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個人事業主が知っておきたい「著作権」を弁護士が徹底解説!(初心者向け)

クリエイティブ系の仕事をしていると、注意しなければならないのが著作権侵害です。特にトラブルに一人で対処する必要があるフリーランス・個人事業主は「著作権を侵害してしまい、損害賠償請求されたらどうしよう」「自分の作品の著作権が侵害されたらどうすればいいの?」等、不安に思うことも多いはず。

今回は弁護士の松浦綜合法律事務所代表・松浦絢子先生に、著作権の概要やトラブルが起こった場合の対処法などを、初心者にもわかりやすく解説していただきました。

著作権とは?

そもそも著作権とは、どんな権利なのですか?

松浦:著作権とは著作物を作った人が有する権利のこと、つまり著作物を保護するための権利です。そして、著作権の内容や範囲などについてまとめた法律が著作権法です。著作物とは、具体的にどんなものを指すのかを簡単にいうと……。

著作物にあたるもの
思想または感情を創作的に表現したもの。その人ならではの創作性があるか、創意工夫されているかがポイント。
著作物にあたらないもの
誰でも作れるもの・汎用性のあるもの。事実を書いただけのものや、単なるデータは著作物にあたらないことが多い。

松浦:例えば文章の場合、小説の一節には文学的な価値があるので、その一節だけでも著作物になる可能性は高くなります。逆に、「健康のために早寝早起きしましょう」といった誰でも想像できる一文は、著作物にあたらない可能性が高いでしょう。

著作権トラブル回避のために注意することは?

イラストや写真、文章を扱うクリエイティブ系の仕事をする人は、特に著作権トラブルには注意が必要ですよね。トラブルを回避するためのポイントを教えてください!

松浦:著作権トラブルには著作権を「侵害してしまう」ケースと「侵害される」ケースがあると思いますが、まずは自分が他人の著作権を「侵害してしまう」事態を避けるためのポイントをあげますね。

フリー画像は利用規約を確認する

フリー画像(イラストや写真など)も、れっきとした著作物です。作者が一定の条件のもと無料での利用を許諾しているだけなので、この一定の条件から外れないよう、利用規約をきちんと確認しましょう。独自の細かいルールを設定しているフリー画像サイトもあるようなので、見落とさないようにしてください。

原稿を「参考に」する際は慎重に

インターネットで公開されている情報を参考に原稿を書くライターさんもいると思いますが、参考にした文章と「第三者が見たときに同一と判断されてしまった場合」は、著作権侵害になり得ますので注意しましょう。参考記事の文章の「てにをは」しか変えていないような文章を使用してはいけません。

図やグラフにも要注意

意外と著作権侵害のリスクがあるのが、図やグラフです。例えばある企業が「日本の人口」という図を作成したとします。これは事実(数字)を述べている「単なるデータ」と考えがちですが、その企業が見やすく色分けしたり文字の大小をアレンジしたりしていれば、「創意工夫しているため著作物である」と認められる可能性があります。第三者から見てそれと同一であるような図を作れば、著作権を侵害することになってしまいます。

著作権を侵害してしまったときのペナルティは?

松浦:著作権法に違反した場合、法律上は民事と刑事で責任が異なります。

●民事責任

著作物の権利者に掲載停止等を求められたにも関わらず、それに応じない場合等は、訴訟に発展し、制作物の利用差止や損害賠償請求を受けることがあります。

●刑事責任

悪質な場合は刑事事件として扱われる可能性があります。(例:漫画を違法にアップロードして販売し、巨額の利益を得ていた人が逮捕された)

損害賠償というと、どのくらいの金額になるのでしょう……。

松浦:その侵害行為によって、どれだけ損害を被ったかによります。一般的には損害賠償を請求する側は、具体的にどのぐらいの損害が生じたかを立証する責任があります。 ただし著作権に関しては、 著作権を侵害した側が利益を得た場合は、その利益額を損害額として請求できるなど、損害賠償請求をしやすいような制度が設けられています。

著作権を侵害してしまった場合の対処法は

松浦:もし自分が著作権を侵害していると指摘されたら、誠意をもって謝罪し、webやSNSで公開しているものは速やかに非公開にするのが基本です。一概には言えませんが、誠意のある対応をすれば、訴訟や損害賠償まで発展しないケースが多いと思います。

ただし「自分は絶対に著作権を侵害していない」という強い意志があったり、先方が最初から多額の損害賠償を請求してきたりと、納得のいかないケースもあると思います。そんな時は一度、弁護士に相談して対処法を検討しましょう。フリーランスの場合は弁護士と顧問契約をしていない人が大半でしょうが、単発で利用できる弁護士相談サービスなども活用してみてはいかがでしょう。

著作権を侵害された場合の対処法は

では、自分が著作権を侵害されたと感じた場合は、どうしたらいいのでしょう。

松浦:著作権侵害に該当するかどうかは、自分で判断するのはなかなか難しい部分もあります。しかし、明らかに相手が著作権を侵害していると感じたのであれば連絡をして、webやSNSで公開されている場合は公開をやめてくれるよう伝えましょう。内容証明を送るという方法もありますが、それには住所が必要ですし、まずはSNSのDMやメールで良いと思います。それで応じてもらえなかったり、納得いく対応をしてもらえなかったりしたら、その後の措置について弁護士に意見を聞いてみても良いでしょう。

個人事業主は契約時に「著作権」と「著作者人格権」に着目

ところで、フリーランス・個人事業主は制作物をクライアントに納品することが多いと思いますが、その場合、著作権はクライアントのものになるのですか?

松浦:はい、ほとんどの契約書には「納品した制作物の著作権はクライアントに譲渡する」と記載されていると思います。ただし著作権とは別に「著作者人格権」という権利があり、これはクライアントに譲渡することができません。

著作者人格権とは?

松浦:著作者人格権には、著作物の公表の有無や方法、時期に関して決定する公表権、公表時の著作者名の表示に関して決定する氏名表示権、著作物の内容やタイトルを勝手に改変されない同一性保持権があります。例えばデザイナーが「納品後に自分のデザインを大幅に変えられた」という場合は、著作者人格権のうち同一性保持権の侵害にあたる可能性があります。ただし、契約書には「著作者人格権は行使しない」という一文が書かれてあることが多いんです。つまり「権利は有しているけれど、それは行使しない」という契約をすでに結んでいるわけです。

結果として、デザインを大幅に変えられても文句がいえないということですか……?

対策としては、契約時に「著作者人格権は行使しない」という一文を削除できないか相談してみてはいかがでしょう。また、作品の著作権も自分が持っていたい場合は「今回は著作権を譲渡しない代わりに単価を下げようと思いますが、いかがですか?」と提案してみるという方法もあると思います。

契約時にきちんと相談しておけばいいのですね。ありがとうございました!

執筆者profile
弁護士 松浦絢子
松浦綜合法律事務所代表。
京都大学法学部、一橋大学法学研究科法務専攻卒業。東京弁護士会所属(登録番号49705)。宅地建物取引士。法律事務所や大手不動産会社、大手不動産投資顧問会社を経て独立。IT、不動産、相続、金融取引など幅広い相談に対応している。

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