趣味で始めたハンドメイドが、夫婦で会社を営む本格的な事業に。『astin muhler』が大切にする「攻め」の姿勢

押しフルーツを使ったカラフルなデザインのスマホケースが大人気の『astin muhler(アスティン ムーラー)』。オーナーを務める高桑あすかさんは、趣味で始めたハンドメイドを、アルバイト8名を雇用する法人までに成長させてきました。そんな高桑さんに、フリーランスになったきっかけやハンドメイド作家が売上をアップさせるためのヒントなどを聞きました。

押し花を見てひらめいた〝押しフルーツ〟のスマホケースが評判に

まずは高桑さんの現在のお仕事内容を教えてください。

押し花のように乾燥させた〝押しフルーツ〟を使った、スマホケースなどの雑貨をハンドメイドして販売しています。ブランドサイトやハンドメイド通販サイトでの販売を中心に、百貨店の季節イベントやハンドメイドイベントへ出展などもしています。

カラフルなデザインがキュートな『astin muhler』のスマホケース(astin muhlerのHPより)

フリーランスの作家になったきっかけは何でしょうか?

実は、最初から「フリーランスになろう!」と思って始めたわけではなかったのです。第一子が生まれたばかりの頃、私は専業主婦で時間に余裕があったので、「ハンドメイドの趣味を持ちたい」と思ったんです。インターネットで当時人気だった押し花を使った作品を見て〝押しフルーツ〟をひらめき、スマホケースを作り始めました。

押し花からヒントを得た「押しフルーツ」(astin muhlerのHPより)

それを自分で使い始めたところ、通りすがりの人から「どこで買ったのですか?」「私も欲しいです」と言われたことをきっかけに、ハンドメイドマーケットサイト『minne』に登録したんです。すると少しずつ注文が入るようになり、徐々に売り上げが出せるようになりました。

趣味から始めたハンドメイドが本業になるとは、すごいですね!

当時は子どもが寝静まったあと、21時から深夜2時ぐらいが私の仕事時間でした。夜なべをして、コツコツと作っていたんです。だんだん注文数が増えていき、次第に私一人では対応できなくなっていって、妹や友人にサポートをお願いするようになりました。それでも制作が追い付かなくて、正式な「求人」という形でスタッフを募集することになり、今は8名のアルバイトを雇用しています。作業スペースも最初は自宅でしたが、今はアトリエを借りています。

会社を辞めてサポートしてくれた夫と、二人三脚で活動中

今はご夫婦で活動なさっているそうですね。

2019年に法人化して『astin muhler』を設立し、夫がそれまで勤めていた会社を退職して、法人の代表取締役を務めてくれることになりました。対外的な調整や経営に関することは夫が、デザインや制作は私が担当する形で、夫婦で役割分担して事業を営んでいます。

ご主人が会社を辞めるということに、不安はありませんでしたか?

夫から「astin muhlerを法人化して自分は会社を辞める」と言われたときは、私が第二子を妊娠中だったこともあり、正直なところ不安でした。親や周囲の人たちも「大丈夫なの?」と大反対。でも、法人化するといったときの夫がすごく「いい顔」していたんです。

専業主婦の趣味から始めて、作品が少しずつ売れてきたころは「子どもに絵本を買ってあげられる」や「ちょっといいお肉を買える」ぐらいの利益でした。そんな〝ちょっぴり黒字〟の時代から、夫は「もうそれは立派な仕事だから」と応援してくれていたんです。だから私も、夫が法人化しようと言い出したときに「大丈夫、頑張っていける!」と思うことができました。

『astin muhler』の作品販売ページ。(minneのastin muhlerのページより)

必要に応じた初期投資やSNSでの積極的な発信でファンを獲得

売上をアップさせて事業を拡大するために、大切なことはありますか?

趣味からスタートしたハンドメイド作家ですが、事業として成長していくにつれて「資金」が必要になるということを学びました。

例えば、注文が増えれば売上はアップしますが、それに比例して材料の仕入れや作業スペース、人手の確保などが必要になってきます。イベントへの出展はビジネスチャンスになりますが、出店するための作品の材料費や出展料はもちろん、ディスプレイや什器の費用などの初期投資が欠かせません。特にディスプレイや什器は売り上げにも直結してくるポイントなので、手を抜けないんです。また、ブランディングのために、ロゴやラッピングなども準備する必要があります。商品だけが良ければいい、というわけにはいかなくなるんです。

『astin muhler』のスマホケース(minneのastin muhlerのページより)

より大きなチャンスを掴むためにも、お金が必要になるんですね。

はい。でもそれは、必要なチャレンジだと思っています。フリーランスのハンドメイド作家がステージアップしていくためには、「攻め」の姿勢でチャレンジすることが大切なんです。リスクを恐れて「守り」の姿勢に入ってしまっては、成長できませんから。

その他にも、これまでにチャレンジしてきたことはありますか?

2019年に法人化したことも、チャレンジの一つだと思っています。法人になったことで、個人事業主のときには取引できなかったような業者ともスムーズに交渉できるようになったので、対外的な信頼を得られるというのは法人の大きな利点ですね。

あとは、面倒な手続きにもあきらめずにトライしています。先日は小規模事業者持続化補助金という制度を利用して、新商品開発のための初期費用の補助を受けることができました。書類の準備などが思っていた以上に大変で、徹夜までしたのですが…(笑)。でも、こうしたフリーランスや小規模事業主の力になってくれる制度を適切に活用していくことも大切だと思います。

高桑さんはSNSで積極的に情報を発信していますよね。

今はInstagramとtwitterを更新していますが、それぞれのSNSの特性に合わせて投稿内容を分けています。

Instagramでは女性ウケしそうな、映える作品の写真を公開しています。それがきっかけでメディアから取材依頼を受けたり、百貨店のバイヤーさんから連絡をいただき、催事に作品を出させていただいたりしたこともあります。

twitterでは同業者やフリーランスに役立つ情報を配信しています。直接的に商品の購入につながるような内容でなくても、役に立つ情報を配信して多くの人の目にとまれば、そこからastin muhlerのファンになってくれることもあると思います。実際に商品を購入いただいた方が「twitterを見ました!」と言ってくれることも多いんですよ。

作品の制作工程や販売のノウハウなどもオープンにしているようですが、そこは〝企業秘密〟にはしないんですか……?

確かに、そういった情報を公開すると、類似品などが出回って競合が増えるという心配があるので、ハンドメイド業界ではオープンにしない人が多いと思います。でも私たちが情報を公開することで、ハンドメイド業界に挑戦する人が増えたり、作品が売れずに悩んでる人のヒントになったりすれば嬉しいと思って公開することにしました。特に、フリーランスとして独立したい、自分の好きなことを仕事にしたいと考えている人に、「ハンドメイドという働き方もある」ということを知っていただきたいですね。そうしてハンドメイド業界全体が盛り上がることが、私たちにとってもプラスにると思っています。

今後の展望を聞かせてください。

「攻め」の姿勢でチャレンジすることは大切ですが、いろいろなことを自分一人で処理したり責任を負ったりしなければならないフリーランスや小規模事業主は、不安になることも多いですよね。私はFREENANCEの即日払いやあんしん補償の力を借りながら、ためらわずにいろいろなことに挑戦していきたいと思います。

高桑さんの作品が購入できるHPはこちら/『astin muhler』
minneの高桑さんのページはこちら/astin muhler@minne