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個人事業主も利用できる! 事業承継やM&Aを支援する「事業承継・引継ぎ補助金」とは?【税理士が解説】

個人事業主も利用できる! 事業承継やM&Aを支援する「事業承継・引継ぎ補助金」とは?【税理士が解説】

令和5年度補正予算に基づき、2024年度(令和6年度)も引き続き事業承継・引継ぎ補助金」の継続が確定しました。

本補助金は、中小企業をはじめ、個人事業主を含む小規模事業者による事業承継や、M&Aの支援を目的として開始した制度です。どのような場合に活用できるか、また、活用するために必要な手続きが必要について解説します。

事業承継・引継ぎ補助金とは?

事業承継・引継ぎ補助金は、事業承継M&A(第三者承継)をきっかけに新たな取り組みをする中小事業者や個人事業主を対象とする補助金です。M&Aなどの事業引継ぎ時、事業引継ぎ後の取り組み、事業承継に伴う廃業に係る費用の支援が受けられます。

M&Aとは、「Mergers(合併) and Acquisitions(買収)」の略称であるが、我が国では、広く、会社法の定める組織再編(合併や会社分割)に加え、株式譲渡や事業譲渡を含む、各種手法による事業の引継ぎ(譲り渡し・譲り受け)をいう。

中小 M&A ガイドライン(第2版)
-第三者への円滑な事業引継ぎに向けて-

この制度の背景には、中小企業の後継者不足という深刻な問題があります。経営が順調でも、後継者がいないことが理由で廃業せざるを得ないケースが増加しているのをご存じの方は多いでしょう。

企業の廃業は、雇用や企業が培ってきたノウハウを失うことにつながり、日本経済にとって大きな損失になります。このような背景のもと、事業承継に関する取り組みを費用面から支援し、雇用の維持創出、生産性向上の促進によって、経済の発展を図ることが本制度の目的です。

なお、事業承継・引継ぎ補助金の交付には審査を伴い、本制度の目的にあった経費であること、上限金額などのルールに基づき補助金が交付されます。ちなみに、直近の7次公募(令和5年度補正予算)では、全体で約60%の申請が採択されています。

※参照:事業承継・引継ぎ補助金(7次公募以降)
※参照:事業承継・引継ぎ補助金【8次公募】の概要 2024年1月16日改訂版 事業承継・引継ぎ補助金事務局

個人事業主の申請要件

個人事業主の場合であっても、「中小企業者等」の定義を満たしている青色申告事業者である承継会社に在籍しているなどの要件を満たすことで補助金の申請が可能です。

「中小企業者等」とは、業種ごとに、資本金の額や常時使用する従業員の数が以下の水準以下である場合を指します。

業種分類中小企業基本法の定義
製造業その他資本金の額または出資の総額が3億円以下の会社
または常時使用する従業員の数が300人以下の会社および個人事業主
※ゴム製品製造業(一部を除く)は資本金3億円以下または従業員900人以下
卸売業資本金の額または出資の総額が1億円以下の会社
または常時使用する従業員の数が100人以下の会社および個人事業主
小売業資本金の額または出資の総額が5千万円以下の会社
または常時使用する従業員の数が50人以下の会社および個人事業主
サービス業資本金の額または出資の総額が5千万円以下の会社
または常時使用する従業員の数が100人以下の会社および個人事業主
※ソフトウエア業・情報処理サービス業は資本金3億円以下または従業員300人以下、旅館業は資本金5千万円以下または従業員200人以下

ただし、次のいずれかに該当する中小企業者等は除くとされています。

  1. 資本金または出資金が5億円以上の法人に直接または間接に100%の株式を保有される中小企業者等
  2. 交付申請時において、確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年または各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える中小企業者等

詳細な要件については、支援枠ごとに申請要件が異なるため、それぞれ「公募要領」を確認するようにしましょう。

※参考:事業承継・引継ぎ補助金HP:公募要領等ダウンロード

3つの支援枠、経営革新事業・専門家活用事業・廃業・再チャレンジ事業とは?

事業承継・引継ぎ補助金には、「経営革新事業」「専門家活用事業」「廃業・再チャレンジ事業」の3つの申請枠が用意されています。

経営革新枠事業

事業を引継いだ事業者が、新たに行う取り組みのための店舗借入や設備費、広告費用といった費用の補助

要件

経営資源引継ぎ型創業や事業承継(親族内承継実施予定者を含む) M&Aを過去数年以内に行った者、または補助事業期間中に行う予定の者

補助上限

600~800万円
※一定の賃上げを実施する場合、補助上限を800万円に引き上げ

補助率

1/2・2/3
※中小企業者のうち、①小規模、②営業利益率の低下(物価高影響等)、②赤字、③再生事業者のいずれかに該当する場合:2/3

対象経費

店舗等借入等、設備費、原材料費、産業財産権等関連経費、謝金、旅費、外注費、委託費、広報費

※参照:事業承継・引き継ぎ等補助金(経営革新) | 事業承継・引継ぎ補助金

専門家活用事業

事業継承時(M&A実施)に伴い専門家などに支払う費用の補助

要件

補助事業期間に経営資源を譲り渡す、または譲り受ける者

補助上限

600万円

補助率

買手支援類型:2/3 売手支援類型:1/2・2/3
※①赤字、②営業利益率の低下(物価高騰等)のいずれかに該当する場合:2/3

対象経費

謝金、旅費、外注費、委託費、システム利用料、保険料

※参照:事業承継・引き継ぎ等補助金(専門家活用) | 事業承継・引継ぎ補助金

廃業・再チャレンジ事業

廃業に伴う在庫廃棄、原状回復費などを補助するもの
廃業・再チャレンジ枠は経営革新事業・専門家支援事業との併用申請も可能

要件

事業承継やM&Aの検討、実施等に伴って廃業等を行う者

補助上限

150万円
※経営革新枠、専門家活用枠と併用申請する場合は、それぞれの補助上限に加算

補助率

1/2・2/3
※経営革新枠、専門家活用枠と併用申請する場合は、各事業における事業費の補助率に従う

対象経費

廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、現状回復費、リースの解約費、移転・移設費用(併用申請の場合のみ)

※参照:事業承継・引き継ぎ等補助金(廃業・再チャレンジ) | 事業承継・引継ぎ補助金

次に、それぞれの詳しい内容、および、活用のポイントを解説します。

経営革新事業

M&Aや親族内継承により経営を引継いだ(または検討している)事業者向けの内容です。引継いだ経営資源を活用して新しい商品開発やサービス提供、新たな顧客層の開拓、新規事業のスタートなどに取り組むための費用を補助するものです。

経営革新事業は、承継の手段により以下の3つに分類されます。

  • 創業支援型(Ⅰ型):事業承継をきっかけに法人設立、または個人事業主として開業した場合

いずれも、廃業予定の事業者から有機的一体として機能する経営資源を引継ぐこととされており、物品や不動産といった個別資産の承継は対象外となります。

  • 経営者交代型(Ⅱ型):親族や従業員への承継による事業承継
  • M&A型Ⅲ型(Ⅲ型):事業再編・経営統合等のM&Aによる事業承継

経営革新事業の活用例としては、以下のような事例があります。

経営革新事業の活用例

廃業予定であったペットトリミング事業を、オーナーから引継いだ。事業にかかわる設備と人員を引継ぐ事業承継の形をとり、会社を新設。事業承継とともに、既存のドッグラン、宿舎を改善して地域密着型のドッグランを設けた。また新たな事業としてハズバンダリートレーニング事業を行うトリミングサロンを展開した。

採択結果 | 事業承継・引継ぎ補助金

この事例では、人件費、店舗借入費、内装修繕費用が補助対象として認められています。雇用を継続や生産性の向上により地域貢献につながった事例です。

このほか、カフェの経営を引継いだことを機に、販路拡大に取り組んだ例などもあります。この事例では、ECサイトを構築したネット販売、移動販売車を設けて地域内でのイベント会場での商品提供を可能にしました。

以下のページにて、交付決定事業者の取り組みを公表していますので、あわせて見てみると良いでしょう。

専門家活用事業

M&A時の専門家活用に係る費用(フィナンシャル・アドバイザーや仲介に係る費用、デューデリジェンス、弁護士費用など)を補助するものです。これは、M&Aの成約に向けて取り組みを進めている方が対象となります。

専門家活用事業は、経営資源を譲り受け予定の方が対象となる「買手支援型(Ⅰ型)」、譲り渡し予定の事業者が対象となる「売り手支援型(Ⅱ型)」に分類されます。

補助の条件として、以下のような点に留意しましょう。

  • 補助事業期間内にM&Aに着手、またはM&Aが実施される必要がある。

具体的には、事業再編・事業統合に関する相手方との「基本合意書」または「最終契約書」の締結が必要です。

  • 経営資源引継ぎにおけるFA・仲介業者は、「M&A支援機関登録制度」に登録された専門家への委託に係る費用のみが補助対象となる。

廃業、再チャレンジ事業

事業承継・M&Aに伴う廃業等に係る費用(現状回復費・在庫処分費等)を補助するものです。

廃業・再チャレンジ事業は以下の2つに分類されます。

  • 併用申請型
    ⇒ 経営革新枠・専門家活用枠と併用申請
  • 再チャレンジ申請型
    ⇒ M&Aで事業を譲り渡せなかった事業者が、地域の新たな雇用創出や経済の活性化にチャレンジするために、既存事業を廃業する場合に申請可能
    ※再チャレンジ申請の場合、一定期間内にM&Aに着手していることが条件

利用にあたってのポイント

補助金交付までの流れ

補助金交付までの流れは以下のとおりです。専門機関へ相談したうえで、実際の交付申請、実績報告等を進めると効率的に申請を進められます。

STEP.1
経営支援機関や専門家への相談
STEP.2
交付申請
STEP.3
補助事業の実施・状況報告
STEP.4
実績報告
STEP.5
補助金交付請求
STEP.6
事業化状況報告等

なお、令和5年度は通年で複数回公募があり、申請期間はそれぞれ2カ月程度でした。交付申請や補助事業の実施時期は限られています。前回の公募要領などを参考に、事前に制度の概要を把握し、計画的に準備しましょう。

ここからは、「STEP.2 交付申請」「STEP.4 実績報告」について、さらに詳しく説明します。

交付申請

交付申請の流れは以下のとおりです。

STEP.1
gBizIDプライムのアカウント取得(1週間程度)
STEP.2
事業承継・引継ぎ補助金の交付申請は、オンラインの補助金申請システム「jGrants」で受付。システム利用には「gBizID」の取得が必要
STEP.3
交付申請に必要な各種書類の取り寄せ・準備。交付申請に必要事項を記載。必要に応じて「認定経営革新等支援機関」による確認書を準備
STEP.4
オンライン申請フォーム(jGrants)、および、各種申請様式(電子ファイル)に必要事項を記入
STEP.5
必要書類チェックリストで、必要書類に相違・不足がないかを確認。オンライン申請フォーム(jGrants)に提出する必要書類を添付

申請にあたり最も重要な書類は、「公募要領」です。記載されている内容を正確に把握したうえで、公募要領に沿って手続きを進めるようにしましょう。

また、事業承継・引継ぎ補助金の採択結果は、交付申請締め切り後、1~2カ月後にjGrantsを通じて通知されます。なお、「採択」とは補助金交付候補としての採択です。

補助金交付予定額(上限額)が記載されていますが、最終的な交付額は補助事業終了後に提出する実績報告に基づき、検査を経て決定します。

手続きを進めるにあたり、特に留意すべき点は以下のとおりです。

補助金の交付申請
  • 対象事業や申請枠によってフォームが異なります。必ず対象のフォームで申請するようにしましょう。
  • 記載不備や添付ミスがないように注意しましょう。誤りや書類不備は失格となることがあります。また、jGrantsから差し戻し通知が来ることがあります。その場合、必ず期限内に対応する必要があります。

実績報告

補助事業完了後、補助事象の実施内容や補助対象経費の証票を取りまとめ、一定期間以内にjGrantsから提出します。証憑不十分などの理由により補助が受けられないということがないよう、補助事業実施時から必要書類を整理し、時系列で保存しておきましょう。

また、経費が補助対象として認められるには、見積もりや納品時のルールがあります。主な注意点は以下のとおりです。

見積もり、契約について
  • 相見積もりの取得:経費によっては「相見積もり」をとり、最低価格での発注することを求められています。また、相見積もりをしない経費の場合でも、証憑として見積書が必要なものがあります。
  • 補助事業期間内の契約、発注:効力発生が補助事業期間内でも、契約締結日が補助事業期間より前の場合、原則補助の対象外となります。M&Aに関するFA費用、店舗借入費用等一部例外もあります。
納品、支払いについて
  • 補助事業期間内の納品が求められます。また、納品書、完了報告書などの証憑が必要です。
  • 支払手段:口座振り込みまたはクレジットカード一括支払いした経費のみが補助対象となります。カード払いの場合、口座からの引き落としが補助事業期間内である必要があります

詳細については、公開されている「中小企業生産性革命推進事業 事業承継・引継ぎ補助金 経営革新事業 【7 次公募】補助金交付のための事務手引書」も参照するようにしましょう。

まとめ

独立して間もない個人事業主の方にとっては、「事業承継」「M&A」などの内容は難しく感じられるかもしれません。しかし、今回ご紹介した「事業承継・引継ぎ補助金制度」は、既存の経営資源を活用しながら新しい挑戦のための支援が得られるうえ、後継者不足問題という国の重要課題を解決する意味でも意義のある制度です。これを機に自身の事業に活用できるか検討されてはいかがでしょうか。

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