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「部屋が借りづらい」と悩むフリーランスを応援。賃貸契約に必要な与信を見える化する『smeta』の開発者にインタビュー

FREENANCE MAG 「部屋が借りづらい」と悩むフリーランスを応援。賃貸契約に必要な与信を見える化する『smeta』の開発者にインタビュー

働き方改革や副業解禁の流れの中で、フリーランス向けのサービスが徐々に充実してきています。中でも、フリーランスや起業家の引越しをサポートしてくれるサービスとして注目を集めているのが『smeta(スメタ)』です。フリーランスや起業家の与信枠を〝見える化〟し、与信審査から部屋探しまでをワンストップでサポートしてくれるサービスです。

今回はsmetaを立ち上げたリース株式会社の中道さんと尹(ユン)さんに、サービスの詳細や立ち上げた経緯などをうかがいました。

フリーランスや起業家の「部屋が借りづらい」という悩みを改善

まずはsmetaのサービス概要について教えてください。

中道:フリーランスやスタートアップの起業家の中には、部屋を借りづらいという悩みを抱えている方も多いと思います。部屋を借りる際にはまず部屋を探し、その後に審査を受けるという流れになります。しかし社会的な信頼度や収入の安定性を証明しにくいフリーランスの場合は、与信不足で審査に落ちてしまうことも少なくありません。

リース株式会社 代表取締役・CEO 中道康徳
リース株式会社 代表取締役・CEO 中道康徳さん

尹:smetaは部屋探しをする前に、ユーザーの年収などをベースに与信枠、つまり借りられる家賃の上限額を提示します。その与信枠に収まる家賃の部屋であれば、確実に契約いただけることになります。与信枠を提示するだけではなく、 smetaのパートナー不動産エージェントによる賃貸住宅 のご案内、内見、申し込み、契約までを総合的にサポートします。

リース株式会社 取締役・CFO 尹 英俊
リース株式会社 取締役・CFO 尹 英俊さん

フリーランスが家を借りにくいという悩みはよく耳にしますが、どのような要因があるのでしょうか?

尹:大きく分けて、3つの要因があると考えています。

従来型の審査ロジック

長らく日本には、「勤め先がある状態で、定年を迎える」という文化が根づいています。そして、その価値観が銀行などのローンとも紐づいています。つまり、個人の信用価値よりも勤務先や勤続年数のほうが信用価値が高いとされてきました。そんな銀行ローンの審査と同じロジックで部屋の入居審査も行われてきたため、フリーランスが部屋を借りにくいという状況になっていました。

フリーランスの時間軸の問題

部屋を借りる場合は「継続して家賃を支払うことができるかどうか」ということが重要になりますので、年収や勤務先といったことが判断基準になるわけです。しかしフリーランスは、収入を証明する手段が確定申告しかありません。フリーランスになって年数が浅い方は、まだ確定申告をしていないケースもあるため、部屋を借りるに当たって与信がないという状況が生まれてしまいます。

不動産業者側の事情

不動産会社側からすれば、現状の判断基準を適用すると、フリーランスの審査を通すためには大きな労力を使うことになります。今、目の前にいるフリーランスよりも3分後に来店するかもしれない大企業の社員を相手にしたほうが確実なわけです。そういった業界の事情も関係しています。

上記のような要素が複合的に絡まり、結果的にフリーランスが部屋を借りにくい状況が生まれていると考えられます。

そんな状況を変えるために、smetaを立ち上げたわけですね。

中道:そうですね。働き方改革や副業解禁の流れを受け、労働力人口比率の16%以上がフリーランスになるという社会が訪れようとしています。さらに外国人労働者の増加もあり、従来型の入居審査ではこぼれ落ちてしまう層が非常に大きくなっていきます。そういった社会的な課題を解決するための方法として立ち上げました。

smeta賃貸
smeta 公式ページより

自身の独立直後の苦い経験もサービス誕生のきっかけに

ところで、smetaというサービスのアイディアはどんなところから生まれたのでしょうか?

中道:私は2018年にフリーランスのコンサルタントとして独立しました。SOHOという形で住居兼オフィスを借りようとしたら、入居審査で落とされてしまいました。さらに、住所が確定せず、シェアオフィスの住所でネット銀行の口座開設を依頼したところ、そこでも審査に落ちまして。 同時進行のクレジットカード審査も落ちる始末……。

家を借りれなかったことで、さまざまなことが起きてしまったと。

中道:そのときに初めて「住所=部屋を借りること」が重要なものだと気づきました。部屋を借りることができて、住所があればそれだけで強い与信になる。その間口を広げないと、私のようなフリーランスが増えてしまうということに対する問題意識がsmetaを立ちあげる大きな原動力になりました。

smeta
ユーザビリティにもこだわったsmetaの操作画面

家を借りる際の、従来の仕組みを変えたいと考えたわけですね。

尹:はい。調べれば調べるほど、話を聞けば聞くほど、スタートアップ段階のフリーランスや起業家たちはオフィスや家を借りるのに苦労をしているという状況が見えてきました。

サービスを立ち上げるまでは、スムーズに進んだのでしょうか?苦労したことはありますか?

中道:まず世の中のフリーランスがどんな問題を抱えているのか、実情をリサーチすることにしたのですが、その段階では苦労しましたね。誰がどのような問題を抱えているのかが分かりませんから。もしかすると、私たちが想像もできないような問題があるかもしれません。だから、たとえば飲み屋で隣同士になった人に話しかてリサーチを行うなど、場所を選ばず調査に奮闘しました。

尹:smetaは賃貸保証会社としての機能も備えているのですが、最初はその機能を持つことまでは想定していなかったんです。ユーザーからデータをもらって新しい審査エンジンを作って、今まで不動産会社の担当者が手作業で行っていた審査作業を自動化できますよ、という形でBtoBのビジネスモデルを考えていました。ところが、動いていく中でいくつかの障害が出てきたんです。

中道:しかし、自分たちはこのサービスを諦めるつもりはありませんでした。だったら、自分たちで賃貸保証会社の機能を持つしかないと決めたんです。賃貸保証会社の機能を持つということはそれなりのリスクも抱えることになりますが、それでもsmetaというサービスを実現したかったのです。

smeta保証
smeta保証 公式HPより

さまざまな他サービスと連携し、フリーランスのサポートを目指す

現在、さまざまなサービスとの連携にも取り組んでいるそうですね。

中道:smetaは、フリーランスの部屋の借りにくさの解消に主軸を置いています。しかし、フリーランスが抱える問題や課題はそれだけではありません。だからこそ、同じようにフリーランスをサポートするサービスを提供している方々と提携したいと考えています。現状では、ジョブマッチングサービス、請求書発行サービス、協会、さらにフリーランスの補償を提供するという部分でフリーナンスとも提携させていただいております。

そうした提携によって、どのような効果を期待していますか?

尹: 私たちの会社のミッションは「個人の信用価値を最大化する」というものです。ただ、現状は部屋を借りる際の与信が中心となります。そのため、提携を通じてフリーランスの仕事の成果を評価に変えることで、与信力を高めるサポートを期待しております。

中道:部屋を借りる、オフィスを借りるということはフリーランスにとっては第一歩です。それが上手くいって仕事も軌道に乗れば、個人の信用価値は徐々に上がっていきます。すると、次の引越しもスムーズになりますよね。「部屋が借りにくい」というフリーランスの課題を解決することで、与信力の向上と信用価値の最大化に寄与できるのではないかと考えています。

リース株式会社 中道康徳  尹英俊
フリーランスの仕事面でのサポートも実現したいと話す中道さんと尹さん

今後の目標やビジョンを教えてください。

尹:たとえばあるフリーランスが、10万円の部屋を借りてその家賃を15年間、一切の滞納なく支払っていたとしたらそれは貴重な与信材料になりますよね。しかしその情報を、誰もストックしていないのが現在の仕組みです。10万円の家賃を15年間支払ったというのは、住宅ローンにあてはめると、4~5千万円の住宅を購入したのとほぼ同じことになります。しかしその人が住宅を購入しようとすると、フリーランスであることが理由で審査落ちしてしまう可能性もあるわけです。

中道: こうした仕組みは何だかおかしい、という思いが我々の根底にあります。だからこそデータをストックして見える化し、更にそのデータに新たな価値を付加できる仕組みを構築することが大切だと考えています。これにより、フリーランスだけでなく、与信面で課題を抱える多くの方々の課題を解決し、より大きな便益を享受できる環境を生み出すことを大きな目標としております。

本日はお忙しい中、ありがとうございました!

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