FREENANCE MAG

フリーランスを応援するメディア「フリーナンスマグ」

『こう見えて元タカラジェンヌです』~遅れてきた社会人篇~第14話 新人サラリーマンのブルース~フリーランスたその誕生~

こう見えて元タカラジェンヌです~遅れてきた社会人篇~

フリーランスたそのプロローグ

大量の反省点と消化不良を残しながら終わった天真みちるのサラリーマン人生。

「何かひとつでも、自分がプロデュースできたものって……あったのだろうか」

押し寄せる疑問に苛まれながらも、いつの間にか(深い)眠りについた。

2019年8月某日昼過ぎ、自宅にて。
久々の大寝坊をかました「元」サラリーマン天真みちる。
ゆっくりと身体を起こし、伸びをする。

「あゝなんてゆったりとした1日の始まり……(昼だけど)」

そう思い、スーッと深呼吸をした。
その後こう思った。

「……昼?!?!ヤバイ!遅刻や!会社に連絡しなk……」

ベッドを飛び降り、洗面所へ駆け込み、冷水でバッシャバッシャ顔を洗い、その後こう思った。

「え……しなくて良い……のか?」

その0.2秒後こう思った。

「しなくて……良いんだ!!!!!フゥー↑!!!☆彡」

はやおきしてまんいんでんしゃにのらなくたっていいじゃないか

ふりーらんすだもの

みちる

昨日までのサラリーマンとしての自分とは?という問いかけ、そしてフリーランスとして生きて行くという不安は、巨大化したデイダラボッチが風と共に山の彼方に去るが如く、脳裏から消え去った。

つまりは、

サラリーマンとしての手ごたえ≦早起きと通勤免除

ということだ。

手ごたえ云云かんぬんよりも、朝早起きして満員電車に揺られなければ、それでいい。それでええじゃないか!ええじゃないかええじゃないかヨイヨイヨイヨイ!!!

この日「フリーランスたそ」としての人生は、ハイテンションのうちにスタートが切られたのであった……。

『こう見えて元タカラジェンヌです』はこうして生まれた

フリーランスとして最高の朝(昼)を迎えた私は、溢れ出でるテンションの高さに身を任せ、ダンスなどを嗜んだ。

小一時間後……

エキサイターを3回くらい踊り切ったところで気が済み(というか我に返り)、新しいパソコンを開き早速仕事に取り掛かった。

まずは新たなメールアドレスの作成に取りかかった。自身のドメインを作り(ほぼ上司にやってもらった。ほんと……上司……神……)、取引先の方などに挨拶メールを送っていた最中……ふと、1件の依頼メールが目に入った。

それは、「エッセイを書いてみませんか?」という内容だった。
差出人は……「左右社」という出版社。

サラリーマンとして働いていた時に届いたメールだった。

当時、捌き切れていない案件が多く、「もうこれ以上抱えきれねえ!」とパニクっていたことに加え、「エッセイを書く」という、今まで受けたことのないオファーにどう答えて良いかわからず、返事ができていなかった。

フリーランスになり、少し思考回路にスペースが出来た今、そもそもなぜ私にエッセイの仕事を依頼したのか、その理由が知りたくなった。

「というか……大変長らくお待たせしすぎている!!速攻で返事しなければ……!!!」

そんな訳で、大変遅くなったが左右社さんに返信すると、速攻でお返事が来て、そのままとんとん拍子に話が進み、数日後お会いすることになった。

そんなこんなで迎えた当日。

クライアントの方とのファーストコンタクトに単騎出陣するのは初めてだったので、少し緊張していた……のだが、左右社の担当さんはとっても優しく、私のおっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっそい返信も聖母の如くお許しくださったので、速攻で心を開くことが出来た。

担当者さんはまず、左右社について説明してくれた。

・主に取り扱っているジャンルは文芸書や人文書(人文書って何?)だということ
・左右社唯一のベストセラーは(ほんとにそう言ってた※当時)文豪たちが〆切について書いたエピソードをまとめた『〆切本』だということ

……聞けば聞くほど、「なぜ私にエッセイを……?」という謎は深まっていくばかりだった。

「失礼ですがオファー相手をお間違えでは……?」

と発言しようと口を開いた瞬間……

左右社さん「実は、私、兵庫県出身でして」

……ほう。

左右社さん「逆瀬川(※宝塚の2駅先)が最寄り駅でして」

……ほう……ほう?!

左右社さん「そんなこんなでタカラヅカが身近な環境にありまして」

……ほほう??!

左右社さん「天真さんが在団中にお書きになった歌劇の絵と文を読んで、きっとエッセイ書けると思いまして」

……マ?

なんと、左右社の担当者さんは、『歌劇』という、宝塚歌劇団の月刊機関紙の読者であり、その中の「えと文」という、花・月・雪・星・宙組の各組から一人ずつ選ばれた担当者が3ヶ月連続で寄稿する連載の、当時の私の担当回を読んでいる……いうなればヘビー読者であった。

天真「そりゃあ、オファーしますわな」

一挙に合点がいった私は、その勢いのままにエッセイのオファーを引き受けていたのであった……。

次回予告
次回、遅れてきた社会人篇
「フリーランスたそのお仕事日記~書けるの?書けないの?どっちなんだい!」

天真さんの連載についてはFREENANCE公式ツイッター(@freenance_jp)でも随時ご報告させていただきます!見逃しのないよう、ぜひフォロー&チェックしてくださいね。

『こう見えて元タカラジェンヌです』記事一覧
フリーナンスはフリーランス・個人事業主を支えるお金と保険のサービスです