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フリーランス・個人事業主は固定資産税をいつ支払う? 納税時期から納税額の計算方法、支払い方法までを解説

フリーランス・個人事業主は固定資産税をいつ支払う? 納税時期から納税額の計算方法、支払い方法までを解説

固定資産税は、まとまった金額の支払いが発生するため、家計への影響も大きくなりがちです。とくに、フリーランスや個人事業主として独立した初めて納付する方などは、「事前に納付額は告知される?」「支払い方法は?」「いつまでに支払えばいい?」と、わからないことが多いのではないでしょうか。この記事では、固定資産税の支払い時期や期限、各支払いの方法まで、詳しく解説します。

固定資産税とは?

固定資産税とは、その名称の通り、土地・家屋・償却資産などの「固定資産」に課税される地方税です。固定資産を所有している人が市区町村(東京都23区だと都)に納めます。

固定資産税の対象となる資産は?

固定資産とは、具体的にどのようなものが該当するのか、以下の表でまとめました。

なお、「償却資産」とは、「土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産」のことです。例えば、工場や商店などを営んでいたり、駐車場やアパートの経営などをしている人が、その事業のために利用している構築物、機械、工具、器具、備品といった固定資産を償却資産といいます。土地・家屋と同じように固定資産税が課税されます。

固定資産の種類具体例
土地田んぼ、畑、住宅地、池沼、山林、鉱泉地(温泉など)、牧場、原野などの土地
家屋住宅、お店、工場(発電所や変電所を含む)、倉庫などの建物
償却資産会社等(事業者)が所有する構築物(広告塔やフェンスなど)、飛行機、船、車両や運搬具(鉄道やトロッコなど)、備品(パソコンや工具など)
出典:総務省|地方税制度|固定資産税

固定資産の対になるものとしては、「流動資産」が挙げられます。流動資産は、会社や個人が短期間(通常1年以内)で現金化したり使ったりする予定の資産のことです。

例としては、現金(財布や口座の中のお金)、預金(銀行などに預けているお金)、売掛金(商品を売ったけど、まだ入金されていないお金)、棚卸資産(在庫・仕入れた商品)、仮払金(一時的に立て替えたお金)などが該当します。

固定資産と異なり、流動資産そのものには税金はかかりません。ですが、売掛金があるということは「売上」があるということです。売上から経費を引いた利益に対して所得税や法人税が課税されるといったように、流動資産は別の税金に対して間接的に影響を与えます。

納税義務者と税の計算基準日

固定資産税の納税義務者(税金を納める義務のある人)は、「毎年1月1日時点で固定資産の所有者として、固定資産課税台帳に登録されている人」です。

1月1日が固定資産税の基準日、つまりは「賦課期日(ふかきじつ)」(※)となり、翌1月2日以降に所有権が変わったとしても、1月1日時点の所有者はその年度分の固定資産税を支払う義務を負います。

※課税に関する基準日

固定資産税の計算方法

固定資産税の税額は、市区町村が算定する「固定資産税評価額」(※)をもとに計算されます。計算式は下記の通りです。

固定資産税の計算式

固定資産税評価額(課税標準額)× 1.4%(標準税率)

固定資産税評価額は、国が定める評価基準に基づいて算出されます。この評価額は3年に1度見直されるため、不動産の価値が上下すると税額に反映される場合があります。

現在、固定資産税の税率は「全国一律1.4%」とされていますが、自治体によってはこれに上乗せされる場合もあります。

※固定資産課税台帳に記載された固定資産税の課税の基準となる土地・建物の評価額

固定資産税の納税スケジュール

固定資産税に限りませんが、納税期限を過ぎると延滞金が発生するだけでなく、最悪の場合は差し押さえなどのリスクも発生します。自治体ごとで納付時期に違いもあるため、うっかり忘れてしまことのないようにしましょう。

納税通知書は4~6月着、納付期限は年度内で4期に分割

固定資産税の納税通知書は通常、毎年4月~6月の上旬ごろに郵送されます。納付書も同封されていますので、紛失しないよう注意してください。

固定資産税の納付期限は、通常は年度内で4期に分割されており、各期の末日が納期限となっています。納期限が土・日・祝日と重なる場合は、その翌営業日が期限です。

例として、2025年度(令和7年度)の東京23区内の固定資産税・都市計画税の納期は次のとおりです。

例:東京23区の固定資産税の納期
  • 第1期 2025年6月1日から6月30日まで(納期限6月30日)
  • 第2期 2025年9月1日から9月30日まで(納期限9月30日)
  • 第3期 2025年12月1日から2026年1月5日まで(納期限1月5日)
  • 第4期 2026年2月1日から3月2日まで(納期限3月2日)

2025年度の固定資産税の納税通知書は6月2日に発送
※参照:固定資産税・都市計画税(土地・家屋)|不動産と税金|東京都主税局

また、固定資産税は一括払いも可能です。第1期の納期限までに全額を納める必要がありますが、一括で支払ったとしても割引などはなく、納税額は変わりません。

納期限を忘れた場合は?

上述した通り、固定資産税に限らず納期限を過ぎると、延滞金が発生します。延滞金は納付すべき税額と支払い遅延日数に応じて計算され、日数が経過するほど金額が増加していきます。

万が一、納期限を過ぎてしまった場合は、市役所または指定金融機関で速やかに納付手続きを行ってください。

例:東京23区の延滞金の率
期間割合
①納期限の翌日から1か月を経過する日までの期間【延滞金特例基準割合(※)+1%】②納期限の翌日から1か月を経過した日以降の期間【延滞金特例基準割合(※)+ 7.3%】
令和4年1月1日から令和7年12月31日まで2.4%8.7%

※「延滞金特例基準割合」とは、銀行の新規の短期貸出約定平均金利を基準に、各年の前年の11月30日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加えた割合

固定資産税の支払い方法は? キャッシュレス納税も

固定資産税は、市役所や金融機関の窓口での納付はもちろん、口座振替、クレジットカード、コンビニ払い、スマートフォン決済アプリでの支払いなど、多様化しています。各支払い方法の特徴を理解し、自分に合った方法を選んでください。

市役所や金融機関、コンビニの窓口で支払い

固定資産税は、市役所や指定金融機関で直接支払うことができます。納税通知書に同封されている納付書を窓口に持参し、現金で支払います。

窓口支払いのメリットは、領収書がその場で発行されるため納付の証拠が残る点です。一部のコンビニエンスストアでも対応しており、納付期限を過ぎた場合は窓口対応が必要になる場合があります。この方法は、特に現金支払いや直接相談したい場合に便利です。

口座振替

固定資産税の口座振替は、指定の金融機関の預金口座から自動的に税金が引き落とされる支払い方法です。

納付期限を忘れてしまうリスクを軽減できるうえ、申込手順も、市役所や銀行で振替依頼書を記入し提出するだけと、いたって簡単です。

クレジットカードでの支払い

固定資産税はクレジットカードで支払うこともできます。この方法の最大のメリットは、クレジットカードのポイントが貯まることや、現金を用意せずに納付できる点です。

まず、自分が住んでいる自治体のWebサイトで、クレジットカード支払いに対応しているかを確認しましょう。ただし、納税額に応じた手数料がかかるので、ポイント還元と比較のうえ、検討することをおすすめします。

例として、東京都23区は、「地方税お支払いサイト」からクレジットカードで納付できます。初回利用の場合は、電子証明書とeLTAXポータルシステムの利用届出手続きが必要です。

スマートフォン決済アプリによる支払い

最近では、スマホ決済アプリの利用も広がっています。固定資産税の納付書に記載されたバーコードや地方税統一QRコード(eL-QR)をアプリで読み取るだけで支払いが完了します。外出不要で24時間いつでも支払いが可能な点が大きなメリットです。

バーコード読み取り機能を利用できるアプリは、au PAY、d払い、J-Coin Pay、PayB、 PayPay、モバイルレジ、楽天銀行アプリ、楽天ペイなどです。バーコード読み取り方式の支払い上限は、納付書1枚あたりの合計金額が30万円までとなっています(合計金額は、延滞金・加算金も含めた額のこと)。

※参照:スマートフォン決済アプリによる納付について|都税の納税について|東京都主税局

固定資産税を管理するコツと注意点

固定資産税は、フリーランスや個人事業主にとって、決して小さくない支出のひとつです。課税内容や納付スケジュールを正しく把握し、事前に計画を立てておくことで、無理のない納税が可能になります。以下のポイントをおさえて、納税計画や資金管理にぜひお役立てください。

まずは固定資産税の納税通知書の確認

固定資産税の納税通知書には、固定資産の評価額や納付期限、納税額が記載されており、正確な支払い手続きを行うための重要な書類です。課税標準額や税率も記載されているため、納税額の根拠を確認できます。

固定資産税の減額を申請するタイミングは?

納税者や課税対象に特別の事情があるとき、納期限までに申請することによって、固定資産税の減額が認められる場合があります。「住宅用地の特例」(最大6分の1に減額)、「新築住宅に対する減額措置」(2分の1に減額)が代表的な例です。

こうした特例は、市区町村の担当窓口に申請する必要があるため、申請期間を把握し、速やかに対処することが求められます。また、地震や火災などで資産が破損した場合も、減額措置の対象となる場合があるため、固定資産の現状に変化があった場合は速やかに自治体に相談するようにしましょう。

例:固定資産税の減免措置が受けられる場合

固定資産税の減免措置が受けられる場合

固定資産税は、賦課決定後に特別な事情があった場合に減免処置が受けられます。
新富町については条例により以下のように定められています。

  • 貧困により、生活のために公私の扶助を受ける者が所有する固定資産
  • 公益のため直接専用する固定資産(有料で使用するものを除く)
  • 町全部又は一部にわたる災害又は天候の不順により、著しく価値を減じた固定資産
※引用:固定資産税の減免措置が受けられる場合/新富町

※参照:固定資産税の住宅用地の特例とはどのようなものですか。/金沢市公式ホームページ いいね金沢
※参照:住宅:新築住宅に係る税額の減額措置 – 国土交通省

固定資産税の過払い金、還付期限は?

課税の誤りによって、固定資産税を払いすぎていた場合(過払い)、地方税法の規定に基づき過去5年を限度として還付を受けることが可能です(20年分の還付を認めている自治体もあり)。

自治体から送られてくる「過誤納金等還付充当通知書」を確認後、必要事項を記載して返送もしくはオンライン申請すると、約1カ月ほどで過誤納金分が指定口座に還付されます。

税制改正の最新情報を把握する習慣

固定資産税の制度は定期的に改正され、評価額や減額措置の変更は納税額に直接影響します。そのため、自治体からの案内や国が発表する税制改正の情報を定期的に確認する習慣をつけることがポイントです。

新築時やバリアフリーのリフォームをした場合など、固定資産税が減額されるケースもありますので、最新情報を把握しておくことで減税のチャンスを逃さずに済むでしょう。

まとめ

フリーランスや個人事業主にとって固定資産税は、大きな支出のひとつです。毎年1月1日の固定資産の所有者に納税義務があり、税額は固定資産税評価額に1.4%を掛けて算出されます。支払いは年4回の分割、もしくは一括で行うことができ、スマホ決済やクレジットカード、口座振替など多様な納付方法が選べるようになっています。

固定資産税に限らず、フリーランスが納税スケジュールや税金の支払い方法を事前に把握しておくことは、経費の管理だけでなく、延滞金の発生や資金繰りの悪化といったリスクを防ぐうえでも重要です。なお、納付期限が重なる時期は特に出費がかさみやすいため、月ごとのキャッシュフローを見直しておくと安心です。ぜひ本記事を参考に、納税のタイミングや仕組みをしっかり把握しておきましょう。

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