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アイドルがアイドルの“素”を撮る理由。CANDY TUNE南なつが語る、フォトブック『なつぐらふぃー』撮影秘話と飛躍の1年

アイドルがアイドルの“素”を撮る理由。CANDY TUNE南なつが語る、フォトブック『なつぐらふぃー』撮影秘話と飛躍の1年

アイドルのフォトブックといえば、普通はアイドルをカメラマンが撮影し、そこに本人の言葉やインタビューが加えられたもの。ですが、南なつフォトブック『なつぐらふぃー』(太田出版)は、その名の通り“南なつ”自身が撮影した“フォト=写真”を集めた“ブック=本”になっています。

幼いころからフィルムカメラに慣れ親しんできた彼女がCANDY TUNEの一員となり、アイドル活動を送る中で切り取った風景には、ステージ上やメディアの中では見ることのできないアイドルたちの“素”の表情がたっぷり。その撮影の裏側や、「倍倍FIGHT!」のブレイクを始まりとする飛躍の日々について語ってくれました。

profile
南なつ(みなみなつ)
2001年3月17日生まれ、東京都出身。アソビシステム・KAWAII LAB.のアイドルグループ「CANDY TUNE」(愛称:きゃんちゅー)のメンバー。「倍倍FIGHT!」が大ブレイク。趣味はカメラ、コスプレ。特技は服を作ること。
https://www.instagram.com/nattanntan/
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内気だった少女を変えた、カメラという「コミュニケーションツール」

CANDY TUNE 南なつ

『なつぐらふぃー』にはCANDY TUNEのメンバーを始めとする女の子たちの、本当に瑞々しく、活き活きとした表情が収められていますよね。本書の冒頭には「今の自分を愛せるようになったのは、写真やカメラのおかげです」と書かれていますが、そう思えるようになった理由は何だったんでしょう?

撮るにしても撮られるにしても、カメラや写真の存在が、私にとってコミュニケーションの一部になっていたのは大きいと思います。今の私は結構ポジティブなんですけど、幼少期はシャイで内気な少女で、そこから脱却できたのはカメラのおかげなんですね。

「写真撮りに行こうよ」「撮ってほしいです」とかっていうコミュニケーションから、自分を表現できるようになったというか。カメラは私自身を表現するためにも、人とコミュニケーションをするためにも欠かせないものなんです。

なるほど。ちなみに、最初にカメラを手に取ったキッカケって何でした?

もともと母が私の写真をカメラでたくさん撮ってくれていて、印刷された写真が家にあふれていたんですね。幼少期のアルバムとか、背幅5センチぐらいの分厚いやつが3、4冊あって、それを見るたび「愛されてるな」と実感できるのが大好きだったんです。なので、小さいころからカメラは身近な存在でしたし、自分の中では大切にしたいものだったので、母から譲り受けたカメラをずっと使ってました。

南さんにとって、カメラはあって当たり前の存在だったんですね。本書は『QJWeb』の連載「QJカメラ部」を書籍化したものですが、連載テーマが「日常生活で見つけた“感情が動いた瞬間”」ということで、どんな瞬間にシャッターを切るのか教えてもらえますか?

普段は風景とか空を撮るのが結構好きですね。例えば、飛行機で遠征先に行って初めてその土地に降り立ったときだとか、電車での移動中に見える景色だとか。

CANDY TUNE 南なつ

フィルムカメラって現像するまで何が出てくるかわからないところに、ちょっとタイムカプセルみたいな良さを感じるんですよ。なので、現像したときに自分が見たいだろうなと思える景色が見えた瞬間にシャッターを切ったりします。

未来の自分に対する贈り物みたいな意味合いもあるんですね。

だから、日常の写真はあえて1年くらい寝かせてから現像したりもすることもあるんですよ。お誕生日をお祝いしたときの集合写真とか、スマホでも撮るけどカメラでも撮って、1年後に現像して「こんなことあったんだな」って振り返ったりもします。

では、撮影するときの南さん的なポイントやこだわりって何でしょう?

画角を水平に撮ること、気持ちよくファインダーに収めることかな。写真を撮っているファンの方いわく、私、自然と黄金比を撮ってるらしいんですよ。ファインダー内でちゃんと完成する画角で撮るっていうのは結構意識してるかもしれないです。

“見せたい自分”を取り払い、被写体の“素”を引き出す距離感

CANDY TUNE 南なつ

気持ちいい画角で撮ると黄金比になるなんて、生まれ持ってのカメラセンスがあるんでしょうね。そもそも南さんが撮る写真って、カメラに慣れているはずのメンバーの皆さんも、いつもと違う表情を見せてません?

確かに、アイドルっていう職業の人には、角度はコッチで髪型はコレっていう“見せたい自分”があると思うんです。でも、私にだけはそれを取り払ってくれるというか、いつもは向かない向きで見てくれたり、いつもは歯を出さない子が歯を出して笑ってくれたりするんですよね。

そういった表情を切り取ることで、本人が「この写真の私、可愛いかも」って嬉しくなったり、自分でも気づかない一面を好きになれるような写真が撮れていたらいいなって思うんです。実際、撮った子から「盛れてる」っていうコメントをもらったりもしますね。

そういった気持ちがメンバーを撮るようになった動機だったりします?

そうですね。みんな、私が出会ったときから“完璧アイドル”だったので、私が見ている“友達”としての顔を、もっとファンの方に届けたかったんです。

CANDY TUNEはメンバー7人が本当に友達とか家族のような関係なので、パフォーマンス中には見せない“素”のみんなを、私の写真でなら届けてもいいよっていう許可をもらっているんですね。それって、きっとファンの皆さんも嬉しいじゃないですか。

CANDY TUNE 南なつ

間違いないです。では、これまでに撮った写真の中で、特に上手く撮れた!と思う写真を教えてください。

この本の中にも見開きで大きく載っている、CANDY TUNEメンバーの立花琴未ちゃんが大きく口を開けて笑ってる写真ですね。こっちゃんって“見せたい自分”がしっかりあるのが、私がすごく尊敬しているところなので、逆に、もっと自然なこっちゃんを残したかったんです。だから、その写真が撮れたときに「私がいつも見てるこっちゃんだ!」って嬉しかったし、写真としてもすごく良い写真が撮れたと思えたんですね。

この本の最初のほうに、それこそデビュー当時に撮った桐原美月ちゃんの写真も載ってるんですけど、そのときは1,000枚くらい撮って、良い写真はやっと30枚っていう感じだったんです。だけど、こっちゃんを撮ったときは、ほとんどが良い写真すぎてどれにしよう!?っていう状態だったので、撮る側としての自分の成長も、メンバーとの関係の深まりも実感できた思い出の1枚です。

南なつフォトブック『なつぐらふぃー』(太田出版)

立花さんに関しては「二子玉川が似合う!と思っていた」と、本書にも書かれていましたよね。そういったロケーションもピンとくるものなんでしょうか?

そうですね。だから、新しい土地に降り立つと、いつも「この子をここで撮りたいな」とかって考えちゃうんです。その子に似合う土地の空気感を大事にしているので、例えば小川奈々子ちゃんは、遠征先の仙台で空き時間に公園に行って撮りました。

でも、この前初めてこっちゃんの地元である北九州に行ったとき、地元だったらもっと力の抜けたこっちゃんが撮れるかも?って気づいたんです。なちも、本当は地元の北海道で撮りたかったけど、時間がなくて。ちょっとでも近い場所がいいんじゃないかってことで、東北の仙台で撮ったんです。

想像を超えた飛躍の1年。武道館という大舞台で得た「確固たる自信」

CANDY TUNE 南なつ

さて、連載が始まったのが去年2025年の8月で、そこからの時間はCANDY TUNEにとって本当に飛躍の1年でしたよね。

本当に夢なんじゃないか?って思うくらい、もう、夢にすら出てこないような大きなことがいっぱい起きましたね。『紅白歌合戦』に出場できたのもそうですし、自分たちの想像を超える1年だったので、今年に入ってからは去年の自分たちを超えられるようにやりきろう、ここまでの経験値をもっと活かしていこうと、ひたすら頑張ってきました。

今年の6月には初の日本武道館ワンマンも成功させましたが、それを経て実感した変化や成長ってありますか?

デビュー前の私にとっては、武道館って「行けたらいいな」という“夢”の場所だったんです。実際、武道館をゴールだと考えているアイドルの方も大勢いらっしゃいますよね。だけど、実際に武道館を目の前にしてみたら“始まり”だなってすごく思ったし、武道館を経た南なつは全然違うなって自分でも感じました。

具体的に、どう違うんでしょう?

本当に自信がつきました。360度ステージだったのでメンバー全員かなり苦戦したんですけど、それを乗り越えられたし、2日目はノーミスで終えることができたんですよ! これまで積み重ねてきたことが結果に繋がったと感じて、すごく自信になりましたし、さらにオリジナリティあふれるアイドルになれたというか。即興で考えたあおりをライブでやったり、今までメンバーに相談していたことも自分の中で解決できるようになったりして、かなり成長を感じてます。

CANDY TUNE 南なつ

360度のステージって全身を見られますから、その状態でパフォーマンスするって、なかなか覚悟がいりますよね。

確かに、自分の気持ち的にも覚悟がいるだろうと思ってたんですけど、いざステージに立ってみたら、「あ、360度私たちのことを好きな人しかいないんだ!」っていう安心感のほうが強かったんですよ。本当に客席の上のほうまでお客さんが入っていたので、逆に、愛を降り注がれてるようで自信がついたんです。

理想的な自信のつき方ですね。本書のインタビューでも「コンプレックスは個性」とおっしゃってましたが、そんなコンプレックスを乗り越えて憧れのアイドルになった今、南なつ個人として、どんな目標を持っていますか?

個人としては、自分の撮った写真をいろんな人に見てもらって、写真から私という人間をもっと知ってもらいたいです。なので、今回こうして本を出した次は、写真展を開きたいという夢があるんですよ。そこでの体験や来場者同士のコミュニケーションを通して、来てくれた人たちをもっと幸せにしたいですね。

ちなみに、今後どんな写真を撮ってみたいと考えてます?

1年通して同じ子を撮ってみたいですね。例えば週1の頻度で会って、そのたびに写真を撮っていくとか。KAWAII LAB.の子たちはみんな魅力的だけど、ちょっと発掘したい気持ちもあるので、もしかしたらKAWAII LAB.じゃない子とか、後輩ちゃんとかもいいのかもしれない。

「初めまして」の状態から1年かけて関係を深めて、それにつれて写真が変わっていくのを確かめても面白いかもしれないですね。

確かに、初対面からやってみたいかもしれないです。小さなお子さんとかも撮りたいですし、男性も撮ってみたい。今は男性を撮ってないんですけど、家で弟とかはよく撮っていたので。

“南なつに撮られるのは誰だ”オーディションとかできるかもしれない(笑)。では、CANDY TUNEとしての目標は?

グループとしては、フルッパー(FRUITS ZIPPER)姉さんの背中を追いつつ、私たちらしい方向を示せるようなライブを、東京ドームでいつかやりたいなという目標があります。

CANDY TUNE 南なつ

CANDY TUNEの魅力って、多幸感あふれるライブだと思うんですね。メンバーみんな、私も含めて実はネガティブ出身のポジティブだったりするので、ネガティブを知っている私たちだからこそのポジティブパワーや多幸感を、活動を通して皆さんにお届けしていきたいです。

ネガティブを知っているグループだからこそ、自分を肯定するメッセージがリアリティを持って届くんでしょうね。

そうですね。本当に、自分たちの曲に一番救われているのは、自分たちじゃないかと思うんですよ。私たちがこうでありたいと望む言葉を乗せた曲を、プロデューサーの(木村)ミサさんだったり、クリエイターの方々が作ってくださるので、歌うたびに自分たちが励まされるんです。なので、そのパワーでみんなも励ましていけたらいいなって。

良い循環ですね。では最後に、夢に向かって努力している方々だったり、自分の好きなことを信じて道を拓こうとしている方々に、南さんからアドバイスをお願いします。

はい。私はポジティブに見えると思うんですけど、もともとはネガティブな人間で、逃げてしまったり立ち止まったりすることもいっぱいあったんです。でも、どんなに遠回りしても地球は丸いので、必ず最後は自分の好きなものや、行きたい場所にたどり着くんですよ。だから、どんなに遠回りしても諦めずに、好きなことを貫いてほしいです。

CANDY TUNE 南なつ

撮影/須合知也(@tomoyasugo)