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フリーランス・個人事業主の引っ越し手続き!税金・国保・年金などの住所変更を忘れずに

フリーランス・個人事業主の引っ越し手続き!

フリーランス・個人事業主の引っ越しにおいて、忘れないよう特に注意したいのが、税金・国保・年金に関する変更の手続きです。今回は、それらの手続きにおけるポイントをまとめて解説します。 トラブルなく新生活が始められるよう、事前にしっかり確認しておきましょう。

税金に関して必要な手続き

フリーランス・個人事業主は、自身でさまざまな税金を支払う必要があります。税金の管理は、各地域の税務署がおこなっているため、引っ越しなどで税務署の管轄地域(納税地)が変更になる場合、基本的に以下3つの書類提出が必要です。

  • 所得税(消費税)の納税地の異動又は変更に関する届出書
  • 個人事業の開廃業等届出書
  • 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書

所得税(消費税)の納税地の異動又は変更に関する届出書

所得税(消費税)の納税地の異動又は変更に関する届出書
※引用元:国税庁
対象税目 所得税・消費税
提出期限等 納税地の異動があった後、遅滞なく
内容 納税地に異動があった場合、住所を有する方がその住所地に代えて居所地を納税地とする場合、住所又は居所を有する方がその住所地又は居所地に代えて事業所等の所在地を納税地とする場合、居所地又は事業所等の所在地を納税地としていた方がその納税地に代えて住所地を納税地とする場合(異動・変更前の納税地の所轄税務署長に提出)

この書類で、住所と納税地(管轄税務署)が変わることを届け出ます。提出先は、引っ越し前に住んでいた地域の税務署です。具体的な提出期限は定められていませんが、移動後、遅延なく提出とあるため、できる限り早く提出しましょう。

所得税の納税地変更について書く場合は、書類表題の「消費税」は二重線等で抹消してください。「2 居所又は事業所等の所在地を納税地とする~」の欄も、不要の文字を抹消します。

振替納税(口座からの引き落としによる納税)を引き続き希望する場合は、「はい」を選んでください。「いいえ」を選んでしまうと、移転先で再び手続きが必要になるため、注意しておきましょう。

以前は、引っ越しの際には必ず「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」の提出とともに再手続が必要でしたが、現在は、上記の「はい」を選ぶだけで、引っ越し先でも継続して振替納税が可能です。

※参照:[手続名]所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する届出手続

個人事業の開廃業等届出書

個人事業の開業・廃業等届出書
※引用元:
対象税目 所得税
提出期限等 事業の廃止又は事務所等を移転した日から1カ月以内
内容 事業の廃止や事務所等の移転があった場合

引っ越しに伴い、事務所の場所が変わったことの届出です。フリーランス・個人事業主として仕事を始めるときに、書いた記憶がある方もいらっしゃるでしょう。事業内容や開業日などは同じ内容でかまいません。事務所の移転先住所を書くことで、変更手続きができます。

提出先は、引っ越し後に住む納税地の所轄税務署で、提出期限は、引っ越し先で事業を始めた日から1カ月以内です。事業所に関する変更なので、事業所の場所は変わらず、自宅のみ引っ越す場合、この書類は不要です。自宅兼事業所(事務所)としてお仕事をしている場合は、必ず提出が必要になります。

※参照:[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続

給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書

給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
※引用元:
対象税目 源泉所得税
提出期限等 移転又は廃止の日から1カ月以内
内容 給与等の支払を行う事務所等を移転又は廃止した場合(「個人事業の開廃業等届出書」を提出した場合を除く)

お給料を支払っているフリーランス・個人事業主に必要な書類で、給料を支払う場所の変更を届け出ます。提出先は、引っ越し後に住む納税地の所轄税務署で、提出期限は、移転した日から1カ月以内です。

従業員を雇っている場合は、この書類に加え、「適用事業所 名称/所在地変更(訂正)届」「健康保険・厚生年金保険事業所関係変更(訂正)届」なども必要になります。

※参照:[手続名]給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出
※参照:日本年金機構 適用事業所に関すること
※参照:日本年金機構 事業主の変更や事業所に関する事項の変更(訂正)があったとき

国民健康保険に関して必要な手続き

フリーランス・個人事業主の多くが加入している国民健康保険では、住む市区町村ごとに被保険者資格を取得します。そのため引っ越しの際は、自分で国民健康保険の喪失・加入を届け出る必要があるので、手続きを忘れないようにしてください。

必要手続 期限等 必要書類
転出するとき 転出する自治体で喪失の手続きを行う 転出14日前から届出可 国民健康保険証/マイナンバーが確認できる書類
転入するとき 転入する自治体で加入の手続きを行う 転入後14日以内 転出証明書

引っ越しにより、それまで住んでいた市区町村を出ることになる場合、転出する自治体にて、国民健康保険喪失の手続き(国民健康保険証の返却)を行います。引っ越し日の14日前から届け出ることができるので、早めに提出しておきましょう。

次に、引っ越し先の市区町村で、国民健康保険の加入手続き(国民健康保険証の発行)をします。提出期限は引っ越し日から14日以内となっており、転出・喪失の手続きのような、事前受付はありません。引っ越しが終わったら、期限内に提出できるよう準備をしておきましょう。また、国民健康保険の資格取得日は、届け出た日ではなく、「移動のあった日=引っ越し日(転入日)」となります。

各書類の提出先は、転出・転入するそれぞれの市役所や区役所の年金課が一般的ですが、役所のどこに提出するかは、各自治体のWebサイトなどで確認しておきましょう。その際、合わせて必要書類などもチェックしておくと安心です。

なお、引っ越し先が同一市区町村内であれば、国民健康保険の喪失・加入の手続きは必要ありません

文美国保など国保組合(組合国保)に加入している場合は?

特定の職種ごとに、認可を受けて設立された国民健康保険組合が運営している「国保組合(組合国保)」に加入している場合も、住所が変更になった(住民票を移した)際は届出をする必要があります。

一例として、文芸美術国民健康保険組合(文美国保)の場合、住所変更の手続きには、Webサイトからダウンロードできる住所変更届に加え、住民票(3カ月以内に発行された世帯全員という証明のある新しい住所が記載されているもの)、被保険者証カードが必要です。

年金に関して必要な手続き

フリーランス・個人事業主は、国民年金の第一号被保険者となっているのが一般的です。引っ越しに伴い、通常の第一号被保険者は、引っ越し先の市区町村の窓口や年金課で、住所変更の手続きが必要です。提出期限は、引っ越し日から14日以内となっています。国民年金手帳、印鑑を準備し、なるべく早く手続きを行ってください。

ただし、マイナンバーと基礎年金番号が結びついている被保険者は原則、届出が不要です。e-Taxの利用などで、すでにマイナンバーカードを所有しているフリーランス・個人事業主の方も多いでしょう。マイナンバーと基礎年金番号が結びついているかどうかは、「ねんきんネット」や、年金事務所などで確認できます。

※参照:日本年金機構 年金に加入している方が引越したときの手続き

マイナンバーカードに関して必要な手続き

マイナンバーカードは、プラスチック製のICチップ付きカードで、券面に氏名・住所・生年月日・性別・マイナンバー(個人番号)と本人の顔写真などが表示されています。

身分証明書や保険証として利用したり、各自治体のサービスを利用するとき、e-Taxなどの電子証明書を利用した申請・手続きなどに使用したりすることができます。

引っ越しをして住所が変わった場合は、このマイナンバーカードに関しても変更手続きが必要です。変更の手続きは、変更が発生した日(引っ越し日)から14日以内となっています。

手続きは、転入先の市区町村の窓口に行き、カードの追記欄へ転入先の住所を記載するだけで、マイナンバーカードの再発行や、ナンバーの変更などは必要ありません。

なお、マイナンバーカード/記録した電子証明書には有効期限がありますマイナンバーカード自体の有効期限と、電子証明書の有効期限は異なるため、注意してください。

マイナンバーカードの有効期限

年齢 有効期限
18歳以上 発行から10回目の誕生日
18歳未満 発行から5回目の誕生日

2022年(令和4年)4月に民法の成年年齢が20歳から18歳へ引き下げられたことに伴い、マイナンバーカードの有効期間の成年基準も変更となりました。

18歳以上は、2022年4月以降に交付申請をするとマイナンバーカードの有効期限は10年となり、20歳未満で2022年3月31日までに交付申請した場合のマイナンバーカードの有効期限は5年です。

電子証明書の有効期限

マイナンバーカードに記録した電子証明書の有効期限は、年齢に関わらず発行日から5年となっています。

年齢 有効期限
年齢に関わらない 発行から5回目の誕生日

マイナンバーカードの有効期限が近づくと、登録されている住所へ「有効期限通知書」が届きます(およそ有効期限の2~3カ月前)。ただし、電子証明書の更新は、各市区町村の窓口にて手続きを行う必要があるため、マイナンバーカードに記載されている「電子証明書の有効期限」もチェックしておきましょう。

なお、電子証明書は有効期間満了日の3カ月前から更新手続きを行うことが可能です。満了前に更新を行った場合は、電子証明書の有効期間は「電子証明書の発行日から6回目の誕生日まで」となります。発行時にかかる手数料については、市区町村の窓口でご確認ください。

※参照:公的個人認証サービス ポータルサイト 電子証明書の有効期間と失効

請求書記載の住所など、その他注意点

フリーランス・個人事業主であれば、自分で営業・経理をしている方も少なくないでしょう。公的機関への変更手続きのほか、請求書に記載する住所の更新(使っているツールやファイルのフォーマットの設定をチェック)や、名刺の住所更新に加え、必要に応じてクライアントへ住所変更の連絡ができているかもチェックしてください。また、利用している金融機関やクレジットカード、免許証や車の登録住所の変更なども忘れずに行いましょう。

まとめ

必要な手続きや届け出を、期限と一緒にリストアップしておけば、忘れたり慌てたりせず、スムーズに提出できます。身分証明書や印鑑、必要書類なども忘れずに用意しておいてください。フリーランス・個人事業主の方は、引っ越し期間中も納期があったり、新居でインターネットの手配・設定をしたりと、やることが多くなりがちです。必要な手続きは早めに済ませ、気持ちよく新生活を始められるように準備しておきましょう。

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