フリーランスと請求書は、切っても切れない関係。他人がどんな請求書を発行しているか、気になったことはありませんか?
FREENANCE MAGでは、さまざまなジャンルのフリーランスに、請求書のことをぶっちゃけて聞いてみようと思います。
今回の取材対象者は、大学卒業後に就職したIBMを10カ月で退職し、独立から2年ほどで2社のCEOを務めるまでになった船越良太さん。そんな船越さんの考える請求書の役割や、思い出と深い請求書とは?
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意外と重要なのが「備考欄」。備考の行数はノウハウの量
まずは、船越さんが請求書を作成する際にこだわっていることはありますか?
こだわりというほどではないかもしれませんが、備考欄に書くことはかなり多いですね。
デザインが決定した後に変更はダメとか、修正は何回までとか、トラブル防止のための注意書きをきっちり入れるようにしています。
いざというときのための、リスクヘッジですね。
そうですね。これまでに経験した失敗などを踏まえて書いているので、日を追うごとに備考欄に書くことは増えました。備考の行数はノウハウの量だと言えますね!
その注意書きが、実際に効果を発揮したことはありましたか?
ありますよ。例えばある案件で、担当者のOKが出た後に「このデザインでは上からの承認が下りないから、5カ所変更したい」と言われたことがあって。でも、僕は備考欄に「変更は1カ所につき5万円」と書いていたんですよ。
ということは、5カ所の修正で25万円!
そのときはさすがにクライアントが気の毒で、実際に25万円は請求しませんでしたけど……。お互いに「今後、こういうことはないようにしましょうね」という、落としどころを作るためにも必要だと思うんですよ。請求書っていうのは、単純に金額を伝えるためだけの書類じゃなくて、そういう役割もあるんだと思います。
金額を決める基準は「技術の希少性」や「必要な調査の量」
金額感って、どんな風に決めるんですか?
案件を受けるときの金額の決め方は、必要な技術の希少性だとか、どれだけ調査が必要かなどが関わってきます。不動産やホテル、アパレルなど、そもそもUI/UXの基盤ができていない業界は、素材がない状態で作ることになるので、高めに金額を出すこともありますね。
それから、お客さんの方でどれだけ要望が固まっているかも関係します。「○○みたいなマッチングアプリが作りたい。××みたいなUIにして、デザインは真っ赤で奇抜にしたい」といった依頼であれば、すごく分かりやすいので、金額を抑えることも可能です。
逆に、「不動産を買いたい人と売りたい人をマッチングさせたいんだよね。項目はそっちで調べて」というようなオファーだと、かなりしんどいので金額は高めになってしまうかもしれません。
「隙」を残しつつ、ヒアリングしながら金額を決定
金額はまず船越さんが決めてから、クライアントに伝える感じですか?
お客さんに寄り添うスタイルをとりたいので、ヒアリングしながら決めていきますね。
「この悩みを解決するために僕らはこんなことができそうです。そのためには、このくらいの金額と期間が必要になります」といった感じで。
また、こちらの提示した金額とクライアントの予算が折り合わない場合に備えて、金額を下げるための「隙」みたいなものも残しておきます。例えば、安い単価でアサインできる人材を用意しておくとか、納期を延ばしてもらうとか。
一番思い出に残っているのは、ほろ苦い「200万円」の請求書
これまでで、思い出に残っている請求書ってありますか?
フリーランスになって1年経っていないくらいのころに、あるベンチャー企業さんから約200万円でUI設計を依頼されたのですが、そのときに発行した請求書ですかね……。
200万円といったら、大きい金額ですよね。良い思い出が詰まっているんですか?
いや、そうではないんですよ。その案件は約1.5カ月で、200画面を作るというハードなものでした。当時は何でも引き受けるスタンスだったので「何とかします!」と言って受けました。
しかし時間が足りなかったため、どうしてもクオリティが上げづらく、満足のいく出来にはならなかったんです。
それでも、無事200万円は払ってもらえたんですか?
はい。成果物はクライアントに受け取ってもらえたので、きちんとお支払いもしていただきました。しかし数カ月後にそのサイトを見たら、僕が作ったのとは別のデザインに変わっていたのでショックでした。これはクリエイターとしてやっちゃいけないことでしょ、って反省しましたね。
お客さんが幸せにならない案件なら、きっぱり断ることも大切
その経験を経て、変わったことはありますか?
そもそもあの案件は、引き受けるべきじゃなかったと思うんです。誰も幸せにならないじゃないですか。僕の仕事はお客さんのビジネスを成功させるためにやるわけであって、成果が上がらなかったら、あっちとしてはただの払い損です。
ということでそれ以降は、お客さんが幸せにならない案件なら、受けないようになりました。
お客さんが幸せにならない案件、というと?
僕のところには良いデザイナーがいて、ハイクオリティのものを作ることができる。仮に「早く安く」と頼まれれば、できないことはないですが、うちの良さは出せないんです。だから、そういった仕事は断ることもあります。
素敵な心意気ですね。最後に、フリーランスの方にメッセージをお願いします。
とにかく行動しましょう! フリーランスは、投資対効果が高い行動を心掛けることが重要です。
例えば1時間、誰かに会っただけでも、その人脈から100万円、200万円の仕事につながるかもしれない。人に会って話すのが苦手なのであれば、ツイッターで頑張って情報を発信しても良いと思います、自分のできる範囲でいいので、何かしら次につなげるための行動をとることが大切だと思います。
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