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「プロとしては失格かも」個人投資家・テスタが語る、株で勝ち続ける理由

テスタ

突き抜けるぐらいに続けることが大切

テスタ

投資を学んでこなかった世代も、まずは自分が応援したい企業の株を買うことなどから始めたりしてもいいんでしょうか?

もちろん。あとは今、自分が働いている分野のことから考えるべきですね。みんな働き始めたら、その分野のプロになるわけですよ。例えば整備の仕事をしているなら整備のプロになりますし、化粧品会社で働くなら化粧品のプロになる。数年働くだけでも一般の人は知らない知識や動向を得られるはずなんで、すごく有利になるんですね。なので、まずは自分が詳しい分野から始めるのが一番いいんじゃないでしょうか。世の中の人って多くが株式会社で働いていて、そうじゃない人も株式会社と間接的に取り引きをしているわけですよ。

確かに!

なのに株の仕組みもよく知らず、社長と株主はどういう関係なのか? この会社の本当のオーナーは誰で、本当の実権は誰が握っているのか?ということも、わからないまま働いている人が大半じゃないですか。株式って実はすごく身近なもので、自分に密接に関わっているものだということは、もっと自覚していくべきなんじゃないかと思います。

とかく株や投資に関しては、詐欺のニュースが多かったりするから悪いイメージが付きやすいんでしょうけど、あれも投資を題材にしているだけで、別に投資自体が悪いことではないですからね。そういった間違ったイメージで、証券会社だとか東証の方だとか、日本経済のために大切な仕事をしている方が後ろ指をさされて悲しい想いをしないように、僕なんかにできることは小さいかもしれないですけど、少しでも何かしら変えていけたらなとは思うんです。

テスタ

ここまでお話をうかがって、なぜテスタさんが株や投資のイメージアップに寄与し、その間口を広げようとしているのか、非常によくわかりました。ただ、それが我々の目に画期的に映るということは、逆に、これまで同じような活動をしてこられた投資家の方がいないということですよね。

SNSが無い時代はやりようがなかったでしょうし、株をやっている人自体が少なくて閉鎖的な界隈なので、その外側にまで知られるようになるのは難しいんじゃないですかね。あと、やっぱりみんな出たがらない。そもそも俯瞰で見たときに、僕みたいにSNSで毎日自分の収支を――つまり給料を発表している奴って頭おかしいじゃないですか。

言われてみれば(笑)。

最初は自分の成長記録として、良かれと思ってブログとかで収支を発表していても、1億円くらいになるあたりから誹謗中傷だとか嫉妬にさらされるんですよね。「なんだ、自慢かよ」とかって文句を言われるようになるんで、みんな書くのをやめていくんです。その中で僕だけやめなかったから、こうして注目されるようになったんでしょうね。僕も「嘘を書いてるんじゃないか」って言われたりもしましたけど、ずーっと書き続けていたら、いつの間にか言われなくなりましたし。何事も突き抜けるくらい続けていけば、周りの評価も変わっていくのかなと。

YouTube 公式テスタの部屋
梅原大吾×テスタ
Vol.1勝ち続ける人の要素

じゃあ、もしかして投資で何十億も利益を得ている人は、実はテスタさんの他にもいる?

たくさんいます。僕なんかより凄い人もたくさんいるんですけど、やっぱり防犯のためであったりとか、いろんなリスクを考えて表に出なくなるんですよ。ただ、みんながそれをしちゃうと……残るのが詐欺師だけになっちゃうんで。

矢面に立って投資の真実を訴える人が必要だということですね。

本当は僕じゃなくていいと思うのですけどね。例えば、株主優待で生活していて、よくテレビにも出ている桐谷さんっているじゃないですか。メディアの力ってやっぱり大きくて、ああいうキャラの強い方が一人いるだけで株主優待に興味を持ったり、自分も始めてみたって人も多いと思うんです。ただ、残念ながら僕にはそこまでの個性は無いので、ゆくゆくは20代とか30代の子が出てくれたほうが、若い人も投資を始めやすいだろうなと。そもそも僕らの世代より、若い人のほうが投資に対して身近で、もうちょっとライトに接しているなというのは感じますから。

でも、他の投資家の方々に寄付を呼びかけたり、そういった活動を始められたのもテスタさんじゃないですか。

それも、誰かリーダーシップを発揮して呼びかけてくれる人が、他に現れるのを期待しているんですよね。まぁ、みんな出たがらないですし、僕にいろんな話や案件が来る間は、まだ他にいないということなので、できることはやっていきたいですけど。

人生の豊かさは、楽しいと思えるかどうか

テスタ

なかなか引退できそうにありませんね。ちなみにテスタさんが投資で成功した代わりに失ったものってあります?

体力じゃないですか。平日朝9時から夕方5時までパソコンの前で動かないんで、体力はとんでもなく落ちてると思います。いくらお金があっても死んだらゼロ円なんで、人間ドックは毎年行くようにしてますけど、まぁ、ズボラな人間なんで。必ず自分の誕生日までに予約する!とか、鉄の意志で決めておかないと結局やらなくなっちゃう。あと、深い趣味は持たないようにしてますね。面白そうでも時間がかかるものは株に差し支えるので、例えば、すごく好きだったゲームも今は時間がかかるタイプはやらないようにしてます。

では、多くの人に株を始めてはほしいけれど、専業での個人投資家や自分のような生活は勧めない?

大事なのは“それが楽しいと思えるかどうか”ですよね。専業で株やってる人って、みんな最初の動機は“楽して稼ぎたい”ですけど、その“楽して”の部分が人によって意味合いが違うんです。僕の場合は“家にいたままできる”ってことで、大雨のときや暑い日でも外に出ずに済むことに、一番の魅力を感じたんですね。逆に、僕の友達でも外に出たいタイプの人は「絶対にできない」って言いますから。

確かに、インドア派じゃないとできない仕事ですよね。

株やってる人って、それもあって表に出たがらないんです。社会人になると、起きている時間の中で働いている時間が一番長いから、そこが楽しいかどうかで人生の豊かさって全然変わるんですよ。仕事が楽しかったり充実感があれば人生も楽しいし、逆に苦痛だったら、起きてる時間の大半が苦痛ってことになっちゃう。なので、今の仕事だったり環境に不満がある人は、絶対に変えたほうがいいですよね。

もちろん変える瞬間はエネルギーが要るし、一歩踏み出すのってしんどいけど、そのしんどさで後の人生が楽しくなるんだったら絶対やるべきだと思う。それで「違うな」と気づいたら、また別の仕事を探せばいいだけですし、そもそも「明日から株やるわ」って言っても、周りには大抵反対されるじゃないですか。

そうでしょうね(笑)。

それは株に限らず、何かにチャレンジするときって周りは反対するわけですよ。親なんて特にそう。僕も一人暮らしでしたけど、会うたびに「早く就職しなさいよ」とか「保険があるところに勤めなさいよ」って言われてましたからね。でも、それに従っていたら今の僕はないわけで、つまり、親や周りの言うことが必ずしも正解とは限らない。それ以上の強い意志を自分が持てるのであれば、どれだけ反対されても一度やってみるというのは大事なんじゃないかなと思います。

YouTube 公式テスタの部屋
上原浩治×テスタ
「夢の対談 雑草魂」

まさか、ご両親は今も反対を……?

いや、雑誌とかに載るようになってからは、だんだん言われなくなりました。安心したのか諦めたのかわからないですけど、ただ、僕の親は二人とも堅い感じなんで「どうしてこんなことになったんだろう?」とは思わせたでしょうね。例えば東京に遊びに来るとなったとき、「じゃあ、俺、ホテル取るよ」って言っても「寝るだけだから大丈夫」って、一番安いホテルに泊まっちゃうんです。僕としては親孝行させてほしいのに、お金はなかなか使わせてくれなかったりしますね。

なんだかテスタさんが勝ち続けられる理由がわかってきた気がしました。堅実なご両親に育てられ、利他的な価値観を無意識に育まれてきたからこそ、一種の使命感に突き動かされて誰もやってこなかった活動ができるんでしょうし。株に対するモチベーションとしても“自分のため”というエゴイスティックなものより、そちらのほうが力がある。

一周してそれが自分の充実感になってるんでしょうね。例えば学校で講演するとなったら、最初は「大変そうだな」と思っても、帰り道では「やって良かったな」ってなることが多いんで。他人のために何かをしたら、最後には自分に充実感が来るので、結局は自分のためになっているんじゃないかなと思います。

これだけ資産があるからこそ、お金じゃない充実感を知っているんでしょうね。そして株に勝つことで、その喜びの幅を広げることができるんだと。

そうそう。勝っているから、いろんな面白いお話が来るんでしょうし、見てくれる人も増える。なので、株で勝てている間は他のことはなるべくやらないようにしてきたんですけど、最近、株で勝つ喜びより他の充実感を優先しているなぁと感じることもあって。

例えば、YouTube配信で自分の考えだったり勝ち方を公開するっていうのは、株で勝つという意味においては自分の首を締めることになるんですね。だから普通はやらないんですよ。やっているのは商売目的だったり、アクセス数を稼いで儲けようとしている人で、本当に個人で株やって勝ってる人はやらない。でも、自分が株で勝てなくなったとしても……それでもいいと思って、僕は去年YouTube配信を始めたんですよね。つまりは株で勝つことに100%の神経を注いでいないということなので、プロとしては失格なのかもしれないです。

裏を返すなら、それが本当にテスタさんのやりたいことなのかもしれないですね。

簡単に言うと、ソッチのほうが楽しいんでしょうね。株で勝つことではなく、むしろ、ソッチに充実感を求めるようになったのかもしれないです。まぁ、それで勝てなくなったら、これまでやらないでいたゲームだとかを解禁しますよ(笑)。


撮影/中野賢太@_kentanakano