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フリーランスなら知っておきたい「家事按分」とは? 経費計上で差がつく節税術

フリーランスなら知っておきたい「家事按分」とは? 経費計上で差がつく節税術

フリーランスや個人事業主として働くなかで、少しでも経費を見直して節税につなげたい——そんなときに活用できるのが「家事按分(かじあんぶん)」という方法です。

家事按分とは、自宅や自家用車など、プライベートと業務を兼用する資産や費用のうち、業務に利用した分だけを取り分けて経費として計上する手法を指します。その目的は、業務に関連しない個人利用分を適切に除外し、税務申告において合理的な根拠を持った計算ができるようにすることです。

家事按分とは? フリーランスにとってなぜ重要なのか

自宅のリビングでパソコンを開き、仕事の合間に洗濯機を回す……フリーランスや個人事業主として働いていると、生活と仕事の境界があいまいになる瞬間が日常にあふれています。そんな働き方だからこそ、仕事にかかる経費も、私生活の支出と入り混じりやすいのが現実です。

家事按分とは、プライベートと業務が混在する支出から、業務に使った分だけを合理的な割合で算出し、経費として処理する方法のことを指します。

家賃や水道光熱費、通信費などに適用されることが多く、特に、自宅兼オフィスで働くことが多いフリーランスにとっては、この家事按分の考え方を知っているかどうかで、毎年の税金負担が大きく変わってくるといっても過言ではありません。

家事按分によって業務に関係する支出を適切に経費として計上することで、「課税対象となる所得(課税所得)」を減らすことができます。つまり、本来は全額自腹の生活費とされていた支出の一部を、業務上必要なコストとして経費計上できるため、その分だけ所得が圧縮され、結果として支払う所得税や住民税が少なくなるのです。


たとえば、年間で10万円の経費を家事按分によって追加で計上できれば、課税所得が10万円減少することになります。税率が20%の人であれば、約2万円の節税につながる計算です。このように、家事按分は支出の性質を見直すことで、正しく税負担を軽くする有効な節税手段となります。

家事按分できるもの・できないもの、その理由は?

家事按分できるもの・できないものの具体例は以下の通りです。

家事按分できるもの

家事按分できるものの具体例は以下の通りです。“家事按分できる”ポイントは、「事業を行う上で必要であり、かつ、プライベートでの使用分と事業での使用分を合理的な基準で区別できる費用」であることです。それぞれを具体的に見ていきましょう。

  • 自宅兼事務所の家賃、住宅ローンの金利(元本を除く)、管理費、共益費
  • 電気代、ガス代、水道代
  • インターネット回線費、スマートフォンの通信費、固定電話代
  • ガソリン代、駐車場代、自動車税、車検代、自動車保険料、高速道路料金
  • トイレットペーパー、ティッシュペーパー、ゴミ袋、洗剤など

地代家賃

自宅兼事務所の家賃、住宅ローンの金利(元本を除く)、管理費、共益費 費目 「家事按分できる」理由
地代家賃 事業を行うための作業スペースとして場所代が発生しているため。
地代家賃の按分方法は?
事業で使用する面積の割合
(例)総面積100㎡のうち、事業用スペースが20㎡の場合 → 家賃の20%を経費計上
事業で使用する時間の割合
(例)1日のうち8時間(1/3)を事業で使用している場合 → 家賃の1/3を経費計上

水道光熱費

電気代、ガス代、水道代 費目 「家事按分できる」理由
水道光熱費 パソコンや照明などの電気、事業で使うお湯や暖房などのガス、トイレや清掃などで水道を事業でも使用するため。
水道光熱費の按分方法は?
事業で使用する時間の割合
(例)1週間のうち、40時間事業で使用している場合(40時間 ÷ 168時間)→ 約24%を経費計上
コンセントの数
(例)全体のコンセント数10個のうち、事業用で2個使用 → 電気代の20%を経費計上

通信費

インターネット回線費、スマートフォンの通信費、固定電話代 費目 「家事按分できる」理由
通信費 事業に関する連絡や情報収集、データ送受信などで通信インフラが不可欠なため。
通信費の按分方法は?
事業で使用する時間の割合
(例)1日のうち、事業でのスマホ利用が4時間、プライベートが2時間の場合 → 通信費の2/3を経費計上
使用日数
(例)週5日事業で使用する場合 → 通信費の5/7を経費計上

車両関連費

ガソリン代、駐車場代、自動車税、車検代、自動車保険料、高速道路料金 費目 「家事按分できる」理由
車両関連費 取引先への移動や商品の仕入れ・納品などで自動車を使用するため。
車両関連費の按分方法は?
走行距離の割合
(例)月間総走行距離1,000kmのうち、事業での走行が400kmの場合 → 関連費の40%を経費計上
使用日数の割合
(例)週3日事業で使用する場合 → 関連費の3/7を経費計上

消耗品費

トイレットペーパー、ティッシュペーパー、ゴミ袋、洗剤など 費目 「家事按分できる」理由
消耗品費 自宅兼事務所で事業を行う上で、生理現象や衛生管理のために最低限必要となるため。
消耗品費の按分方法は?
按分方法
事業で使用する時間の割合や面積の割合で按分することが多い。一般的には費用の30%~50%程度が目安。

家事按分できないもの

家事按分できないもののポイントは、「事業との直接的な関連性がなく、プライベートな支出と明確に判断されるもの」です。

  • 旅行費用やレジャーの飲食代など、明らかに私的な目的で使われた支出
  • 家族の通信費や買い物
  • 趣味で使う道具やスペース
  • 病院の治療費、薬代
  • 所得税、住民税
  • 国民健康保険料、国民年金保険料

「按分の根拠」を明確にすること

家事按分を行う上で最も大切なのは、「税務署に対して、なぜその割合で按分したのかを客観的かつ合理的に説明できること」です。

例えば、家賃であれば賃貸借契約書(面積がわかるもの)、通信費なら利用明細、車両費の場合は、走行距離メーターの写真や行き先と目的のメモといった運転記録など、計算の根拠となる資料を保管しておくことが大切です。

そして、按分割合は社会通念上、妥当な範囲に設定しましょう。事業時間が1日8時間だからといって、家賃の3分の1(8/24時間)を経費にするのは合理的ですが、電気代も同様に3分の1とするのは、睡眠中も冷蔵庫などが稼働しているため、説明が難しい場合があります。

どの費用をどのくらいの割合で按分できるかは、事業内容や生活実態によって異なります。不明な点があれば、税務署や税理士に相談することをおすすめします。

面積や時間を活用した、按分割合の計算例

按分割合の計算例です。「面積を基準とした例」「時間を基準とした例」を解説していきます。

面積を基準とした例

例えば、自宅が60㎡の3LDKで、そのうち1部屋(8.7㎡)を事業専用の作業スペースとして使っている場合、按分割合は以下の通りです。

8.7㎡ ÷ 60㎡ = 0.145(14.5%)

これに基づき、月額10万円の家賃を按分すると、事業として計上できる額は次のように求められます。

10万円 × 0.145 = 1万4,500円

時間を基準とした例

通信費や電気料金など、使用時間を基準とする按分例も考えられます。

例えば、インターネット通信用に月1万7,000円を支払っている場合、毎週平日の業務時間が40時間、週全体(168時間)での割合を算出します。

40 ÷ 168 = 約0.238(23.8%)

この場合は下記の金額が経費として計上可能です。

1万7,000円 × 0.238 = 4,046円

按分割合を合理的に証明する方法とは?

按分割合を証明する際には、利用実態を記録し、根拠となるデータを明確に示すことが求められます。具体的には、以下のような対策を採るとよいでしょう。

  • 部屋の面積を示す図面や間取り図を保管する
  • 業務時間を記録したタイムスケジュールを作成する
  • 光熱費や通信費の使用状況に関する明細や履歴を適切に管理する

税務調査の際には、合理的な証明ができるかどうかが重要なポイントです。

按分割合が高すぎる場合や、根拠が不十分な場合には指摘を受けるリスクがあるため、記録や資料の整備を日頃から心がけましょう。

家事按分を経費計上する際の仕訳方法

家事按分で計算した業務用の支出は、「仕訳(しわけ)」という形で帳簿に記録する必要があります。仕訳とは、日々のお金の出入りを、内容ごとに分けて帳簿に記録することです。

例えば、「家賃のうち仕事で使った分はいくらか?」といった支出を「地代家賃」などの項目に分けて書き残します。この仕訳に基づいて、貸借対照表や損益計算書といった財務諸表が作成され、確定申告や決算報告の根拠となります。

主要な勘定科目の仕訳例

家事按分を経費として仕訳する際には、業務用とプライベート用の支出を明確に分けることが重要です。業務に使用する割合を算出し、それに基づいて勘定科目に記載します。たとえば、家賃を例に挙げると、以下のような仕訳が考えられます。

例えば、家賃が10万円で、業務に使用する割合(按分割合)が15%の場合、経費として計上できる金額は1万5,000円です。この場合、仕訳は次のようになります。

借方 貸方
地代家賃 1万5,000円
(業務用)
普通預金 10万円
(家賃の全額)
事業主貸 8万5,000円
(プライベート用)

※勘定科目:地代家賃, 事業主貸, 普通預金

同様に、水道光熱費や通信費も、使用割合を基準に経費計上します。例えば、月々のインターネット料金が1万7,000円で、業務利用時間の割合が25%であれば、仕訳は以下の通りです。

借方 貸方
通信費 4,250円
(業務用)
普通預金 17,000円
(プライベート用)
事業主貸 12,750円
(プライベート用)

※勘定科目:通信費, 事業主貸, 普通預金

主要な勘定科目としては「地代家賃」「水道光熱費」「通信費」「車両費」などを使用します。支払いが銀行口座からの引き落としであれば「普通預金」、クレジットカードであれば「未払金」など、実際の支払い方法に応じて勘定科目を使い分けましょう。

家事按分が否認されるのはこんな時! 税務署が見るポイントとは

税務調査においては、家事按分の信頼性が非常に重要視されます。特に、按分割合が高すぎる場合や根拠が曖昧な場合には、税務署から疑問を持たれる可能性があります。特に注視されるのは、以下のような場合です。

  • 按分割合が高すぎるケース
  • 使用基準(面積・時間)が曖昧なケース
  • 客観的な証拠が残されていないケース

按分割合を合理的に算出するためには、明確な基準を設けることが必要です。

例えば、使用面積を基に按分する場合は、事務所として使用している部屋の面積を図面や契約書で確認できる形で提出することが求められます。また、時間基準で計算する場合も、業務にかけた時間をスケジュールや記録として残しておくと信頼性が高まります。

このように、合理的な説明ができる準備を事前に行うことで、税務署の審査に耐えられる按分が可能となります。

知らないと損する按分が可能な項目

家事按分を活用する際、計上可能な項目を正しく理解していないと、本来節税できる経費を見逃してしまう可能性があります。

例えば、地代家賃だけでなく、水道光熱費やインターネット回線料金、自動車関連費用なども按分対象となるケースが多いです。また、持ち家の場合でも、固定資産税や火災保険料、減価償却費などを基に経費を計上することが可能です。

さらに、按分割合は業務内容や利用状況に応じてさまざまです。例として、インターネット料金を按分する際は、業務で使用した時間やデータ量などを基準にすることで、合理的かつ正確な割り振りが可能になります。このような詳細な按分項目を把握することで、無駄なく経費を計上できるようになります。

まとめ

家事按分は、フリーランスや個人事業主にとって有効な節税手段のひとつです。自宅や通信費など、業務と私用が混在する支出について合理的な基準を設けることで、必要な経費を正確に計上できます。

重要なのは、按分の根拠を明確にし、使用面積や利用時間などの記録をもとに妥当性のある割合を算出することです。帳簿や仕訳に必要な資料も、あらかじめ整備しておくことが求められます。

こうした準備ができていれば、税務調査が入った場合でも説明が可能となり、安心して家事按分を活用することができます。節税を正しく行うためにも、制度の仕組みと注意点を理解し、適切な記録管理を心がけましょう。


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