務署の承認が必要な手続きです。例として「青色申告の承認申請書」は文書名の通り「申請」となり、税務署の承認を受けた人だけが受けられる制度です。

一方「届出」は、税務署に対し「~しました」という報告をする手続きです。例としては、「個人事業の開業・廃業等届出書」は、開業しましたという報告だけで、特に税務署による承認は必要のない手続きとなり、上記のように「申告」と「申請」及び「届出」は使い分けられています。詳しくは、e-Tax内「利用可能手続一覧」を参照してください。

国税庁が用意したWEB型ソフト・コーナー

ソフト・コーナー名利用可能デバイス利用できる手続
申告申請・届出
確定申告書等
作成コーナー
パソコン所得税、消費税、贈与税所得税、消費税、贈与税
スマートフォン
タブレット
所得税×
e-Taxソフト
(WEB版)
パソコン×源泉所得税、法定調書、納税関係、納税証明関係
e-Taxソフト
(SP版)
スマートフォン
タブレット
×源泉所得税、納税関係、納税証明関係

国税庁が用意したダウンロード型ソフト・コーナー

ソフト・コーナー名 利用可能デバイス 利用できる手続
申告 申請・届出
e-Taxソフト パソコン すべての申告
※贈与税申告を除く
各税目の申請・届出

※参考:各ソフト・コーナー | 【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)

上記の通り、国税庁が用意した確定申告用のソフトはWEB型とダウンロード型があります。

フリーランスや個人事業主が所得税や消費税の確定申告を行うには、WEB型の「確定申告書等作成コーナー」か、ダウンロード型の「e-Taxソフト」を利用しなければなりません。一般的には、確定申告書等作成コーナーを選ぶことが多いようです。

なお、近年スマートフォンの普及により、スマートフォンを利用しての確定申告が便利になりました。その操作方法も、以下の動画で解説されています。スマートフォンを利用して申告したい場合は、以下の動画をご参照ください。

ただし、フリーランスや個人事業主の方は、事業所得が発生して入力する項目が多いため、操作性を考えると、パソコンで確定申告書等作成コーナーを利用することをおすすめします。

※参照:スマホ申告 マイナンバーカードを利用したe-Tax送信方法(国税庁動画チャンネル)

e-Taxの利用には事前準備が必要!

e-Taxを利用する場合、最初に利用者識別番号(半角16桁の番号)を取得する必要があります。

e-Taxへのログインや送信は、以下の2つの方法のいずれかで行います。

  • マイナンバーカード方式
  • ID・パスワード方式

ただし、ID・パスワード方式は、マイナンバーカードが普及するまでの暫定的な対応となっています。可能な限りマイナンバーカード方式で利用するのが望ましいでしょう。

なお、利用者識別番号の取得方法は、以下の一覧表の通りです。

取得方法 利用デバイス 利用システム 必要なもの
WEBからマイナンバーカードを利用しアカウント登録 パソコン 受付システム マイナンバーカード 、ICカードリーダライタまたは読取対応スマートフォン
スマートフォン e-Taxソフト
(SP版)
マイナンバーカード 、読取対応スマートフォン
WEBから利用者識別番号を取得 パソコン e-Taxの開始(変更など)届出書作成・提出コーナー 推奨環境を満たしたパソコン
スマートフォン 推奨環境を満たしたスマートフォン、タブレット
マイナポータルの「もっとつながる」機能からe-Taxを利用 パソコン マイナポータル マイナンバーカード、ICカードリーダライタまたは読取対応スマートフォン
スマートフォン マイナンバーカード、読取対応スマートフォン
WEBからID・パスワード方式の届出を作成・送信 パソコン 確定申告書等作成コーナー マイナンバーカード、ICカードリーダライタ
税務署に行って、ID・パスワード方式の届出を作成・送信 本人確認書類
書面で利用者識別番号を取得
税理士に依頼し、利用者識別番号を取得

引用:ご利用の流れ | 【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)

確定申告書等作成コーナーを利用できないケースも!

次に、確定申告書等作成コーナーを利用できない場合について説明します。

確定申告書等作成コーナーを利用できないケースとは?

フリーランスや個人事業主の場合、確定申告書等作成コーナーを利用して確定申告を行う方が多いでしょう。ただし、利用できない機能もあるため、注意が必要です。

確定申告書等作成コーナーを利用できない場合、ダウンロード型のe-Taxソフトを利用して申告書などを作成、送信できます。作業を行う際には、事前にその機能が利用できるか否かを確認するようにしてください。

ここでは、確定申告書等作成コーナーで確定申告ができないケースのうち、フリーランス・個人事業主に関係のある項目を紹介します。

所得税確定申告書関連

青色申告者で、事業所得および不動産所得の収入金額より青色申告特別控除額が大きい方

⇒ 収入金額より青色申告特別控除(最大65万円)の方が大きい場合

更正の請求書または修正申告書を作成される方

⇒ 一度提出した申告書を訂正する場合

青色申告決算書・収支内訳書関連

減価償却の償却方法が次に該当する方
  1. 定額法若しくは定率法または旧定額法若しくは旧定率法以外の方
  2. 旧定率法から旧定額法に変更された方

⇒ 一般的な減価償却方法を採用していれば関係ありません。償却方法を変更した場合は注意が必要です。

減価償却資産の前年末の未償却残高の計算ができていない方

⇒ 前年の減価償却計算が未了の場合は該当します。

製造原価の金額がマイナスになる方

⇒ かなりレアなケースですが、製造原価がマイナスとなった場合です。

消費税関連

税込経理方式と税抜経理方式を併用している方

⇒ 一定条件を満たせば、それぞれの経理方式を混合できます。

税率5%の適用がある方

⇒ リース取引などにより旧税率の取引が発生している場合は該当します。

税率8%(旧税率8%)の適用がある方

⇒ リース取引などにより旧税率の取引が発生している場合は該当します。

更正の請求書または修正申告書を作成される方

⇒ 一度提出した申告書を訂正する場合です。

上記は確定申告書等作成コーナー内の「ご利用になれない方」で詳細を確認できます。

e-Tax活用のメリット

e-Taxを利用した場合の主なメリットは以下の通りです。

e-Tax 書面提出(郵送、持参)
送料・交通費 不要 送料や交通費が必要
添付書類 原則、提出省略 原則提出
還付金受取期間 提出から3週間程度 1カ月~1カ月半程度
青色申告特別控除額 最大65万円 最大55万円
(電子帳簿保存法の場合は除く)
申告書控え すぐに入手でき、何度でもダウンロード可能 原則1部

メリット①送料・交通費

郵送や税務署への持参を行う場合、郵送料や移動の交通費が必要となります。しかし、e-Taxの場合、自宅に居ながら提出でき、送料・交通費が不要です。また、移動や郵送の手続きも不要で、時間の節約にもなります。

メリット②添付書類

確定申告書には、医療費の通知や生命保険料控除証明書などの証明書を添付する必要がありますが、e-Taxの場合は、提出を省略できます。

ただし、提出を求められることがありますので、保存は必要です。

メリット③還付金受取期間

書面提出の場合、還付金の受け取りまでに1カ月~1カ月半を要しますが、e-Taxの場合、約3週間で還付され、資金繰りが楽になります。

メリット④青色申告特別控除

フリーランスや個人事業主の場合、帳簿の記帳が必須です。e-Taxで申告を行うと65万円の特別控除を受けることができます。

なお、書面で提出した場合に65万円の控除を受けようとする場合、優良電子帳簿という通常よりも厳しい要件の帳簿を作成する必要があります。これは、e-Taxよりも摘要のハードルが高いといえるでしょう。

詳しい要件は、国税庁のサイトで確認できます。

参考:65万円の青色申告特別控除を適用しましょう(国税庁HP)

メリット⑤申告書控え

書面で申告書を提出した場合、申告書は原則一部しかないため、税務署より申告書控えが返送されるまでは、手元にない状態です。よって、申告書の控えを所得証明書類として提出する場合は、コピーをする必要があります。

反面、e-Taxの場合は、提出後すぐに確認ダウンロードができ、かつ、何度でもダウンロードが可能です。これによって、コピーの手間も省けます。

メリット⑥事務の省力化およびペーパーレス化

e-Taxを利用する場合、基本的に書面に出力することなく、電子データのみで申告まで完了するよう設計されています。従って、印刷をする手間や保管のスペースも不要となり、事務の省力化、ペーパーレス化を図れるでしょう。

メリット⑦納税の利便性

e-Taxを利用すると、インターネットバンキングやクレジットカード納付などにデータ連携され、納税手続きも楽になります。

納付書の手配や金融機関などへ持参し納税する手続きも不要になるため、納税の面でも事務の省力化が望めます。

メリット⑧利用可能日時

確定申告期間は、土日祝日を含む24時間稼働しており、税務署が閉庁している時間でも提出が可能です。

2024年1月からe-Taxがもっと便利に!

ここからは、2024年1月以降に使用が可能となった便利機能を紹介します。

マイナポータル連携による自動入力対象が拡大

「マイナポータル連携」とは、所得税確定申告の手続きにおいて、マイナポータル経由で、控除証明書などのデータを一括取得し、各種申告書の該当項目へ自動入力する機能です。

マイナポータルは、子育てや介護など、行政手続のオンライン窓口です。オンライン申請のほか、行政機関などが保有するご自身の情報の確認や、行政機関などからのお知らせ通知の受信などのサービスを提供しています。

令和5年分確定申告からは、給与所得の源泉徴収票・国民年金基金掛金・iDeCo・小規模企業共済掛金が対象です。これによって、確定申告書の作成の際に入力しなければならない項目が少なくなります。具体的には、以下の項目について連携可能となりました。

収入関係
  • 給与所得の源泉徴収票
  • 公的年金などの源泉徴収票
  • 株式の特定口座
控除関係
  • 医療費
  • ふるさと納税
  • 生命保険
  • 地震保険
  • 社会保険(国民年金保険料、国民年金基金掛金
  • iDeCo
  • 小規模企業共済掛金
  • 住宅ローン控除関係

※太文字が2024年1月より新たに連携可能となった項目

フリーランスや個人事業主の場合、国民年金基金やiDeCoおよび小規模企業共済に加入している方も多いことでしょう。マイナポータル連携によって、入力の手間が省けるだけでなく、受けられる控除の適用漏れも防ぐことができますので、活用を検討する価値があると思われます。

インボイス発行事業者の消費税申告に対応

インボイス制度導入により、2023年分の確定申告より消費税の申告義務が発生したフリーランス・個人事業主の方も多いと思われます。

本来は消費税の免税事業者に該当するのに、課税事業者を選択した場合は、納付すべき消費税額を売上税額の2割に軽減する「2割特例」という制度が創設されています。これは、2024年1月からe-Taxでも申告が可能となりました。

2割特例制度を利用する場合も、e-Taxを使うと、申告書を作成時に、売上(収入)金額などの入力だけで税額などが自動計算され、計算が非常に簡単です。フリーランスや個人事業主の方で2割特例に該当する方は、e-Taxで消費税の申告書を作成するのが便利です。

※参照:2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要|国税庁

まとめ

ITやデジタルの技術の活用で、e-Taxも年々利便性が向上してきました。また、デジタル化への対応を推奨するため、書面提出より有利になるような施策も打ち出されています。

実際、e-Taxの利用によって、事務処理の省力化やペーパーレス化などのメリットを享受できます。この記事を参考にしていただき、フリーランスや個人事業主の方も、ぜひe-Taxでの申告・納税を前提に準備を進めてください。

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