前例の少ないフリーランスのバリスタという働き方を選択。「コーヒーを淹れ続けたい」という思いで、新しい道を開拓

フリーランスのバリスタとして活動中の草薙多美さん。大手コーヒーショップに7年半ほど勤務し、個人のコーヒーショップでの自家焙煎の修業を経て、妊娠・出産を機にフリーランスに。フリーランスのバリスタという新しいジャンルでさまざまなことに挑戦し続ける草薙さんに、フリーランスになったきっかけや現在のお仕事などについて聞きました。

大学のキャンパスや企業に出向いて、本格的なコーヒーを提供

バリスタという言葉は近年よく耳にするようになりましたが、どんな職業なのでしょうか。

日本ではバリスタという言葉は「コーヒーの専門家」という意味で使われることが多いですが、本場のイタリア・ミラノでは「バールのサービスマン」を指す言葉として使われているんです。イタリアのバールはコーヒーはもちろん、お酒や食べ物も提供しているので、日本でいうところのバリスタとはちょっとニュアンスが異なるんです。私の仕事は、どちらかというと日本でいうバリスタの方ですね。

コーヒーの専門家として活動の幅を広げている

草薙さんはフリーランスのバリスタになってからは、どんなお仕事をしてきたのでしょう?

フリーランスのバリスタを始めた頃は「どこかに出向いてコーヒーを淹れる」というスタイルでした。イベントに出展したり、定休日のカフェを借りてワンデイ カフェを開いたりといった間借り営業です。企業の福利厚生の一環として、週に1度会社にお邪魔して社員のみなさんにコーヒーを淹れるという仕事も3年目に入ります。

バリスタの淹れたコーヒーを社内で楽しめるなんて、羨ましい福利厚生ですね。

会社で仕事をしていると、コーヒーを買いに行くのも時間がかかってしまいますよね。だったら私が会社にお邪魔してコーヒーを淹れれば、社員のみなさんに喜んでもらえるんじゃないかと。おかげさまで、大変好評をいただいてます。

他にも、草薙さんの淹れたコーヒーを飲むことができる場所はありますか?

武蔵野美術大学・市ヶ谷キャンパス学食内の無印良品の一角で、水曜日と木曜日にコーヒーショップを営業しています。この学食は一般の方も利用できるので、学生さん以外のお客様にもコーヒーを提供しています。

妊娠・出産後はフリーランスとして仕事を続けることを決意

フリーランスのバリスタって、珍しいですよね。

そうですね。バリスタとしてフリーランスで仕事をするということは、あまり一般的ではないかもしれません。「どんな人たちがどんな風に仕事をしているか」という前例もあまりないので、私もいろいろなご縁に助けられながら、独自に取引先や業務内容を開拓してきました。今年でフリーランスになって4年目ですが、1年ごとに活動内容が変化しています。

そもそも「フリーランスになる」と決めたのはどんな理由だったのでしょう?

妊娠・出産が大きなきっかけでしたが、もともと「会社勤めは向いていないな」という自覚があったんです。組織に馴染めないといいますか、周囲の目を気にしながら仕事をするような雰囲気が苦手というか……。子育てしながら会社勤めするのって、会社勤めが向いている方でも大変だと思うので、もともと組織に馴染めない私は無理だなと思ったんです。だったらたとえ前例がなくても、フリーランスのバリスタの方が自分に合っているかなと。とにかく「コーヒーを淹れ続けたい」という思いだけは明確にあったので、そこを軸にしてやって行こうと思いました。

草薙さんがコーヒーを淹れ続けたいと強く思う理由は、何なのでしょうか?

私自身はカフェインの耐性が弱いようで、コーヒーをたくさん飲めるわけではないのですが、接客を通じて人の笑顔や楽しそうな様子を見るのが好きで。どうしたらもっと誰かに笑顔になってもらえるか、ということを考えながら仕事ができるって幸せだと思うんですよね。そういう気持ちにさせてくれたコーヒーに恩返しができたら……という感じです。

今は子育てとフリーランスバリスタの活動を両立している草薙さん

フリーランスになるにあたって不安はありませんでしたか?

収入面での不安はもちろんありましたが、それ以上に、「万が一」のことは考えました。飲食業をやるわけですから食中毒のリスクもゼロではありませんし、仕事中に自分がケガをすることも考えられます。お客様にもしものことがあったときに、責任を負えるのかと。でも、その部分は『フリーナンスあんしん補償』に加入したおかげでだいぶ不安が軽減されました。

年齢によって変化する生活環境に合わせて働けるのがフリーランスの魅力

フリーランスになって良かったな、と感じるポイントはどこでしょうか?

万が一の時に備えたり、経理をはじめとする事務処理を自分で考えたりしなくてはならないのは、フリーランスの大変な部分だと思います。でも、自分のライフスタイルに合わせて働けることは、フリーランスの大きな魅力の一つです。子育てをしていると、生活はどうしても子どもの年齢によって変化するので、その変化に合わせて自分の働き方を変えられるのは、大変さを上回る魅力だと感じています。

自分のペースで働けることがフリーランスの大きなメリット

新型コロナウイルスによって、仕事に影響は出ましたか……?

緊急事態宣言が出たときは「どうしよう。売り上げが立たない……」と思ったのですが、「テレワークになったから、家で飲むコーヒー用の豆を買うよ!」って手を差し伸べてくださったお客様がたくさんいて。おかげで売り上げゼロにならずにすみました。コーヒーの対面販売の他にコーヒー豆の通信販売もやっていて、その2つの柱があったことにも救われたと思います。

それでは最後に、草薙さんの今後の展望を聞かせてください。

まずは、武蔵野美術大学での営業日を増やしていきたいと思っています。でも、コロナ禍以前の日常にそのまま戻れるわけではないと思っていますし、私自身もそうですが、多くの方々の生き方も変わっていくと思うんです。なので、変化したこれからの時代のライフスタイルに合わせた働き方をしていきたいと思っています。

プロフィール
草薙多美:フリーランスのバリスタとして活動中。大手コーヒーショップ勤務後、個人コーヒーショップでの自家焙煎の修業を経て、妊娠・出産を機にフリーランスに。武蔵野美術大学の東京・市ヶ谷キャンパスで水曜日と木曜日にコーヒーショップを営業中。企業への出張やイベント出店も精力的に行なっている。