フリーランスが稼ぐには、希少価値を上げる。そのためのブランディング方法とは?

稼げるフリーランスになるにはブランディングが重要、という言葉はよく耳にします。しかし、ブランディングといっても具体的に何をすべきかと頭を悩ませている人も多いでしょう。

今回は稼げるフリーランスになるためのブランディングについて、フリーライター・経済誌編集者として活躍する國友公司さんと、数多くのフリーランスを抱える編集プロダクション「studio woofoo」の発注担当を務めてきたGMOクリエイターズネットワークの坂本が語ります。

profile
國友公司:1992年生まれのフリーライター・経済誌編集者。大学在学中より「日刊SPA!」などでライター活動をはじめる。卒業後は日本最大のドヤ街と呼ばれる大阪市西成区あいりん地区へ移住し、「ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活」を執筆。その後、週刊誌記者を経て、某経済誌編集部へ。

坂本祐介:元フリーランスのイラストレーター・映画ライター。現在はGMOクリエイターズネットワークの運営する編集プロダクション「studio woofoo」にて校正・校閲を担当。入社以来、長らくフリーランスのライターへの発注業務を担当していた。

まずは知ってもらい、最初のチャンスを獲得することが重要

仕事が少ない、足りないと感じているフリーランスの方は多いのではないでしょうか。自分もライター活動をはじめたばかりの学生のときは、「どうすれば仕事がくるのか」と将来を悲観したこともありました。しかし、いざ業界に入り、編集者として仕事を発注する側に立ってみると、書き手が足りないというのが本音です。

國友さん

坂本

本当にそのとおりです。フリーランスの方たちは、貪欲に仕事を取りにいくことがタブーだと思っている節がありますが、それは間違っています。たとえば、私がフリーランスでイラストの仕事をしていたときは、自分でブックを作り、積極的に出版社に持ち込んでいましたよ。
まず、知ってもらわないことには話になりませんからね。坂本さんのように作品持ち込みで自分を売り込むのも効果的だと思います。

國友さん

専門分野を持ち、自分が求められている役割を意識する

坂本

編集者に知ってもらうという観点でいくと、國友さんはうまくご自身をブランディングできているように思います。ニッチな専門分野を持っていますし、潜入取材をもとに著書も出されていますよね。

ありがとうございます。

國友さん

坂本

國友さんが書いているものを見ると、裏社会をテーマにしたものが多いですね。それでいて、名のある編集部に所属されているという信用もあるので、この人であれば面白いものを書いてくれるんじゃないかという気がします。
たしかに、正統派のメディアから仕事を受けた際も、そつのない原稿を求められているとは思いません。自分に依頼している時点で、メディアに幅を持たせたい、遊びを利かせたいという意図を感じるので、それに応えるよう意識しています。

國友さん

坂本

自分の求められている役割を意識するということですね。
はい。例えばWEbメディアの原稿を依頼されれば、他の記事のタイトルを何度も見て、自分の記事がそこに並ぶことを想像します。こんなタイトルで、こんなキャッチ画像で、こんな内容であれば、周りとの差別化ができるだろなと考えながら原稿を書いています。

國友さん

「焼肉ライターより」は「カルビライター」。同年代の競合も意識すると◎

坂本

ライバルが多い分野で戦わないことは、自分をブランディングするうえで重要ですね。私は昔、映画ライターの仕事をしていたことがあるんですが、これってやりたい人もやれる人も多いジャンルなので、新規参入で十分な仕事を得るまでが難しいんです。
そうですね、ニッチなジャンルの方が戦いやすいというのはあると思います。

國友さん

坂本

ライターだったら、よりコアなジャンルのライターを名乗ることは、ブランディングにつながると思います。焼肉ライターではなく、あえてカルビに特化してカルビライターと名乗ってみるとか。鉄道ライターではなく各駅停車ライターとか、「なんだそれ?」っていう肩書きにしてみると編集者の興味をひきますから。
仕事の量は少なくても、コアな分野になるほど希少価値が上がり、単価も上がるような気はしますね。自分は学生の頃から、裏社会ライターを名乗っていましたが、諸先輩方たちからはあまり勧められなかった。アングラの分野は縮小傾向にあるし、第一、アングラといっても範囲が広すぎて希少性はそこまでない、と。

國友さん

坂本

それでもアングラなジャンルを選んだのは?
自分の年代でそれをやっている人間が、本当にいなかったんです。

國友さん

坂本

同年代の競合がどのくらいいるのかを意識したわけですね。「なんでも書けます」というライターさんより、國友さんのように○○ライターと名乗ったうえで、「他も書けます」という方が編集者としては仕事をオファーしやすい気がします。

クリエイターとしての個性と、営業担当としてのモラルを両立する

坂本

編集者はライターやカメラマンを探すのに苦戦することもあるので、フリーランスの人には自ら名乗りを上げて、見つかりやすくしてほしいですね。そのために重要なのがプロフィール。プロフィールをつくるときに意識してほしいのが、見る側のことを考えることです。
國友:確かに、自分が発注する立場になったつもりで、どんな情報があると安心するのかを想像することは必要ですよね。坂本さんは、どんなプロフィールに興味を持ちますか?

國友さん

坂本

何か武器を持っている人はいいですね。たとえば6回離婚経験があるライターさんとか、それは大きな武器になるわけです。それをネガティブにとらえていると、ライターとしては非常にもったいないですよね。
僕の場合は、いい部分ばかりだけではく、悪い部分もある人というのはどうしても魅力的に見えてしまいます。とても仕事ができる方なのに、私生活のどこか一部は崩壊している方とか(笑)。

國友さん

坂本

なるほど。でも、一緒に仕事をするうえでは、人としては常識的であってほしいですけどね(笑)。クリエイターとして個性的な自分は表現しつつ、もう一人の常識人の自分が営業を担当する。そこが、職業人としてのクリエイターの在り方かと。コミュニケーションも含めてすべて個性的となると、それはもうクリエイターを飛び越えて、アーティストだと思います。
たしかに、フリーランスは編集者や企業と並んで仕事をすることもある立場なので、常識的であるという前提は必要ですね。

國友さん

相手に自分の腹を見せてしまうのも、一つの手?

坂本

脱サラしてライターになるひとは「これまで会社勤めでしたがライターになりたくて」と言わずに、「その分野を書きたいから、まずはその業界で働いてみました」という伝え方にすると、ブランディングとしてはとてもいいと思います。言い方で印象は変わりますし、事実やはり、体験してきたというのは強いですから。まさに國友さんは、西成区あいりん地区での体験をもとに、著書を出されていますよね。
実は『ルポ西成』はブランディングでもなんでもなかったのですが……。私は新卒での就職活動に失敗しまして、卒業間近になって彩図社という出版社に、「助けてください。編集者として私を雇ってくださいませんか」と直筆の手紙を送りつけたのです。

國友さん

坂本

直筆とは、すごいですね!
すると「そんな奴ははじめてだ」ってことで編集部に呼ばれ、「じゃあお前、1冊書いてみるか」という話になったんです。週刊誌の仕事も、現在所属している編集部の仕事も、その本のおかげで声を掛けていただきました。

國友さん

坂本

自らチャンスを獲得しにいったわけですね。
國友:「自分は何もできない人間です」と相手に腹を見せてしまうのも、チャンスを得る方法のひとつかもしれません。そこで本当に何もできなければ、タダのダメな奴になってしまいますが。

國友さん

坂本

なるほど、格好つけずに腹を見せるっていうのはいいですね。誰にでも初めてはあるので、そこで見栄を張らないことは大事です。経験がないといけない案件ばかりじゃないので。國友流は、その方法は、これから仕事を増やしていきたい駆け出しの人たちの参考になるかもしれませんね。