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「プロとしては失格かも」個人投資家・テスタが語る、株で勝ち続ける理由

テスタ

フリーターからデイトレーダーへと転身し、最近はテレビや雑誌にも登場しているテスタさん。投資歴17年間で運用成績がマイナスになった年は一度もなく、稼いだ利益の総額は50億円を超えるなど、日本で活動している個人投資家の代表とも言える存在です。

テスタさんが他のトレーダーと一線を画すのは“株で勝ち続けている”だけでなく、全国600カ所の児童養護施設への寄付といった慈善活動、詐欺撲滅の啓蒙、そして株や投資に対するイメージアップのためのメディア出演を積極的にされていること。

傍からは究極の個人活動にも見える個人投資家でありながら「自分のためだけでは、もう頑張れない」と語るテスタさんが“社会のため”に株に勝ち続けようとする理由や、日本における株への偏見について、じっくりと伺いました。

profile
テスタ
個人投資家。2005年から株式投資を始めデイトレーダーとして活動し、累積利益は約50億円に及ぶ。『トレーダーズvoice』(テレビ東京『Newsモーニングサテライト』)、『資産運用!学べるラブリー』(松井証券 YouTubeチャンネル)といったメディア出演ほか、大学などでの講演・講義も精力的に行っている。
https://twitter.com/tesuta001
https://www.youtube.com/channel/UCfJEDCUlzQl4-atLp6Z9DcQ
http://blog.livedoor.jp/tesuta1/

自分のためだけでは、もう頑張れない

テスタ

素朴な疑問なんですが、テスタというお名前はどこから来ているんでしょう?

中学校のときに飼っていた鳥の名前ですね。当時、自分の部屋で熱帯魚を育てていたり、いろいろ生き物を飼っていて、その中に、テスト前にやってきたからという理由で“テスタ”と名付けた鳥がいたんです。結構すぐに死んじゃったので緑色だったことくらいしか覚えてないんですが、2005年に専業でデイトレーダーを始めると同時にブログも始めて、ハンドルネームが必要になったときに浮かんだのが“テスタ”だったんですね。当時は、その名前でこんなに活動することになるとは想像もしてなかったので、本当にただの思いつきで付けちゃっただけなのに。

今や、こんなに世に知られる名前になってしまったと。そして専業の個人投資家として出発されたわけですが、そのブログで得た“仲間”の存在が大きかったと、過去のインタビューでは話していらっしゃいますよね(※)。

日興フロッギー「デイトレは自分との戦い〜20億円デイトレーダー・テスタさんインタビュー【中編】」

ブログをやっていると見てくれる人だったり、逆に、自分が見ているブログの人だったりの間で、だんだんと交流が生まれてくるんですね。家が偶然近かった方と1対1の対面でお会いしたのから始まり、次に“むらやん”さんたちが主催しているオフ会に呼んでいただいて、そこでたくさん知り合いができたんですよ。

当時はまだ初心者でしたけど、株の情報を7~8人で毎日交換しているチャットみたいなものに入れてもらって、同年代の方々と株の話を毎日できたことで気付けたことも多かったですし、そこから友達と呼べるまでに仲良くなれた人もいます。メンバーの入れ替わりはありつつ、約17年経った今でもチャットで会話してますからね。自分一人じゃ気づかないことも、誰か一人が気づいてくれれば、そこにいるみんなで共有できるじゃないですか。やっぱり人間生きていく上で、自分一人でいるよりも、みんなで力を合わせたほうが正解に近づく可能性は高いと思うんです。

テスタ

個人投資家というお仕事も、仲間との連携が成功への近道なんですね。

それは僕の職業にかかわらず、一人に見えても一人じゃないっていうのは、何においても同じですよね。よく「自分は一人で生きている」とかって言う人がいますけど、そんなこと絶対に不可能なんですよ。例えば、ご飯を買う行為一つにしたって、そこには作る人と売る人が必ず存在しますし、一人で生きている人間なんてどこにもいない。必ず誰かのおかげで、誰かに因って生きてるわけですから。

だからなんでしょうか? 全国の児童養護施設への寄付だったり詐欺撲滅の啓蒙だったり、自分だけではなく“社会のため”の活動をされているのは。

それは……単純にお金が増えると、人はそうなるんだと思います。もちろん最初は、みんな自分のために頑張るんですよ。自分の生活を豊かにしたい、もっとお金を稼ぎたいっていう動機で株を始めるんですけど、それだけだと利益が数億とかになって、自分がこの先の生活に困らなくなった時点でやめちゃうんです。実際そこでやめたり、守りに入ったりする人もたくさん見てきました。

ええ。当然でしょうね。

でも、自分以外の家族や大事な人のことを考えると「もうちょっと増やそうかな」ってなりますし、その先の……それこそ養護施設の子供たちだったりのことを考えだすと、何億あったって1日で使いきれるわけですよ。つまり資産が増えれば増えるほど、それをどこに、どう使おうか?という選択肢も増えるんですよね。増えたから今は寄付が視野に入ってきたというだけのことで、逆に今は自分のためだけだったら、もう頑張れない。そういった社会的な活動をモチベーションにすることで、しんどいときがあっても頑張れるんじゃないかなと思います。

人生を「お金以外」で豊かにするために

テスタ

反対に、そこまでしてモチベーションを求める理由って何なんだろう?と、正直、不思議になってしまうんですけれど。

理由はいろいろあって、単純に株が上手くなりたいというのもありますし、そもそも株をやってなかったら、何も面白いことがない気がするんですよ。

例えば今、YouTubeでライブ配信をすると、たくさんの人が見てくれて、たくさんの人と交流が持てます。取材だとか番組出演だとか、いろんな案件も来ますし、でも、僕は芸能人ではないので、そこでお金を得る必要はないんですよね。つまり、自分が面白そうなものだけを引き受けることができるので、楽しいことがたくさんできるんです。

ただし、YouTubeを見てもらえるのも案件が来るのも、全ては“株で勝っているから”という大前提の上で、そこが無くなってしまうと“テスタ”としての価値はなくなってしまう。つまり、自分の人生をお金以外の面で豊かにするために、今の僕は株で勝ち続ける必要があるんですよ。

今のテスタさんにとって“株で勝つこと”は、金銭的利益を得るのみならず、人生の楽しみや生きがいを得るためのツールになっているんですね。ちなみに、来た案件に対して面白そうだと感じるか否か、すなわち、受ける/受けないの基準って何ですか?

断るのは……単純に、怪しいやつですね(笑)。例えば「これ紹介してください」とかは、どんなにギャラが高くてもやらない。あとはテレビ一つ取っても、株のイメージが悪くなる可能性があるものは、基本的に受けることはないです。

そこは今回すごく伺いたかったところなんです。例えば、株を学ぶYouTube番組でマヂカルラブリーと共演したり、株のイメージアップや投資人口を増やす活動を積極的にされているのは、なぜなんでしょう?

それは日本経済のためですね。日本はずっと貯蓄が良しとされてきた国で、株に対する警戒心が強いんです。金利が低い今でも貯蓄が積み上がるばかりで、個人資産が滞留しているから、政府も盛んに「貯蓄から投資へ」と言ってますよね。それが遅れれば遅れるほど、日本経済は衰退していってしまいますから。

松井証券 YouTubeチャンネル
資産運用!学べるラブリー

逆に投資が増えると、経済活性化に繋がるということですね。

そうです。投資する人の数が増えると、企業は株式を新しく発行できるので、その分のお金が入りますよね。そうなると新店舗だとか、新規事業を立ち上げやすくなるんです。その資金を借金で調達した場合は、失敗したときのリスクが大きいけれど、投資によるものなら成功したときに分配すればいいだけで、失敗してもゼロリスクですから。

そうして事業が拡大すれば雇用も生まれるし、取り引き先の企業も潤う。そのおかげで利益が増えれば給料も増えるし、それが消費に回れば、また別の商品が売れる……という良い循環になっていくんですよ。だから冷静に考えると、株をやってる人って何も悪いことはしていないんですよね。むしろ日本経済のために良いことをしていて、企業だって投資をしてくれる人がいないと困るのに、どうしても株って“怖い”とか何か良くないものというイメージが、日本には根付いてしまっているんです。

投資は楽して儲けたい人間による禁じ手で、貯蓄こそ善!という刷り込みはありますよね。

特にバブルが弾けたのを見ている世代は、当時ネガティブなニュースがたくさんあったので、そのトラウマみたいなものが根強いのかもしれないですけど。あと、日本は嫉妬の多い文化なので、株で勝ったとかって言いにくいんですよね。みんな儲けた話は隠して、芸能人とかでも大損した話ばかりするから、よけいにイメージが悪くなる。

正しい知識を身に着けた先の未来

テスタ

勝った負けたで言えば、それこそ私の70代の母は「たとえ株で勝っても、そのぶん負けて損をする人がいるんだから、そんな儲け方はしちゃいけない」とか言いますよ。

いや、それは根本的に違いますね。例えば、配当利回り5%の株があるとしたら、その5%の原資は会社の経営努力によって得た利益であって、別に誰かの損から来ているわけじゃない。あくまでも利益の一部を株主に配当しているだけなので、別にマイナスの人がいるからプラスが出るわけじゃないんですよ。

言われてみればバブルのときに大損した人が大量発生したからといって、そのぶん大儲けした人がいたわけじゃないですもんね。そう考えると、正しい知識というのは本当に大事。

そうなんです。投資詐欺にしたって、知らないから引っかかるんですよ。ちょっとでも株をやっていれば、毎月20%の配当なんてあり得ないって、すぐにわかる。みんな株のことなんてよく知らなくて、ただ「すごいお金が動くんでしょ?」程度のイメージしかないから、迂闊にお金を預けて騙されるんですよね。

だから教育って本当に大事で、そういう意味では今年から高校の家庭科で投資の授業が始まるというのは、すごく良いことだと思います。別に興味がなくても、一度習うことで知識は得られるし。もちろん教える先生方も最初は素人だろうけど、年を追うごとに現場の声もあがって、環境的にも良くなっていくでしょうから、未来は明るいと僕は思っています。

そういったところでも、テスタさんの需要が増えそうですよね。

実際、今も土日の休みを利用して、いろんな学校で講演をさせてもらってます。この間は早稲田にも行ったし、来週、東大も行きますし。東大生に何しゃべるんだ?って話ですけど、一つのことをやり続けていけば、こんなことが起きるんだっていうのはありがたいです。本当に……ただのニートなんで(笑)。

いやいや! 個人投資家だって立派なフリーランスじゃありません?

うーん……無職じゃないですか? 職業欄には“個人投資家”って書いてますけど、それで通っているからいいのかなと。でも、7年くらい前に上京して、最初に家を借りたときは、家賃を2年ぶん前払いしましたね。審査が通るかわからなかったんで、先払いを提案したら、それで通ったという過去はあります(笑)。

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