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【税理士が解説】初回納付は8月!副業にも課税される「個人事業税」とは?どんな業種が適用対象?

【税理士が解説】初回納付は8月!副業にも課税される「個人事業税」とは?

フリーランスや個人事業主が納めなければならない税金として、「所得税」「住民税」があることは、多くの方が知っているでしょう。しかし、「個人事業税」については馴染みが薄い方もいるかもしれません。個人事業税は、法律で定められた特定の事業で所得を得た場合に、たとえそれが副業であっても課税される税金です。そこで今回は、個人事業税についてどのような事業が対象となるのか、算定式や納付期限など個人事業税の概要について解説していきます。

個人事業税とは?

個人事業税は、住民税や固定資産税などと同じように地方税のひとつです。個人が営む事業のうち地方税法等で定められた事業(法定業種)での所得金額にかかる税金で、都道府県に対して納付します。

個人事業主が事業を行うなかで、さまざまな行政サービスを利用していることから、その財源として個人事業主にも一部を負担してもらうための税金です。ただし、対象となる業種が決められており、また一定額の控除が認められるため、課税対象から免除される個人事業主も多くいます。

個人事業税は原則として、所得税の確定申告をすれば、その申告内容をもとに、各自治体が税額を計算し事業主に通知書が送られてきます。従って、個人事業税として別途申告をする必要はありません。確定申告後は通知を待ち、通知書が来たらそれに従って納税を進めてください。

なお、後述するように事業所得が290万円以下の場合など、個人事業税が発生しない程度の所得の場合は、通知書自体送られてくることはありません。個人事業税の通知を受け取ったら、通知書とともに送られてくる納付書を使用して、納付書に記載された金額を納期である8月と11月の年2回にわけて納付します。

フリーランスや個人事業主だけでなく、会社員として給与を受け取っている以外に、副業を行っている方は、副業のほうで個人事業税を納めなければならない場合もあるので注意が必要です。

※参照:総務省 個人事業税

法定業種の範囲

個人事業税の課税対象となる業種としては、法律で70種類の業種が定められています。これらの70の業種に該当しない場合、事業税は課されません。とはいえ、ほとんどの事業はこの70種に含まれていると考えて問題ないでしょう。

つまり、事業をするうえでは、基本的に個人事業税の対象業種となります。70の業種はさらに3つの区分に分けられ、区分ごとに所得に対し3%~5%の税率で個人事業税は計算されます。例として、ライターやカメラマン、プログラマー、デザイナー、コンサルタントなどは「請負業」とみなされ、これらを事業としているフリーランス・個人事業主は第1区分に該当します。

以下の表に70業種について区分ごとにまとめました。自分が行っている業種が、該当するかどうか、どこに区分されるかわからない場合は、事業所がある自治体に問い合わせて確認したほうが良いでしょう。

区分 税率 事業の種類
第1区分
(37業種)
5% 物品販売業、運送取扱業、料理店業、遊覧所業、保険業、船舶定係場業、飲食店業、商品取引業、金銭貸付業、倉庫業、周旋業、不動産売買業、物品貸付業、駐車場業、代理業、広告業、不動産貸付業、請負業、仲立業、興信所業、製造業、印刷業、問屋業、案内業、電気供給業、出版業、両替業、冠婚葬祭業、土石採取業、写真業、公衆浴場業(むし風呂等)、電気通信事業、席貸業、演劇興行業、運送業、旅館業、遊技場業
第2区分
(3業種)
4% 畜産業、水産業、薪炭製造業
第3区分
(30業種)
5% 医業、公証人業、設計監督者業、公衆浴場業(銭湯)、歯科医業、弁理士業、不動産鑑定業、歯科衛生士業、薬剤師業、税理士業、デザイン業、歯科技工士業、獣医業、公認会計士業、諸芸師匠業、測量士業、弁護士業、計理士業、理容業、土地家屋調査士業、司法書士業、社会保険労務士業、美容業、海事代理士業、行政書士業、コンサルタント業、クリーニング業、印刷製版業
3% あんま・マッサージ又は指圧・はり・きゅう・柔道整復・その他の医業に類する事業、装蹄師業

※参照:東京都主税局 法定業種と税率

事業主控除は年間290万円

個人事業税は、以下の計算式で算出されます。

個人事業税の額 = (所得金額 − 290万円) × 税率

上記の算式から、事業主控除は(1年間事業を行っている場合で)一律290万円であり、所得の額が年間290万円以下の場合は、個人事業税はかからないことがわかります。なお、年の途中から事業を始めた場合または年の途中で事業を廃止した場合は、290万円に事業を行っていた月数で按分した金額が控除金額となります。

以下の表は、事業を行った月数に対する事業主控除の額となります。

事業を行った月数 事業主控除額
1カ月 24万2,000円
2カ月 48万4,000円
3カ月 72万5,000円
4カ月 96万7,000円
5カ月 120万9,000円
6カ月 145万円
7カ月 169万2,000円
8カ月 193万4,000円
9カ月 217万5,000円
10カ月 241万7,000円
11カ月 265万9,000円
12カ月 290万円

税額の算出式

個人事業税の金額の算定式は前述のとおり、

個人事業税の額 = (所得金額 − 290万円)× 税率

となります。「税率」は業種ごとに3%~5%です。ここでいう「所得金額」は、以下の計算式で算出されます。

所得金額 = 収入金額 − 必要経費

なお、個人事業税は青色申告特別控除の適用はないため、ここでの所得金額の計算では、所得税や住民税のような、青色申告特別控除の65万円や55万円、10万円を控除することはできません。

言い換えれば、所得税の確定申告で計算した所得の金額が青色申告特別控除の適用を受けて計算されている場合は、個人事業税での所得金額はこれに65万円や55万円、10万円などの金額を足し戻して計算することになります。

また、必要経費については、所得税の計算で経費として計上したものをそのまま個人事業税の計算における経費として問題ありません。

※参照:東京都主税局 税額の算出

個人事業税の計算例

  • 事業の種類:プログラマー(第1区分/税率5%)
  • 所得税の所得金額:年255万円(青色申告特別控除65万円適用後)
上記例で個人事業税額を算出
  • 所得金額:255万円 + 65万円 = 320万円
  • 個人事業税の額:(320万円 − 290万円) × 5% = 1万5,000円

納付は8月・11月の年2回が期限

個人事業税は、都道府県から納税通知書とともに送られてくる納付書に従って納付します。年2回(8月納期限、11月納期限)に分けて納付するため、納付書も2回分送られてきます。自治体によっては2回分の納付書をまとめて送付されてきます。

納付は指定金融機関や都道府県税事務所の窓口、コンビニなどでの現金支払いほか、口座振替、クレジットカード納付、スマートフォン決済アプリによる納付などが可能です。

個人事業税は経費として計上できる

支払った個人事業税は、所得税を計算するうえで、必要経費として計上できます。個人の住民税は必要経費として計上することはできませんが、個人事業税は事業を継続するうえで必ず発生する支出とされ、経費計上が認められています。

個人事業税は仕訳をする際、「租税公課」という勘定科目で処理します。

まとめ

フリーランスや個人事業主で、法定業種に該当し年間290万円以上の事業所得のある方は、原則として個人事業税の対象になります。副業であっても対象になる場合がありますので注意が必要です。

所得税の確定申告を行えば、個人事業税を自分で申告する必要はなく、納税額を自分で計算する必要もありません。8月頃に都道府県から通知書とともに納付書が送付されてくるため、8月と11月に忘れずに納付してください。


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