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不景気も町おこしも健康もキャッシュフローも、サウナがあれば万事解決!? フリーライターのヨッピーに聞いた

ライターなんて儲かるわけない!?

ヨッピー

と、サウナ関連の活動も活発にされているヨッピーさんですが、今「お仕事は何ですか?」って聞かれたら、何と答えます?

それ、難しくて。もちろんライターの仕事もするし、コンサルの仕事もするし、サウナの仕事もあるしイベントの企画もするし……何なんすかね? よくわかんない(笑)。民泊やろうとしてたりもしますし、ECサイトを作って物を売ったりもしますし、メディアに出たりもするし。

では、どの仕事をしているときが一番楽しいですか?

うーん、町おこし的な仕事は楽しいですよ。僕、出身が大阪市の東の端っこで、中学・高校の頃は東大阪市の西の端っこにある布施という駅の周辺でよく遊んでたんです。

布施はいちおう、東大阪市で一番の繁華街っていう扱いのはずなんですけど、地元に帰省するたびにどんどんお店が潰れてシャッター街になっていくんですよ!

「こんなに良い町なのに、なんで人が減ってるんだろう?」って、悔しくて仕方ない! で、なんとか布施を盛り上げようという活動もしてるんですが、実は今、布施に風が吹いてまして。布施に『なにわ健康ランド 湯~トピア』っていう施設があるんですよ。

まさか、それもサウナ……?

サウナです! サウナブームが来て“ここだ!”と思ったんでしょうね。サウナいっぱい作って、水風呂も作って、改装・改善を積み重ねて……と、お金ぶち込んで狂ったように改装したら、東京からも人が来るくらい全国的に人気の施設に育ったんですよ。

もう一つ『SEKAI HOTEL』っていうのもあって、それは商店街全体をホテルに見立てたような仕組みなんです。受付をして鍵をもらったら商店街を歩いて、元八百屋さんの客室に泊まる、みたいなイメージです。1泊2食付きだと晩御飯は近くのお好み焼き屋さん、お風呂は近くの銭湯、朝御飯は近くの喫茶店でモーニングを食べる……みたいなプランになっていて。僕、早いうちから“この仕組みは面白いな!”と目をつけて、なんかお手伝いしたいなとXで「SEKAI HOTELいいぞ!」って騒いだり、記事を書いたりしたんです。

そして友達のインフルエンサーにも「ぜひ行くべき」って力説したら本当に行って動画にしてくれて。その動画が何百万回も再生されて“このホテル、メッチャ再生数稼げるじゃん!”ってことで他のインフルエンサーの方々もこぞって取り上げるようになって、この間ははじめしゃちょーも来たりして、今、若い人たちにメチャ人気があるんですよね。

そもそも今、大阪って再開発がすごくて地価がどんどん上がってるから、個人商店とか面白い飲み屋さんとかが高い家賃を払えなくなって、梅田とか難波の中心地から周辺地域に逃げてきている流れもあるんですよね。

それに再開発でどんどん大阪も綺麗になってきていて、その反面「古き良き大阪」みたいな雰囲気は少し失われつつあるんですよ。でも布施にはその「古き良き大阪」がゴリゴリに残ってるのでそういう雰囲気を好きな人達も居て。

そういう流れの中で新しい人たちがチラホラ布施にも集まってきてるんで、ちょっと盛り上がりの兆しが出て来たぞ、と。じゃあ、今年のハロウィンは大々的にやろうぜ!って今から相談してたり、近隣の駄菓子を作る会社のプロモーションを考えたり、そういう活動が楽しいんですよ。

確かに楽しそうですが、そういった地域振興的なお仕事って、マネタイズするのが難しい気もするんですけれど。

うん、マネタイズできないですね(笑)。「いくらお支払いすればいいですか?」って聞かれたら「なんぼでもいいです。布施は趣味だから特にお金いらないです」って言ってますし、もはや仕事じゃないかもしれない。

なぜか僕、「ヨッピーは稼いでそう」とか言われるんですけど、周りから思われてるほどお金持ってないんですよ。お金にはすごく困ってます。だからお仕事ください!

いや、だって他にもいろいろお仕事なさってますよね? 寄稿先もたくさんあるし、企業からのコンサル料の収入だってあるわけじゃないですか。

でも、そんな儲かってないですよ本当に。マジで慎ましい生活してますし。

そもそも「お金欲しい!」とかあんまり思ってないのが良くないのかもしれない。もちろん子供もいるんで、生活するためにある程度の収入は必要ですよ。でも「タワマンに住みたい!」とか「ブランド物欲しい!」みたいな欲求は一切無いのでお金があっても使い道がない。

そういえば、これまでカーシェアだったのが、最近2人目の子供ができたのとマンションの駐車場の空きが出たのを機に車を買ったんですけど、それだって中古のフリードで150万円ですからね。

みんなから「外車乗らないんですか」とか「アルファード買えばいいのに」とか散々言われるんですけど「そんな金あるか! ワシは中古のフリードでじゅうぶんじゃ!」と。

まあ、都心部に住んでて車買ってる時点で少し贅沢なのかもしれませんけど、それでもほんと、豪勢な暮らしっていう感じではないです。週末はくら寿司です。

私たちと近しい生活をしていることに親しみを感じる一方で、ヨッピーさんほど成功している方でも「儲からない」とは、同じライターとしては希望を打ち砕かれるような想いもあります……。

だって、ライターなんて儲かるわけない! みんながやりたがる面白そうな仕事って、基本儲かんないですよ。もう無理です。限界。YouTuberもTikTokerもインスタグラマーも限界。

自分のことを書くのが作家、他人のことを書くのがライター

ヨッピー

じゃあ、そもそもヨッピーさんがライターのお仕事を始めたキッカケは、何だったんですか?

ブログですよ、ブログ。まだISDNとかのインターネット黎明期に、僕も何か発信がしたいなと思うようになったんです。当時はYouTubeもないですし、画像は重いからと嫌われる時代だったんで、やれるのはテキストしかなかった。で、今のブログみたいな感じで日記を書いていただけだから、別にライターやろうとも考えてなかったんですよね。

会社を辞めたときも多少なりとも退職金や貯金、あとは失業給付金もあったので、半年くらいは遊べるから、その間に就職活動して転職するつもりだったんです。自分はインターネットが好きだという自覚はあったので、それこそドワンゴを受けたり、サイバーエージェントは書類で落とされたんで今でも恨んでるんですけど(笑)。まぁ、半年は暇だからとブログを書いているうちに「うちでも書いてくれ」と言われるようになったんです。

サラリーマンしながら『オモコロ』で記事も書いてたんで、それまでにも同じような誘いはあったんですけど、サラリーマンしてるから暇もないし、別にお金も欲しくないから断ってたんです。だけど暇になったんで依頼を受け始めたら、半年後には「あれ? これでメシ食えるんじゃないか?」っていう状況になってたんですよね。で、就職活動するのも面倒臭いからそのまま続けて今に至るって感じです。

すごいじゃないですか。「うちで書いてくれ」と引きが来るのは、ライターの理想形ですよ。

いや、それは本当に運ですよ。僕がいろいろやり始めた頃ってWebライターという職業自体がなくて、だからWebライターの中では1期生なんですよねたぶん。1期生じゃなかったとしても「先駆け」みたいな事を自分で言ってもまあけっこう許されるんじゃないかっていうポジションだったと思います。

でも、僕が1年早く会社を辞めていたら、Webライターでお金を稼ぐなんてできなかっただろうし、逆に1年遅かったら参入者が多くてたぶん競争で負けてた。本当に良いタイミングで僕がそのポジションにいたから、そういう仕事が来るようになっただけだと思いますよ。

でも、当時から今のようなスタイルで記事を書かれてたわけですよね? 写真を交えたユーモラスな構成と粋な文章には本当に惹きつけられますし、中でも吉田寮の記事(※)は父が寮の出身者なのもあって、個人的にグッときました。

あれはいい記事ですね! 僕の人生の中でも3本の指に入るくらいお気に入りです。あの夏、メッチャ楽しかったんですよ。いい歳になって青春みたいなものからだいぶ遠くなった身で、クソ暑い京都の夏で2週間学生と一緒になって、泥だらけになりながらみんなでご飯を食べて……本当に楽しかったです。青春がまた帰ってきたみたいだった。あと、友達連れて僕のおばあちゃんちに遊びに行ったりもしたし、あの夏は本当に完璧でしたね。

※参照:吉田寮の実態を潜入取材!京大、日本最古の学生自治寮で大掃除 | SPOT

取り上げる題材の面白さ、視点の鋭さにも毎度驚かされますが、例えば吉田寮の記事は何が発端で生まれたものだったんでしょう?

あれ、実現するのに結構時間がかかったんですよ。もともと吉田寮という場所が京大にあることは知っていて、とある案件が来たときに、じゃあ、吉田寮を掃除する記事をやりたいと提案したら「ちょっと難しい」と企画が通らなかったんですね。でも、その時の担当者の人が「この企画は絶対に面白いから、いつかどこかで実現したいです」って言ってくれてたんですけど、その担当者の人がメルカリに転職して、「あの企画、やりましょう!」って言ってくれて。

企業とのつながりや人脈豊富なところは、やっぱりヨッピーさんの強みですよね。正直、うらやましいです。

それはもう、たくさん飲みに行くことですよ!「ノミニケーションなんて無駄だ」って言っていいのは、他を寄せつけない相当な実力か知名度のある人だけ。そうじゃない大多数の人は飲みに行けばいいんです。

それはプログラマーだろうが、ライターだろうがイラストレーターだろうが、フリーランスの人はみんな同じですよ。アルコールに弱くたって、そういう場に行きさえすればいい。今の時代、無理にアルコールを飲めよとは言われないでしょうから。

ただ、そもそも飲み会自体が今の時代、少なくなってきている気がするんですが……。

そういう時はね、自分で主催すればいいんですよ。これは全フリーランスに言いたいことで、企画者とか「言い出しっぺ」っていう能力って意外とレアなんですよ。面倒臭いですからね。

「飲み会をやろう」と言い出し、音頭を取って仕切れる奴って意外とレアで、特にライターみたいな分野って陰キャが多いから、それだけでコミュニティのトップの方に行けます。

例えば、ライター10人くらい集めて飲めば、仕事持ってるけどキャパオーバーで回ってない人とかが絶対いるんで、そこから「手伝って」みたいな話が来るかもしれないし、デカい案件を5人でチーム組んで請けようってことになるかもしれないし。

ヨッピー

僕、年に1回〈インターネット飲み会〉っていうのをやってるんですよ。『デイリーポータルZ』の人とか、『オモコロ』の人とか、代理店の人とか、インターネットのライターや媒体の人とかをバーっと100人くらい集めるんです。コロナで中断しちゃってますけど。

そこでお互いに近況報告すると、仕事の話が生まれたりするんですよね。だから僕、飲み会でもらった仕事って相当ありますよ。とはいえ、別に仕事もらうのを目当てでやってるわけではないんですけどね。僕が大人数で飲んで騒ぐのが好きで、でも、やってくれる人がいないから、しゃあなしで自分でやってるだけ(苦笑)。

場所取って、人呼んで……って、飲み会を主催するのは手間ですもんね。だからこそ企画者のスキルがレアなわけで。

例えばエンジニアの人だったら、専門の言語がみんな違ったりするでしょう。でも、案件によっては専門外の言語でプログラム書ける人が必要になったりするじゃないですか。

そういうときに「誰か出来る人いない?」って聞ける人がどれだけ周りにいるかによって、頼られ具合が全然違ってくる。「この人に聞けば適切な人材を連れてきてくれる」「困った時にこの人に頼れば何とかなる」っていう風に周りから認知されると、当然仕事は来ますよね。自分で言うのもアレですが、「こういう記事書ける人いない?」とか「こういうHPの文言得意な人いない?」「リリース文上手に書ける人探してる」とか。文章にまつわる相談をされたらちゃんと適切な人を紹介できますもん。だから仕事ください!!

言われてみれば、確かにそうですが(笑)。ヨッピーさんが考えるフリーランスにとって大切なものって、他に何かありますか?

飲み会でしょ? あとは……健康(笑)。精神的な健康と肉体的な健康、両面ですね。それこそ売れてるライターで、心身ともに健康じゃない人はあんまりいない。ライターって陰キャっぽくて、言葉選ばずに言うと「メンヘラ」っぽい人が多いイメージもあるでしょうけど、売れてる人は元気で健康的な人ばっかりですね。

マンガ家だとかミュージシャンだとかっていう“クリエイター”なら、その精神的な不健康さを作品の独自性に昇華させることも可能ですけど、ライターってクリエイターとは違いますから。やはり不健康はデメリットにしかならないんでしょうね。

「作家とライターって何が違うんですか?」って聞かれたときに「自分のことを書くのが作家で、他人のことを書くのがライターだ」と、よく言ってるんです。つまり、ライターは他人と関わる仕事なんで、やっぱり心身ともに丈夫じゃないと無理ですよ。

作家はメンタル病んでても、その病んでる自分を世に出せば作品になりますけど、ライターはそういうわけにはいかないんですよね。まぁ、健康が大事なのは基本的には全業種、全人類共通のことで、そこでサウナの話に戻っちゃうんですが(笑)。

全人類とおっしゃいますが、ちなみにサウナって下限の年齢制限あるんですか? まだ身体が出来上がっていない子供だと、逆に良くないとか。

よく「小学生以下のお客さんはサウナに入らないでください」みたいな貼り紙は見ますけど、身体への直接的な影響はすいません、僕も正直わかんないですね。自分の子供は小学校高学年くらいから連れて行くつもりですけど、それは家族ぐるみで仲のいい友達に小学校4年生と6年生の子供がいて、一緒にスーパー銭湯に行ったりすると、サウナ入って水風呂入って「ととのった!」とか言ってるんですよ。だから、高学年になれば大丈夫かなと。

実例があるんですね。ともあれ、心が病みがちな現代だからこそ、女性の間でもサウナが普及することを個人的には祈りたいです。

サウナ専門施設は男性専用が多いですけど、サウナのある銭湯も結構ありますからね。渋谷だったら改良湯とか、メッチャ綺麗になりましたよ。僕は改装される前から知ってて、当時、近くに『オモコロ』の編集部があったから、近所で撮影したあとみんなで行ってましたね。

確かに、改良湯は改装してから急に行列ができるようになりましたよね。

ヨッピー

キャッシュフローの実情は……?

最後に、ちょっといいですか? そういえばフリーナンスさんって、ファイナンスもやってるんですよね? 僕、今月のキャッシュフローがヤバいんですよ!

それはどういうことでしょう?

オールドルーキーサウナに拾ってもらう前、もともとは自分でサウナ事業を始める予定で、コロナで打撃を受けた人が新しい事業を始めるときに国が助成してくれる「事業再構築補助金」ってのを申請してたんですよ。僕、コロナで仕事がマジで全部なくなって売り上げ激減したタイミングもあったんで、じゃあ、この補助金使ってサウナをやるぞ!と。

総事業費3,000万で補助金は3分の2だから2,000万は返ってくるつもりでいて、でも、ああいう補助金ってコンサル使わないとなかなか通らないから、コンサルと契約して申請したんです。

で、無事に採択されたんですけど、コンサルに成功報酬として10%を先払いしないといけないから、先に200万払って。あと、建築士にサウナの図面を起こしてもらうのに100万かるとか、合計300万ぐらい出したところで先方の都合により事業がポシャったわけですよ!

なんと…!

これは裁判沙汰にするしかない! これだけお金使ったんだから弁償しろ!ってことで裁判することにしたんですけど(※)、裁判するのにもお金がかかるじゃないですか。

しかも、さっき言った通り車を買ったり、友達が「麻婆豆腐の事業やるから金貸せ」って言うから400万円貸したりしたので、1年間で合計1,000万円ぐらいの現金が口座から消えてるんですよね。

儚く消えた夢のサウナと裁判と渋谷のサウナ|ヨッピー
※引用:note 儚く消えた夢のサウナと裁判と渋谷のサウナ|ヨッピー

いや、それはいくら何でも……!!

僕のやってる仕事って基本仕入れが発生しないし、出ていくお金って外注費くらいだったりするから、会社の口座に現金を積んでないんですよ。銀行からの融資なんかも受けた事ないし。なのに1,000万円も現金が出ていったから、もうキャッシュフローがヤバくて常にカツカツですよ!

なかなか綱渡りですね……!

そうなんです。これを見てほしくて、ほら。銀行の入出金明細にカードローン返済で198万7569円ってあるじゃないですか。一瞬キャッシュフローがヤバかったから、PayPay銀行で200万借りてしのいで、翌月に全額返したんです。

だから、いざとなったときに、ココに頼めば借りれるぞ!っていうところは、やっぱ保険として持っておくべきですね。だって、銀行に「お金足りないから100万円貸してください」って言ったところで、「じゃあ、明日振り込みます」とはならないじゃないですか。かと言って、取引先に「今月キャッシュフローやばいんで払えません」とか絶対言えないし、その点PayPay銀行ってメッチャ早いんですよ。

ヨッピー

友達に「今月のキャッシュフローがやばい」って話をしたら「PayPay銀行は審査がメチャクチャ早いから、今、申し込めば1時間後ぐらいに振り込まれる」って言われて。ホントかよ?と思いながら申請出したら「あなたは上限300万円、年利6%でどうですか」って出たんで、200万円申し込んだら3秒くらいで振り込まれました。年利6%だと200万借りても利子が1カ月で1万なんで、たかが知れてる。フリーナンスさんのサービスはどんな感じなんですか?

一番は面倒くさくないってことですね。それこそ普通の金融機関だと、借金する時に登記簿謄本だとか3期分の決算書とか、いろいろ書類を持ってこいって言われるじゃないですか。それが面倒くさくて嫌なんで、とにかくインターネットで全部完結して早ければいいですね。フリーナンスさんは登記簿を持ってこいとか言わないですか?

でも、クライアントからしたら、“なんでフリーナンスにお金を払うんだろう?”ってなりません?

※即日払いは、ご自身の口座に報酬が振り込まれた後フリーナンスへ振り込む方法と、ご自身の名義で開設した「フリーナンス口座」に報酬を振り込んでもらう方法があります。

ヨッピー

「なるほど。アテは色々作っておかないとな……」とブツブツ言いながらオフィスを出るヨッピーさん。くれぐれもお金は大事にしてください。


撮影/中野賢太@_kentanakano